【EDIUSの現場】ウェディングムービーの新しい潮流 〜
一眼ムービー+「撮って出し」の可能性
その①シネマティックデイズ


ビデオサロン本誌においても、この1年、デジタル一眼ムービーを使って撮影するウェディング映像を紹介してきたが、その一眼ムービーと「撮って出し」というサービスを組み合わせた、一種の映像演出が認知され始めている。ここでは2回にわけて、その一眼ムービー+「撮って出し」を得意とするプロダクションを取材しレポートする。


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▲お話を訊いたシネマティックデイズの牧田浩平さん(左)と田中伊吹さん(右)。

「撮って出し」とは?

そもそも「撮って出し」とは何だろうか? 最近の結婚披露宴に出席されている方なら体験されたことがあるかもしれないが、披露宴の最後にプロジェクターで挙式の様子を映像で流す映像演出のことである。そもそも「撮って出し」という言葉自体は、テレビの報道現場で使われていて、それがこちらに転用されたと思われる。
ブライダル産業では、「エンドロール」とか「撮って出しエンドロール」などと呼ばれていた。ちなみにシネマティックデイズでは、「当日編集」「当日編集エンドロール」という言い方をしている(映画の最後に名前があがっていくような映像が入るからエンドロール。シネマティックデイズではお客さんが望めばエンドロールを入れるが、映像に集中してほしいという思いから入れない方向で打ち合わせを進めていると田中さんは言う)。
その映像は通常のビデオカメラで撮られるものもあれば、シネマティックデイズでは、当初よりデジタル一眼ムービーを使った印象的な映像を曲に合わせてストーリーを紡ぎだすようにつなげていくことで、観る人に強い印象を与え、高い評価を受けてきた。
シネマティックデイズを立ち上げた牧田浩平さんは、3年半ほど前にデジタル一眼でのウェディングムービーに取り組んだ先駆けだ。当初から「撮って出し」に取り組んだのは、その場で納品できる手離れの良さに直目したから。持ち帰って編集すると、制作期間がかかってしまう。ただもちろん記録ビデオの需要も確実にあるので、最初のことは、記録ビデオとのセットのプランを提案していた。その場合、自分は撮影、編集、撮って出しを行い、もう一人のスタッフに記録ビデオをお願いして後日納品してもらう。現在でも記録ビデオを受けているが、それはかなり料金を抑えているという。
もともと記録ビデオは、写真に比べて依頼件数も少なく、どうせ撮ってもらっても2時間も後で観ないという人も増えてきた。であれば記録は写真に任せて、現場演出系の「撮って出し」のほうが可能性があると、シネマティックデイズでは、デジタル一眼+「撮って出し」をいかに世間に広めるかという努力をしてきた。
牧田さんは、その撮影とワークフローについて、システム化を進め、それを社内でも共有し、かつワークショップなどで多くの人に伝えてきた。記録ビデオよりは明らかに難易度が高く、誰もがすぐにできるものではないからだ。しかし、システム化することで、ある程度は最低限のレベルはこなすことができるようになる。

シネマティックデイズの撮影スタイル

当日、挙式が始まる2~2.5時間前に会場に入り、外観、内装、支度などを撮り始め、挙式を撮影。その撮影は2台の一眼レフ(EOS 6D)を使用し、一台は一脚ベース、もう一台はステディカムマーリンに載せ、移動撮影用。一脚のほうは、タムロンの高倍率ズームAF28-300mm、マーリンのほうは、トキナーのワイドズームAT-X SD 17-35mm F4 FXを付ける。これはシネマティックデイズのスターターキットで、人によってはレンズをグレードアップしている。撮影モードは720/60pで、基本的には24pのタイムラインに乗せて、スロー映像として使う。現場音は使用しない。
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▲シネマティックデイズの基本セット。EOS 6Dが2台。一台は一脚に乗せ、もう一台はスタビライザーのステディカムマーリンで使用する(写真にはないが)。

ネイティブで編集できるEDIUS Neo 3.5で1時間15分で編集する

挙式終わりまでの撮影で、カット数は大体180カット。長さは短くて5秒、長くて30秒。カット数を牧田さんが即答できるということはいかにシステム化されているかということだろう。撮りすぎると編集の時に迷ってしまうし、一人の場合は、撮影している人が編集するので、使いどころは撮影した瞬間に分かっているので、無駄な撮影がない。時間との勝負でもあるから、撮影カットも厳選することになる。この撮って出しを繰り返していくと、撮影も編集も訓練されて、すごくうまくなると牧田さんは言う。
挙式が終わった後からが編集の時間。披露宴は撮影せず、その間にノートPCで現場で編集する。編集ソフトは以前はFinal Cut Pro 7だったが、ネイティブで編集できずProResに変換する手間と時間がかかるので、ネイティブで編集できるEDIUS Neo3.5に変更した。ただEDIUSからでは24pのDVDの直接書き出しができないので、DVD書き出しソフトと併用している。
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▲編集ソフトはEDIUS Neo 3.5を使用。
編集時間は長くて1時間15分、チェックしてDVDに焼くのに15~20分くらい。そして上映の45分前にはDVDが完成するのを目標にしている。
4Kが話題になっている昨今、DVD仕上げというのは驚きだ。その理由は会場のプロジェクターが依然としてSD解像度だから。しかも4対3だったりするので、上下黒帯のレターボックスにした4対3のDVDを作ることになる。しかも会場の音響担当者は、一発本番の上映なので、確実な再生方法を選ぶ。会場のシステムにあらかじめつながったDVDプレーヤーなら再生確認もでき、音も確実だからだ。
 
撮影手法をマスターするのもハードルが高いが、それと同時に難しいので、とっさのときのトラブル対応。使い慣れていないソフトでフリーズしていまうと、間に合わないという焦りから頭の中もフリーズしてしまう。とにかくリスク回避と問題が起きた時の対処法が分かっていることが重要になる。
ひじょうに緊張感のある現場だが、このジャンルには可能性があると牧田さんは思っている。そのためにはこういった映像演出の認知度を上げたいということで、一般社団法人日本ブライダルビデオ協会(http://bridalvideo-kyokai.com/)を立ち上げた。技術セミナーなどを開催して地位向上を目指している。また音楽特定利用促進機構(ISUM)とブライダルにおける市販楽曲音源の特定利用に関して意見交換し、現実的な申請業務を確立していくという。
シネマティックデイズ
http://cinematic-days.com/