第2回 鉄道撮影に向いたカメラとは?


◆マニュアル撮影機能で押さえておくポイントは?
 コンパクトビデオ、ハイエンドカメラ、一眼ムービーはもとより、携帯電話やコンパクトカメラでもムービーが撮影できる時代になり、カメラの選択肢は広がってきました。鉄道ムービーにおいても、もちろんどのカメラでも撮影ができるのですが、特に鉄道のアップを撮影する場合、使える機能によって撮れる映像が変わってきます。


 ひとつは高速で走る列車を撮影する場合のシャッター速度設定です。スチルの方のなかには、早く動くものを止めて見せたいとうことで、動画でも500分の1秒、1000分の1秒といった高速シャッターにしてしまう人がいますが、そうすると、フレームとフレームに間隔が空いてパラパラと動く映像になることがあります。スムーズな動きにしたいときにはマニュアル設定などで30分の1秒~100分の1秒のシャッター速度にする必要があります(オートであれば、せいぜい250分の1くらいまでにしか上がりません)。
 もうひとつは走ってくる列車の色やヘッドライトなどの影響です。オートで撮影した場合、AFの誤動作、露出の変化、ホワイトバランスの変化などが起きることがあります。このような条件では、マニュアル設定を行うことで安定した映像になります。
 新しくカメラを選ぶときにはマニュアル機能の有無、もしくは簡単な操作でAEロックができるかを確認したほうがいいでしょう。
 では、絞りを例にとり下の写真を見てみましょう。
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このサンプルはマニュアル露出で撮影していますが、もしもオートで撮影した場合は、
1=黒いトンネルがバックなのでオーバー気味になる。
2=ヘッドライトがこちらを向いた時に影響されてアンダーになる。
3=列車側面の暗い部分の露出でオーバー気味になる。
4=雪の白い面積が増えるためにアンダー気味になる。
と、ひとつのシーン撮影中に露出が繰り返し変化して見づらい映像になってしまいます。
動画はこちらから。

▲岩手県の盛岡から宮古を経由して釜石に至る山田線の冬。この映像を撮影した平津戸駅付近では日中撮影できる列車は2往復のみ。ローカル線の風情を残す路線だ。
◆ズーム倍率は?
 鉄道ムービーで広角側を使用するのは、車内でのスナップや広い風景として撮影する時、駆け抜ける列車を広角でアップにしてスピード感が出すときなどです。35ミリフィルム換算で28ミリより広い画角が欲しいところです。また、望遠側ですが、線路から離れてアップを狙う場合など、頻繁に望遠側を使います。夏の陽炎の中から現れる列車など、超望遠があれば、より映像のバリエーションが広がって見応えのある作品になります。可能な範囲でズーム倍率の高いカメラが理想です。
◆コンパクトビデオでの撮影
 今持っているカメラでも鉄道ムービーの撮影はできます。マニュアル設定ができないカメラで撮影する場合は、広い風景としてアングルを決めると、ほとんど車両の色などには影響されません。また、アップを撮影する場合は、明るい時間帯を選び、日陰の面が画面いっぱいになった時に露出の変化を避けるために、できるだけ順光方向から撮影すると良いでしょう。
 もう一度取扱説明書を見直して、ぜひ鉄道ムービーの撮影に挑戦してみてください。
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▲ビデオ撮影できる機材の幅が広がっている。右からデジタル一眼ムービーカメラ、家庭用のコンパクトカメラ、ハイアマチュア・業務用のビデオカメラ。
【今月のお奨め路線】津軽鉄道のストーブ列車

 
 津軽鉄道は青森県津軽地方のローカル私鉄です。毎年冬になるとディーゼル機関車に牽引された客車列車が走ります。この客車には石炭を焚くだるまストーブが付いていて、炎の暖かさを感じながら雪を眺める旅が津軽の冬の風物になっています。
 乗車するのはもちろん、雪の中を力強く走るストーブ列車の撮影も楽しめます。
 ストーブ列車の運転は一日2往復2010年の運転は3月30日までの予定です。
strong>【筆者プロフィール】佐々倉 実
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鉄道映像作家。小学生の頃から鉄道写真を始め、大学生の頃、当時鉄道員をしていた今井洋氏と出会って以来、製作活動をともにする。現在は、佐々倉氏が撮影、今井氏が編集を担当し、雑誌やDVDパッケージを中心に鉄道ビデオを製作している。DVDに『魅惑の蒸気機関車 四季SL紀行』、『日本の鉄道 新幹線・特急編/蒸気機関車ローカル線編』などがある。2010年春に『感動の美景鉄道(仮題)』(MAXAM)が発売予定。
鉄道写真どっとネット(http://www.tetudousyasin.net)を運営。
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