鉄道ムービーの愉しみ「大俯瞰撮影の魅力」2011年7月号


ビデオカメラもハイビジョンになって、それまで表現できなかった細かいところまで表現できるようになりました。雄大な風景の中を走る列車を、山の高いところから撮る大俯瞰撮影もやってみたいものです。
撮影ポイントの探し方ですが、まずは線路側から周辺の山を見回してみましょう。道のガードレールや展望台を探して行ってみると、予想に反して海が見えたり、遠い山々まで見えたりして、思いがけない撮影ポイントに出会えることがあります。


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琵琶湖をバックに走る湖西線の特急サンダーバード。 湖西線 北小松―近江高島

撮影ポイント探しの注意点


広い風景の中の列車を撮影するためには、通常の撮影以上に列車が目立つことが必須条件です。ひとつは線路付近に建物などの人工物が少ないこと。家の間を走るような場所では、これらに埋もれて列車がどこを走っているのか分からなくなります。線路付近ができるだけシンプルなところが良い俯瞰撮影地です。
もうひとつは列車の色。背景に埋もれない明るい色の列車を狙うと、より列車の存在感が出て良い結果になります。

車両の色による見え方の違い
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球磨川沿いに走るSL人吉。列車全体が黒色なので、どこを走っているか分かりにくい。 肥薩線 瀬戸石―海路
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同じ場所でも明るい色のディーゼルカーは、はっきり認識することができる。

俯瞰撮影の方法


俯瞰撮影において、撮影ポイントや列車の色などから車両の認識を行っても、やはり具体的にどんな車両(形式)が走っているのかまでは、なかなか分からないものです。
そこで、列車のアップから始まって、徐々に広い画面にズームアウトして大俯瞰の魅力を見せる方法があります。別に撮影した列車のアップ目のカットで見る人に車両を認識してもらい、その後のカットで大俯瞰の映像を見せる方法もあります。
天気が良くて空気のクリアな日の撮影時には、ぜひ周辺の山や丘を見渡して、撮影ができそうな俯瞰ポイントがないか探してみてください。

俯瞰映像の前にアップカットを
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列車の形がはっきりと分かるシーンで車両を認識してもらう。 只見線 会津高田-新鶴
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その後大俯瞰の映像を見せると、小さな車両でも何が走っているのか分かって見ることができる。

徐々にズームアウトして大俯瞰カットに

列車がある程度認識できる画角から列車の動きにあわせて狙いの広い画角にズームアウトするのも、大俯瞰撮影には有効な方法。 
紀勢本線 相賀-尾鷲



今月のお奨め路線 富良野線


富良野線は北海道、函館本線終点の旭川駅から根室本線の富良野駅を結ぶローカル線です。沿線には丘の風景で有名な美瑛や、上富良野の日の出公園、花の丘のファーム富田などラベンダーや花々の公園があり、季節にはトロッコ列車なども走っている観光路線でもあります。
映像は美瑛と美馬牛間の丘の風景です。年によっても異なりますが、麦畑が丘陵に広がる美しい風景を見ることができます。その他にも上富良野-西中間ではバックに大きく十勝岳が入り、夏だけの臨時駅ラベンダー畑付近ではファーム富田の花畑と列車を入れることが出来ます。ラベンダーの季節は例年7月中旬頃、北海道の短い夏にぜひ訪れてみたい撮影地です。



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【筆者プロフィール】佐々倉 実
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鉄道映像作家。小学生の頃から鉄道写真を始め、大学生の頃、当時鉄道員をしていた今井洋氏と出会って以来、製作活動をともにする。現在は、佐々倉氏が撮影、今井氏が編集を担当し、雑誌やDVDパッケージを中心に鉄道ビデオを製作している。DVDに『魅惑の蒸気機関車 四季SL紀行』、『日本の鉄道 新幹線・特急編/蒸気機関車ローカル線編』などがある。2010年7月に『感動の美景鉄道』(MAXAM)が発売された。
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