あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


さて、年明け早々
お詫びなのですが、今年は年賀状を製作することができませんでした!
毎年、お世話になった取材先、メーカーの方々、ビデオクラブの関係の方々、ライターの方々に出しているのですが、今年は12月頭から多忙を極め、ついつい忘れてしまいました。
いや、頭の片隅にはあったんですけど、、、
私のマルチタスク能力の低さ、ということで、どうかお許しください。
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▲そのかわり、プライベートの年賀状の一部拡大です・・・(ゆるくてすみません)。

今年のビデオはどうなっていくのか?


さて、年頭にあたり、今年のビデオ界がどうなっていくのか、希望的観測も含めて
つらつら書いてみたいと思います。
今、海の向こうではCESが開催されていて、これから刻々とニュースが入ってくると
思いますが。
キーワードは、昨年から引き続いて
◎大判センサー
◎1080/60p
◎3D
でしょう。

大判センサー化の動き


「大判センサー化の動き」は、もちろんEOS MOVIEを中心にした「デジタル一眼ムービー」の
盛り上がりが背景にあります。
個人的に、デジタル一眼ムービーの世界が面白いと思ってるのは、メーカーの商品企画とかマーケティングとはあまり関係なく、盛り上がってきたことにあります。
そもそも、当初メーカー側にはこいつで映像の世界を変えてやろうという戦略は
あんまりなかったわけですよ。
ところが、一眼レフカメラの大判センサーでハイビジョン解像度の信号を1秒24コマ、もしくは30コマ読み出せるようになったという技術が先にあり(つまり「できちゃった技術」)、
それが図らずも、一部のユーザーに熱烈に支持された。
それも、マニアではなく、プロフェッショナルが仕事で使うようになった。
とすると、当然、ビデオとしては使いにくいわけですから、それを補うアクセサリーや工夫などの情報が必要になり、その情報をユーザーどうしが交換したり、雑誌などのメディアが提供したり、意欲あるサードパーティがオリジナルの商品を作ったりする。
今まで、映像機器の世界は、どうしてもメーカーお仕着せのものにしかなかったのが、
この世界は、案外ゆるくて、自由なところもいいような気がしています。
そして、何より安い! というか価格破壊でしょ・・・。
こういった流れを、従来のビデオカメラメーカーが黙って見過ごすわけにはいかないでしょう。一部マニアのお遊びであれば、無視もできますが、
プロがドラマや映画で使うとなると、これまでの市場が喰われてしまうわけですから。
そこで昨年末からどどっと出てきたのが、パナソニックのAG-AF105や、ソニーのPMW-F3、
さらに今年登場するEマウントのNXCAMなのです。
デジタル一眼ムービーに対して、「本業」の側がどう対抗するのか。
もしくはきちんと棲み分けができるのか。それを決めるのはユーザーでしょうね。
特にF3は、ある意味、革命かもしれません。
この映像は多くの人に見てもらいたいと思っています。
そういえば、XDCAM EXが出てたときも「放送用カメラグループが作る低価格・小型カメラ」としてビデオサロンでは熱烈支持!を打ち出したわけですが、このF3も当然、熱狂を持って迎えますよ〜。やっぱりソニーの厚木、恐るべしです。
200万円でクルマ買うなら、ぜひF3のほうにしていただきたいですね。
が、しかし!
それはプロフェッショナルレベルの話であって、個人やハイアマチュアレベルでは、
F3はおろか、EマウントのNXCAMだって60万円ですから、
ちょっと手が届かない感じですよね。
とすると、もう少しビデオ的に使いやすくなるEOS MOVIE、
たとえば5Dの次のバージョンなんかは注目のような気がしています。

1080/60pはどうなる?


昨年、編集部における画質的な最大の衝撃は、パナソニックの家庭用AVCHDカメラ、TM700の1080/60pの画でした。それを報告した号では、読者の方から、「それは騒ぎ過ぎでしょ」という反応もいただいたのですが、半年以上たった今でも、あの画の衝撃は残っていますし、
あの誌面での反応は絶対間違っていないと思っています。
TM700の1080/60pは動きの滑らかさというよりは、一枚も二枚もヴェールをはいだような、とにかく見通しのよい映像。とてもリアルで、自分の視力がよくなったような感覚すら覚えます。これは50インチのプラズマだけでなく、20インチ程度のPCディスプレイでも同様の効果が
得られるのです。
1080/60pが凄いというよりも、これまでの60iは折り返し歪みのために、
いかに鈍っていたか(鈍らせていたか)ということを思い知らされたといってもいいでしょう。これからの映像信号は基本的に60pベースになってほしいと本気で思っています。
センサーからの読み出しは60pであり、記録は60p、30p、24pを選択できればいいのです。
60pが万能とは思っていません。あくまで24p、30pも選べることが重要です。
60pでセンサーから読み出せば24pや30p記録時でもCMOSのローリングシャッター歪みがいくらか軽減されるというメリットもあります。
もちろん60p記録は、ただ、単に60iを60pにすればいいという話ではなく、信号処理も合わせて
60pに最適化しなければなりません。実はパナソニック以前にも1080/60pをやったメーカーもありましたが、そのときはまったく話題になりませんでした。これからも60pを採用するメーカーはあっても、そのあたりはきっと問題になるでしょうね。つまりデータ処理量を倍にしてそれに見あうだけの画質向上が見込めるのかということです。
それから、さらに。
技術的には60pで終わり、ということではないと思っています。
ぜひ、120p、240pを実現してほしいですね(2011年中は無理にしても)。
もちろん映像フォーマットとしては、現状60pまでしかないわけですから、
これはあくまでセンサー読み出しのことであり、ハイスピード撮影用ということです。
肉眼では見られない体験が得られるのが、ビデオカメラであってほしい。
肉眼そのままのリアルということであれば、自分の眼で見ればいいわけですから(笑)。
個人的には3Dよりも、フルHDでのハイスピード読み出し技術に期待しています。
で、1080/60pの現状での問題を整理しておくと、
●ブルーレイに規格そのものが存在せず、光ディスクに保存できないこと
●主要な編集ソフトで編集できないこと
です。この問題を解消する順序として、まずはソニーが1080/60pを採用し、AVCHDの拡張規格として1080/60pを認め、その後にBDの規格化を進めるということでしょう。
実はこれは道筋が見えてきました。ソニーがInterBEE2010で参考出品したEマウント採用のNXCAMが1080/60p対応を宣言したからです。AVCHDは、そもそもソニーとパナソニックが制定した規格ですから、ソニーがGOサインを出せば、話は進みはじめます。BDレコーダーを展開している主要メーカーもソニー、パナソニックです。2011年中にはBD保存、編集への道が拓けてほしいものです。

3Dカメラと3D映像制作


さて、最後に3Dです。
昨年は夏にパナソニックから業務用の3Dカメラ、3DA1が登場し、すぐそのあとに、コンバージョンレンズ方式の家庭用3Dカメラも登場しました。ソニーも業務用で二眼式の3Dカメラを参考出品しましたし、今回のCESでは、家庭用の3Dカメラも各社から提案されることでしょう。
ただ、3Dというのは、SDからHDへという必然の進化ではなく、新しい表現手段が加わったと捉えたほうがいいように思います。何でも3Dにすればいいというわけではなく、明らかに向いたコンテンツがあり、それを突き詰めれば、新しい市場を生み出せるかもしれません。
映画は別にして、昨年見た中で、これは可能性があると強く思ったのは、
◎アイドル、グラビア映像
◎水中映像、昆虫映像など図鑑的なもの
でした。このふたつはSDがHDになった以上の視覚的興奮が得られました。
ちなみに女の子モノの映像ですが、「アダルト」になるとそれほどでもないそうです(見たことのある人によると。ちなみに私は見てませんが)。顔とか水着とかある程度コントラストのある被写体でないと、どうやら3D効果が得られにくいようです。
生き物関係も、これまでにない視覚体験でした。あるテスターさんが試しに作った昆虫の3D映像を見たのですが、怪獣映画なんて目じゃないくらいグロテスクで驚天動地の世界が、そこにはありました。きっとカブトムシやクワガタの対決なんて3D映像があれば、子どもが大興奮すること間違いなしです。
3Dは、一眼ムービーとは違って、どちらかというとメーカー主導の趣が強くて、それにユーザーが期待したほど反応していないという状況ではないでしょうか。それもそのはずで、みんな、映画以外に凄い3D映像を見ていないからなのです。まずは業務用の3Dカメラが普及して、いかに説得力のある3D映像を作ることができるか、ということに尽きるでしょう。
個人レベルでは、その映像体験を経ることで、自分もああいうのを作りたいという欲求が起きてくるに違いありません。それにはちょっと時間がかかりますね。