ゲイン0dBを考える


最近になってビデオカメラのゲイン0dBって何だろうと思わされるケースが増えてきました。
きっかけは大判センサーカメラの登場です。


ビデオカメラはゲイン0,3,6,9,12dB〜(場合によってはマイナスゲインも)という表記になってきて、ENGカメラなどは、基本的にはゲイン0dB。それでも明るさが足りなければ「非常手段」としてゲインを「仕方なく」上げていく、ということになります。なぜかというとゲインが上がればノイズも増えるからです。しかしここのところのセンサーと回路の進化は目覚ましく、映像を確認してみて、9dBとか12dBくらいではほとんどノイズ問題ないよね、カメラによっては20dBくらいでも別にいいよね、ということもよくあり、一応検証してから使うことになります。
本来はそのゲインでのS/Nが問題なのであって、
同じ条件で、Aのカメラは12dBまで上がるけど、Bのカメラは6dBで撮れるから
Bのカメラのほうが明るくていいとは単純には喜べないわけで。
ゲインアップによるノイズは10年前と今ではまったく比較にならないし、
メーカーやセンサーによっても違います。
重要なのは値ではなくて、ゲインアップしたときのS/Nがその用途で実用かどうかです。
ここ最近のビデオサロン誌のレポートでいうと、
ソニーVG30のレポート(12月号)で、
VG30はゲイン0がISO200程度の設定で、
個人の見解で+6dB付近を基準にすればよいと思う、と
斎藤カメラマンは書かれています。
同じセンサーを使ったソニーEA50のレポートでは
岡さんが1月号で
「ENGカメラマンはゲイン0が当たり前なのだが、EA50の場合は
ゲイン0はあり得ない。通常の0と思われる感度は
+9から+12dB程度に設定するのが正しい。できればISO表示で覚えたほうが良い」
と書かれています。
ただこれまでのビデオカメラの感覚だとゲインを上げることにためらいがありますよね。
できれば上げたくない。上げないほうがいいという感覚が染みついているのです。
ゲインアップに抵抗があるのは、
それはビデオカメラのスイッチ機構にも原因があります。
ENGカメラなどは、L/M/Hの3ポジションスイッチになっていて、L/M/Hには任意のゲインを割り当てられるのですが、基本的にLは0dBにして、Lで撮れるのであれば、Lにしていくというのが普通の感覚でしょう。
▼ちなみにこれはHMC155の部分

しかし、そのゲイン0dBってどういう値なの?ということになります。
メーカーがそのセンサーで決める値なわけですが、
同じメーカーで同じセンサーであっても、ソニーのF3とFS100Jでは0dBの基準が違うというのですから、これはもう設計者の思想ということになります。
一方でEOSムービーなどでは、ISO表記で、400、640、800〜と一応業界標準の値になります。
大判センサーカメラになると、ISO表示とゲイン表示を切り替えることができますが、
当然カメラによって0dBがISOいくつなのかの値は変わってくるわけです。
たとえばEOS C300、C100などはISO640が0dBで
もっとも幅広いダイナミックレンジが確保できるとされています。
http://cweb.canon.jp/cinema-eos/special/canon-log/shooting/index.html
かつてのDVX100はISO640相当と言われていたような気がしますし、
FS100とFS700はISO500でしたでしょうか(間違っていたらすみません)。
ゲインアップすると盛大にノイズが出るという時代ではないのですから、
もうこのあたりで、ISOに統一したほうが混乱しないような気がしますがどうでしょうか。
操作性にしてもゲインの3ポジションスイッチというのは
ダイヤルがなかった時代の遺物でしかありません。
このスイッチを放送業務用カメラと同じ操作性だからというのは、宣伝文句にもならないし、
ほとんどの人にとってユーザーメリットがないよなあと思うのです。
しかもその3ポジションに割り当てるゲインはメニューに入っていって決めるというのは
あまりに面倒くさいのです。
シンプルでかつ今の時代にあった操作体系ってないものでしょうか。