【7月号記事連動】魁!! ビデオ道場


月刊誌「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者には金2万円ほか、大賞・入賞および掲載作品にもその栄誉をたたえてステッカーを贈呈しています。詳細は誌面をご覧ください。今回は2013年7月号掲載の作品を紹介します。
審査/解説◉岡野 肇


【入賞】「あらたな家族とさんぽ」小野寺久夫さん(岩手県八幡平市)

ファーストカットから、広角を上手く使ってますね。反面、遠くからそっと覗いているようなロングショットもありと、多彩なカメラワークが光っています。なぜか郷愁を誘うこの作品。淡々とした語り口ですが、突然現れた猫に対する作者の思いがよく伝わってきます。自然な流れの、良い意味での「脱力系」の名作です。
【入賞】「初愛宕大祭」河合典之さん(三重県松阪市)

あえてナレーションを廃し、現場音だけて進んでいく神事の数々。カメラはローアングルを駆使し、アップ、望遠、火ナメ、煙ナメと考えられるすべてのアングルではなかろうかというくらいに、進行を追っていく。こういう祭りの作品もあっていいと思います。その構成・演出に拍手を送ります。
【入賞】「わが家のベランダ」宮井富子さん(福岡県北九州市)

足掛け5年に渡る撮影素材を編集しての、何とも心温まる「お庭日記」。いろいろな小物を並べて、餌の果物もレイアウトを考えて配置。その庭だけでもきれいなのですが「動く小道具」のメジロたちが、また可愛い姿を見せてくれます。BGMの選曲もいいです。ビデオ作品になると、まるで「箱庭」を眺めているようです。
【入賞】「雨乞い一意専心」小川喜一郎さん(神奈川県横浜市)

このコーナーを担当する醍醐味の一つは、この作品のように「まだまだ日本には面白くて知らないことがある」という体験ができること。本番1週間前からしっかり取材と撮影。そして、とことんわかりやすさを追求したテロップやナレーション。とても好感が持てます。
【大賞】「銀色のしじま」小野進さん(東京都八王子市)

独特の世界で、染み入るナレーション。一瞬異国感さえ漂う別世界のように見事に描いています。「凍結する滝」というのは珍しい題材ではありませんが、この作品では、その細部や全体像を仕掛けなしの直球勝負で映像化しています。タイトルの「銀色」にとどまらす様々な淡い色さえ感じるのも見事です。自然の光景にストーリーを加えた秀作と言えるでしょう。
「楕円球を追って[50年の時空]」高田義久さん(北海道札幌市)

ラグビーにかけた青春プレイバック作品。球技は俯瞰から撮るのが常識ですが、このラグビーだけはグランドからの選手目線のカメラがいい味を出します。試合中に1カットで良いので象徴的なカット(構図)が欲しかったです。
「雪国」渡辺俊雄さん(東京都多摩市)

「雪祭り」発祥の地、新潟十日町からの大雪便り。住んでいる方は大変ですが、上手く撮れば「雪」は面白い題材です。この作品は、雪そのものと地域の行事を上手く絡めた歳時記。「より」と「ひき」をしっかりおさえて作者に好感。
「西明寺と紅葉」関口豊さん(埼玉県狭山市)

意表をつくヨーロッパ調のBGMにのせて綴られる紅葉の1日。三脚禁止が逆にアングルに変化を与えて、高低を上手く使ったポジョンに活かされています。ナレーションも少なめで、体感的に様々な紅葉パターンを堪能。
「小春日和の公園」庄 寛さん(福岡県宗像市)

整備された公園での冬から春への時の流れを探す。静止画も織り交ぜてとても色鮮やかでですが、見ている側としてもう一つの視点を探しながら見てしまいました。作者の気持ちの伝わるカットが欲しかったですね。
「北八ヶ岳 丸山と中山」吉野和彦さん(長野県松本市)

見るものに体感させるような丁寧な説明と、決して過多にならないイメージショット。作者の真骨頂の山岳作品です。実用と鑑賞を両得できるクオリティの高さに脱帽します。自分撮りも程よい使い方で、素材も絶妙の配分です。
「親緑④SHINRYOKU&JAZZ」金谷功さん(京都府京都市)

ジャズの名曲3曲にのせて、それぞれ個性ある編集で見せるア・ラカルト的なイメージ作品。1曲目は移動ショット、2曲目は静止画、そして3曲目はズーム・パンと多彩。曲のイメージでつないでいくのも一つの方法ですね。
「潮騒(しおさい)」林田敏美さん(長崎県諫早市)

斬新なアングルも多く、美しい浜辺が切り取られているのですが、つなぎ(構成・編集)には、感情移入できませんでした。1カットの長さや、次のカットが前のカットと差が出るように画角を選ぶ等、小さなストーリーを作ってみてください。
「阪急電車 名物3複線」猪嶋典昭さん(兵庫県神戸市)

ネタも面白い。絵柄も面白い。マルチ画面はわかりやすい。素晴らしいのですが、「もう一声」欲しい。作者のドキドキ感やワクワク感をもっと形(画)にできないかと思ってしまいました。最後の待望の3編成の同時発車カットは最高です。
「ポーアイの楽園 神戸花鳥園」広瀬友三さん(兵庫県加古川市)

「行ってきました作品」とはひと味違う「神戸花鳥園訪問記」。まず、冒頭のロングショットに魅了されました。何か楽しいことがありそうな予感ショットです。厳選された構図・絶妙のタイミング・ベストのアングルが考えぬかれています。
「父の残像」飯山一伸さん(東京都東村山市)

タイトルからは想像できない、前半は鉄道廃線跡を辿る旅。自身の足下と影のショットが印象的です。後半は8mm?のアーカイブでの父親の肖像。とにかく懐かしさと淋しさが両方、上手く描かれている作品。ちょっと説明が足りない部分があり、いろいろ想像してしまいました。もう少し工夫を期待します。
◆この動画に関する記事はビデオSALON2013年7月号に掲載しています。
http://www.genkosha.co.jp/vs/backnumber/1172.html