第8回上映 中野 森 監督作品 『今日は秋刀魚の日』


中野 森(しん)監督が「藤沢シネマ」の企画書を提出したのは3月のこと。当初から秋をテーマにした企画になっており、一眼ムービーで「食」の魅力も表現したいと秋刀魚を題材にしてきた。写真では表現できない世界に挑戦すると言う。
 映像ディレクターとして会社勤めの傍ら、映画&演劇企画団体「ピースカンパニークルー」を主宰。舞台の演出までこなす。撮影当日は気心が知れたスタッフとともに、見事なチームワークで現場を回していたのが印象的だった。
 おじいさん役との共演も初だが、金子さんの感情のこもった台詞回しに引っ張られた藤沢さんの演技にも注目。「藤沢シネマ」としては初の主題歌も用意されている。さて、上映時間になりました!


『今日は秋刀魚の日』



あらすじ
シノブ(藤沢)の祖父ケンジ(金子)は毎月30日には秋刀魚を焼いて食べていた。ある日、失恋したシノブは生涯をかけた祖父の恋の話を聞くことに。少女が少しだけ大人になる。●カメラ:キヤノンEOS 7D / ●編集:Final Cut Pro 7 / ●上映時間:8分06秒
脚本・監督・撮影・編集●中野 森
nakano08.jpg
▲映画&演劇企画団体「ピースカンパニークルー」代表。毎年夏には演劇公演と映画上映を併せた「ピーカンフェス」を開催している。
ピースカンパニークルー公式HP●http://piececompanycrew.web.fc2.com
主演/藤沢シノブ(17)役●藤沢玲花
fujisawa08.jpg
▲両親と祖父と暮らす高校二年生。柔道をやっているせいか男勝りの性格。入学当時からつき合っていた先輩に突然振られてしまう。
藤沢玲花さんの公式HP(ジェイライブ) ●http://jlive.tv/reika.html
藤沢ケンジ(70)役●金子一夫
kaneko08.jpg
▲明るくて優しいおじいさん。昔は漁師。孫のシノブからは「けんじい」と呼ばれ仲がいい。毎月30日には七輪を出して秋刀魚を焼く。
制作スタッフ
all08.jpg
準主演の秋刀魚と供に最高の笑顔! 後列左から制作と若かりしケンジ役を演じた平井智章さん、録音の中川 望さん、中央左から助監督の門脇 萌さん、撮影助手の左居結城さん、照明の羽倉大地さん。
題字●松田沙弓
小道具●加藤 舞
主題歌●「I wanna be with you」山田智子

制作後記 / 中野 森


「良い短編映画を作るには、良い短編映画用のシナリオが必要である。短い時間の中にも、ちゃんとした起承転結のあるドラマを作ろう」…そんなことを思いながら、まずは脚本家としての戦いです。
 今回の企画に関係なく、映像作品を作るにはいつだって、時間にも制作費にも厳しい制約はつきもの。しかし、その制約が逆に想像力を豊かにしてくれます。秋の店頭に並ぶ雑誌の中に、どんな物語があれば楽しいか。モチーフは秋の風物詩、「秋刀魚」に決定。作品を観た後は思わず「今夜は秋刀魚にしよう」と言ってもらえるような、ユニークな映画を作ろう。
 数回のロケハンの後、撮影場所を決定。シナリオにピッタリなのはもちろん、移動時間を考慮して選びました。最近よく感じるのは、一眼ムービーによる少人数での撮影だと、スタジオやロケ地にかかる負担が減り、ロケ地の選択肢が増えるということ。撮影に入る前にも恩恵を得ています。
 出演者のお二人は以前からよく知る俳優。映像だけでなく、舞台演劇の場においても多くの観客たちを魅了してきた名優です。感情の動きが繊細な今回の作品。お二人には本番前に、ワンシーンごとに芝居を通してもらい、その芝居に寄り添う形で手持ちでの撮影を多用した。ワンカットワンカットがぶつ切りではなく、相手の細かい心境の変化を受けての自然な演技は、まさにいつまでも見ていたくなるような上質な演劇作品のように思えた。
 天候が不安定で、一時的な雨にもあったが、数々の作品づくりを共にしてきた信頼のおける仲間たちのおかげでスムーズに撮影終了。しかし、映画とは撮影現場だけで生み出されるものではありません。主題歌、タイトルのデザインは前もって別の方たちに依頼。主題歌に関しては、役作りの段階で俳優さんにも聞いてもらいました。いくつもの才能が集まって、よりよい作品が生まれる。映画が『総合芸術』と呼ばれる所以です。
 それではご覧ください。ご鑑賞の後は、ぜひ美味しい秋刀魚を!