松下電器はP2HDで採用しているAVC-Intraコーデックを大々的にアピール。他メーカーとのアライアンスや、送出までのワークフローを紹介した。業務クラスでは魅力的な発表はなく、AVCHDの業務用モデルのモックアップを展示したのみにとどまった。


◆P2HDのアライアンスを発表
 松下電器はInterBEE初日の20日、ブース内においてP2HDのアライアンスで新たに4社が加わったと発表した。トムソングループ(カノープス)、朋栄、フジフイルム、オムネオンの4社。松下電器システムAVビジネスユニットの下水流氏(写真中央)は、「新たに4社のサポートを得ることは100万の力を得た気持ち。将来を見据えたコーデックAVC-Intraで映像文化に貢献していきたい」と語った。メモリーカードを記録媒体に使ったP2HDシステムはこれまではDVCPRO HDコーデックを採用していたが、それに加えて上位フォーマットとしてMPEG4 AVCベースのAVC-Intraを開発。今回のInterBEEでは、具体的にAVC-Intraでのワークフローを実際に見せながらアピールした。
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 具体的にはカノープスのEDIUS ProがバージョンアップでAVC-Intraをネイティブでサポート(※)。アップルのFinal Cut ProでもProRes422コーデックへ変換することが編集が可能になった。これまではさくら映機のプラナス(販売は三友)のみがAVC-Intra編集に対応していたが、これで編集環境も広がり、AVC-Intraでの実際の運用が始まりそうだ。ワークフローの説明では多くの人が集まり、関心の高さを物語っていた。
※ただし、AVC-Intraをネイティブ編集するには、P2オプション、AVC-Intraオプションが必要であり、また対応はREXCEED、HDWSシリーズなどターンキーに限られる。EDIUS Proをソフト単体で購入したユーザーは対応する方法がない。
◆AVC-Intraの画質比較デモはインパクトがあった
 ブースでは、AVC-Intra100Mbpsと非圧縮映像の比較を行なっていたが、テクニカルスイートルームにおいて、XDCAMを想定した35Mbps、25MbpsのMPEG2 Long GOPとの比較も行なっていた。画質比較はカメラからの映像をHD-SDIでレコーダーに非圧縮で記録。それをHD-SDI経由でダビングした素材をFinal Cut Proで4枚合成したという経路を明らかにした上でのデモ。映像によって向き不向きはあると断った上で、「静止画的な素材ではLong GOPのほうが有利かもしれないが、動きのある映像においては、フレーム内圧縮であるAVC-Intraが優れている」ことを強調していた。比較は、「HDCAM」「AVC-Intra50Mbps」「XDCAM35Mbps」「XDCAM25Mbps」と、「非圧縮」「HDCAM」「AVC-Intra100Mbps」「DVCPRO HD」という二つのパターン。
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◆業務クラスはAVCHDで展開していく方向が見えてきた
 業務用のクラスでは、DVX100シリーズやHVX200などの後継が期待されたが、具体的な製品はなかった。ただし方向性としてはAVCHDフォーマットを利用し、記録メディアはSDカードで、ということになりそうだ。すでにショルダータイプのカメラは発表されているが、モックアップでハンドヘルドのカメラやポータブルレコーダー、SDスロットとBDドライブを搭載した据置型AVCHDレコーダーなどのモックが展示された。特にカメラはこのモックのデザインで出てくるとは考えにくいが、DVX100の後継と言えるような力の入った「業務用AVCHDカメラ」を期待したい。
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◆久しぶりに大注目のスイッチャー
 これもすでに発表されているが、マルチディスプレイ機能を内蔵したHD-SDI入力対応スイッチャー、AV-HS400も注目を集めていた。実際に触って感触を確かめる人も多かった。
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