Short Shorts Film Festival & ASIA 2010 「ミュージックShortクリエイティブ部門」特別製作3作品を発表


6月10日~20日に開催される米国アカデミー賞公認、アジア最大級のショートフィルム映画祭「ショートショート フィルム フェスティバル & アジア 2010」(SSFF & ASIA 2010)。12回目となる今年度からスタートした「ミュージックShort クリエイティブ部門」の特別製作作品3本が完成し、5月18日には六本木の「ザ クラシカ東京」にて記者発表会と上映会が行われた。
特別製作を行ったのはSSFF&ASIAの過去の受賞作家でもある渡邊世紀、日高尚人、FROGMANの3監督。それぞれ、ミュージシャンから提供を受けた曲を使用して、その曲からインスピレーションを得てオリジナル作品を製作した。音楽と映像の新たな融合を目指した新しい試みだ。
なお、もう一つ大きな試みとして、SSFF & ASIAの上映作品120作品を i アプリとして販売することも併せて発表された。


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SSFF & ASIAの新たな試みについて説明する別所哲也代表(右)。左は司会進行役のサッシャさん。
発表会の冒頭、俳優でSSFF & ASIA代表の別所哲也氏は、「ジョージ・ルーカス監督らの応援を受けて日本で生まれたこの映画祭も、すくすくと育って12年目を迎えました」と挨拶。特に近年はインターネットの世界でショートムービーが注目を集めるようになっていることに触れ、「エスプレッソのように(短時間の中に)ギュッと凝縮されたショートムービーの魅力とともに、映画祭の中で生まれた新しい試みを楽しんで欲しい」と述べた。
続けて、別所氏はSSFF & ASIA 2010の開催概要を説明。アワード部門に「ミュージックShort クリエイティブ部門」(PV部門は昨年から)と「旅シヨーット!プロジェクト」(観光庁とのコラボレーション)を新設したことと、その意義について説明した。「映画祭の開催とともに、我々は常に次のマーケットづくり、いかにビジネスにつなげていくかを考えていて、『進化』と『変化』を今後も目指していきたい」と述べた。その一環として新部門の設立があり、もう一つの大きな試みとして作品を i アプリとして販売していくことがある。まずは国内での販売が発表当日の5月18日にスタート、米国アップルへの申請が通り次第、海外での販売も始まる(詳細は別途)。
音楽と映像の新たな融合
これまで音楽の映像といえば、プロモーションビデオ(PV)のようなミュージシャンが映像クリエイターと組んで製作されるものがほとんどで、ミュージシャンの手を完全に離れたものはほとんどなかった。しかし、現在では他自分の楽曲を者に委ねてどうなるのかを積極的に面白がってくれる動きも出てきている。新たにスタートした「ミュージックShort クリエイティブ部門」はミュージシャンから提供された楽曲からインスパイアされて映像作品を作るというコンセプトで、PVとはまた一味違ったオリジナリティあふれる映像が期待されている。
このリーダー的な役割を果たし、次の応募を促進するという位置づけで、今回3人の監督による特別製作作品が作られ、披露された。3人の監督はいずれもSSFF & ASIAで過去に受賞したクリエイターである。
FROGMAN.jpg「蛙男商会」代表のFROGMAN監督の作品は、iTunesのエレクトロチャート1位を記録したLILの「me, too」を使用したアニメーションで、タイトルもそのまま「me, too」。映画監督になりたいという青年。しかし、父親は「お前には才能がない」と厳しい。その父もかつては…というちょっとシュールでコミカルな作品。
FROGMAN監督は「(この映画祭は)映像作家を目指す人の登竜門なので、作品にもそうした自分の姿を投影できればいいなと思いました」とコメント。FROGMAN作品の常として、女性キャラを除くすべての声を監督自らが担当している。「だいたいにおいて予算がないのと、ショートムービーはいかにストレートに自分たちの思いを反映させるかですから、自分できることはやる」とその理由を説明。
楽曲を提供したLILのucioさんとtsugeさんも出席。「自分たちの曲がアニメーションに使われて光栄というか、ありがとうございますという感じ」(tsugeさん)と感謝の言葉を述べた。
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左からLILのボーカルucioさん、FROGMAN監督、LILのトラックメイカーtsugeさん
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FROGMAN監督「me, too」 6分10秒 使用楽曲:LIL 「me, too」
素直になれないヒトオに、突如、襲いかかる巨大ロボと父の愛。

WATANABE.jpg次に渡邊世紀監督作品「ゆっきーな」の発表と上映。主演の木下優樹菜さんをはじめオールキャストが勢ぞろいし、華やいだ印象だった。使用楽曲は大黒摩季「あなただけを見つめてる」。大黒さんによれば女友達の愚痴を聞いて、発散させてあげようと作った曲だそう。
渡邊監督は「歌詞が『あなた色に染まる』とか、そこまでやるか、という内容なんですが、それを大黒さんは堂々と歌い上げていて、説得力があるしいろいろイメージが沸きました」とコメント。ストレートなタイトルとはうらはらに、木下優樹菜さんの起用法にはひとひねりある。大黒さんは「私の中でも一番リアリティが強い曲なのでどうなるかと思っていましたが、最高の恋愛を見せてもらいました」と話す一方、ヒロインの設定はサプライズだったとも。
主演の木下さんは「誰も見たことがない優樹菜を見てもらうということで、タイトルはうれしい反面、期待に応えられるのか不安もありました。(主人公が)一つ頑張れることを見つけて、努力して達成できた。そこに思い出があります」と初の主演で手応えを感じた様子だった。また共演者を代表して、亀石征一朗さんからSSFF & ASIAに向けて期待の言葉が述べられた。
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前列左から渡邊世紀監督、大黒摩季さん、木下優樹菜さん、亀石征一朗さん、稲川美代子さん、後列左から谷畑聡さん、黒澤ゆりかさん、間宮梨花さん、伊藤ななみさん。
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渡邊世紀監督「ゆっきーな」 11分38秒 使用楽曲:大黒摩季「あなただけを見つめてる」
妻を亡くした政治家。ある日、妻の友達と名乗るギャルが現れ…。

HIDAKA.jpg3本目は日高尚人監督「ミステルロココ」。土屋アンナ「Brave vibration」を楽曲に使用し、失恋した少女の華麗で壮絶な復活を描いたラブコメディ。主演は佐津川愛美さん。日高監督の記事は「ビデオサロン」6月号にも掲載されているので、そちらもぜひご覧いただきたい。
「土屋さんのイメージそのままの曲。闘って強く、キラキラ輝く女性ということで、それはもうプロレスだろうと」。日高監督は楽曲を決めた時点でプロレスを題材にすることを決めていたようだ。「PVとは違い、味付けをこちらでやっていいところが面白く、印象的なフレーズを画面に取り込んだりプロレス技にしてみたり」。土屋さんが怒らないか心配だったというが、当の土屋さんは「ウケました! どうなっていくんだろうと思っていたらこう来たかと。自分ではイメージできないものを作られると、この人頭いいなと思う」
主演の佐津川さんはロリータファッションは普段したことないので楽しめたと話し、「猫ひろしさんとの共演もすごく楽しくやらせていただきました」と続けたところで「そこ書いておいて」と彼氏役の猫さん。人生初のモテ役に「ひろし感激!」 プロレスパートで佐津川さんの「代役」でミステルロココとして闘ったミステルカカオ選手と、猫さんの「今カノ」役で対戦相手を務めたバンクーバーキャット選手も挨拶した。
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左から日高尚人監督、土屋アンナさん、佐津川愛美さん、猫ひろしさん、ミステルカカオ選手、バンクーバーキャット選手。
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日高尚人監督「ミステルロココ」 13分30秒 使用楽曲:土屋アンナ「Brave vibration」
失恋した少女の華麗で壮絶な復活劇を描いた異色のラブコメディ。

この3作品はSSFF & ASIA 2010にてプレミア上映される。このほか、特別参加作品として「ユリイカ」で知られる青山真治監督が本映画祭のために制作した作品「DOWN」(使用楽曲:マルカート「マロニエ通り」)がプレミア上映。特別招待作品として、「日本の唱歌・童謡という大切なたからものを子供たちに継いでいきたい」という坂本龍一氏のコンセプトに基づいて、さまざまな音楽家と映像作家が集結し制作した「にほんのうたフィルム」が上映される。
「ミュージックShortクリエイティブ部門」の一般公募では、107本の作品が寄せられ、うち27本が上映予定。この中から優秀作品にフェイス・ワンダーワークスアワードが授与される。
問:ショートショート フィルム フェスティバル & アジア事務局
Tel. 03-5474-8844
オフィシャルサイト http://www.shortshorts.org/2010/