【動画つき】キヤノンiVIS HF G10 完全リポート


画質、そして操作性の上でも家庭用ビデオカメラ最高峰の呼び声高いキヤノンのiVIS新フラッグシップモデル、HF G10。4月号誌面でその魅力と実力をキヤノン特集とHF G10単独レポートそれぞれでお伝えしたが、当サイトでも再度そのレポートを紹介したい。
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今年の春モデルの中でも特に注目が集まる話題の新アイビス、HF G10をいち早くフィールドに持ち出し、その画と操作感を堪能。それは、想像を大きく超えるレベルのものだった。
<レポート:菅原 安> 


卓越した描写力と圧巻の表現力が高次元で融合


HF G10 MXPモード撮影(以下同)

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◎露出もフォーカスも撮り手の意図にぴたりと呼応してくれる
憧れのプロ用業務機の性能が家庭用ビデオカメラで味わえる、映像シューティングを本気で楽しめるモデルが登場した。キヤノン新モデル、iVIS HF G10の特徴は、同社業務用カメラと同じ撮像素子搭載、家庭用随一の優れた操作性、充実したレンズ光学特性等が挙げられる。これらの特徴からHF G10は家庭用ビデオが歩んできたオート&コンパクト化とはまったく違う設計思想を感じとれる。それは疑うことのないビデオカメラの本質=“動画を捉える”に特化している点だ。
 放送用途の業務機XF105/100で採用されたものと同じ1/3型・総画素237万のセンサーは動画専用に設計された撮像素子で、高ダイナミックレンジ、豊かな階調表現、暗所でもノイズの少ない撮影が可能で、今までの家庭用コンパクト機とは一線を画す性能を謳っている。筆者はそのXF100のテストも行なっており、レポートの結びで「家庭用版XF100を強く望む」と記したのだが、まさかこんなに早く実現するとは嬉しい驚きであった。
 さて、優れた撮像素子を生かす操作性はどうだろうか。同じセンサーやレンズを使いながらも家庭用と業務用で区分されているのが、この部分でもある。家庭用のHF G10はタッチパネル式の液晶モニターで直感的操作ができるが、そのほかにもレンズ部にフォーカスリングとボディ後部のカスタムダイヤルという2つのマニュアル操作部を持つ。アルミ製のフォーカスリングはコンパクト機では類を見ないトルク感と質感で、まずここにググッときた。カスタムダイヤルはAV/TV、マニュアル露出、AGCリミット、露出補正の操作を切り替え式で受け持つ。
しかし撮像素子とマニュアルの操作性だけが本機の優れている点ではない。光学系も業務機XF105/100から引き継いでいる。35㎜換算で30.4㎜から始まる10倍ズームは、8枚構成の絞り羽根による美しいボケ味と相まって、近距離の広角映像から望遠域まで魅力的な画作りが可能となる。
●完全マニュアル操作に対応
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ゲイン調整機能まで含めたここまでの完全マニュアル露出は、フィールドでの撮影で実に重宝する。またフォーカス操作だけに特化したリングの搭載も嬉しい。どちらも撮影者の嗜好を大事にした機能で、思う存分活用したい。
◎露出調整はダイヤルでも操作できる
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TV/AV・マニュアル露出・AGC・露出補正から選んでおくと、カスタムダイヤルで操作ができる。タッチパネルでも露出操作は可能だが、このダイヤル操作が実撮影で役立った。

基本画質も大きく飛躍


下は日の出前のシーンを従来機のHF S21とHF G10で撮影した画。両機ともF1.8・1/8 秒・+12dBでの画像。こういう厳しい条件ほど集光効率がひじょうに良いHF G10の撮像素子の利点が生きてくる。微妙に変化する空のグラデーションの冴えや暗部の締まり、カラーノイズの少なさは家庭用機の中にあって特筆ものと言える。
▼従来機 HF S21
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▼HF G10
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◎8枚羽根虹彩絞りを採用
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センサーの余裕が画に現れる


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HF G10の画の特徴はダイナミックレンジの余裕にある。その余裕が厳しい条件でも全体の底上げとなり、露出も明るめから暗めまでしっかり対応してくれる。これまでの家庭用カメラでは諦めざるを得ない逆光条件でも、HF G10なら積極的に逆光撮影を楽しむことができる。夕景や朝陽はその最たる被写体だろう。
◎微妙な露出コントロールを楽しめる
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逆光撮影の醍醐味は撮影者が自由に露出を決められること。ほんの少しの補正量の違いで表現は変わってくる。そんな微妙な画作りを、このカメラなら楽しめる。

フィールドで頼りになる撮影アシスト機能&性能


動画撮影は刻々と変化するピントや露出に臨機応変に対応しなければならない。基本操作とアシスト機能がバランスよくリンクしていると、シューティングは一気に快適になる。
HF G10の魅力は現場で使える機能や性能の充実にもある。特にフォーカス性能とともにフォーカスアシスト機能は、マニュアルフォーカス時に様々なスタイルでピントの追い込みができるので頼りにしたい機能だ。また画作りに影響するNDフィルターのON/OFF、3秒前からの映像をループ記録し決定的瞬間を逃さないプレREC機能も大いに活用したい。
 優れたビデオカメラは「画質×操作性×信頼性」のバランスが絶妙にとれているものを指すと私は常々思っている。HF G10は極端なコンパクト化に走らず、動画撮影に必要な機能を素直に搭載しているカメラだ。その結果、稀にみるバランスが保たれた美しいビデオカメラとして仕上がっている。
今回の撮影でこのカメラと向き合う時間が長くなるにつれ、本機の目指す画作りが見えてきた。優しい画作りが基調となっているが、業務機ほど淡白な画調ではなく、捉えた被写体を強く描き出す表現力にも長けている。その「画作りの妙」に引き込まれそうな感じになったのは、家庭用ビデオでは初めての経験だと言っていい。
◎フォーカスアシスト機能も進化
▼拡大フォーカス
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▼エッジモニター
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HF G10のピント調整のアシスト機能は3 種類ある。従来の拡大フォーカス機能、輪郭に色がつくピーキング表示機能に加え、波形表示でピントの山を捉えるエッジモニター機能が加わった。これらのアシスト機能でマニュアルフォーカスの追い込みができる。
◎新搭載のソフトズームコントロールやプレRECも使える
▼ソフトズームコントロール
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▼プレREC
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家庭用機での撮影の場合、プロのズーミング表現と違うのがズームの立ち上がりと終わりの滑らかさだが、HF G10はこれをサポートしてくれる機能を新設。その緩やかな効果は上質な画作りを見せてくれる。また自然の撮影ではプレRECは欠かせない便利機能で、お勧めしたい。
◎MOD(最至近撮影距離)60㎝の力
MOD(最至近撮影距離)値の60㎝で紅梅を捉え、そこから一気にズームアウトして画角の変化を楽しむ。通常テレマクロなど限られたズーム域だけとなるがHF G10では60㎝の全域撮影ができる。もちろんワイド端では2㎝からの近接撮影も可能。
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HF G10でここまで撮れる! 驚異の家庭用ビデオカメラ


数多くのビデオカメラを触り、実戦で撮ってきた菅原氏をしてここまで感嘆させたキヤノンHF G10。そのHF G10で撮影した動画をお見せしたい。「本当に家庭用カメラでここまで…?」と目を疑うかもしれないが、紛れもなく家庭用ビデオカメラ・HF G10で撮影した映像である。じっくりと観てほしい。(編集部)

通信環境および視聴時間帯によってYouTube画面が滑らかに再生されない場合もあります。ご了承ください。
◎HF G10の詳しい情報は
キヤノン iVIS HF G10公式HP

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