2月12日~15日の間、パシフィコ横浜で開催されたカメラと写真映像のワールドプレミアショー・CP+2015の会場で気になった展示を紹介していく。
「プロ向け動画エリア」は数年前からスタートした特設コーナーで、会場の右奥を一部仕切り、そこに動画関連のカメラメーカーやアクセサリーメーカーが集結している。InterBEEでお馴染みのブースがぎゅっとここに凝縮しているイメージだ。一応プロ向けとはうたっているが、一般のアマチュア来場者も多い。
このブースの製品をレポートしていこう。
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バッテリープレートや新しい素材のケースを展示したNEP


放送局や放送局に出入りする制作会社、技術会社向けにバッテリーやバッテリーアダプター、LEDライト、カメラバッグなどを提供しているNEP(エヌ・イー・ピー)。製品バリエーションがかなり多いだけでなく、ユーザーのリクエストに合わせて、バッテリーアダプターなどは制作してくれるので、希望のものがあれば、問い合わせてみるといいだろう。バッテリーアダプターは、最近増えてきているブラックマジックシネマカメラや、昨年末から出荷が始まったAJAのCION用のものを中心に展示。ここには製品はなかったが、Blackmagic Pocket Cinema Camera(ポケシネ)用のものも用意している。ポケシネ用は発売当初は外部からの電源供給は不安定だったが、12Vちょうどで供給すれば問題なくなったという。
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おすすめは、プラパールという新しい素材で制作する軽量な機材ケース。従来のダンプラよりも構造体が縦横に入っているためにかなり強度が上がって丈夫になるという。今後、注文に合わせて各種サイズのケースを製作していく。
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MOVCAMやエーデルクローンの新しいリグ~ケンコープロフェッショナルイメージング(KPI)


ケンコープロフェッショナルイメージングは、ケンコー・トキナーの関連会社で、主にプロ向けの製品の輸入販売を行なっている会社。数年前より駒村商会が扱っていたアイテムとスタッフも統合され、取り扱いブランドがかなり増えている。「プロ向け動画エリア」では、動画製品に絞って展示。MOVCAMというメーカーのリグは、ラインナップが充実してきた。コンスタントとに需要があるのは、ブラックマジックシネマ用のものだが、そのV2が登場(BMCC ケージキットv2)。また 最近注目のソニーα7S用のリグが登場。α7S用のものは今のところ選択肢が少ないが、今後アトモスSHOGUNとの組み合わせで、かなり使われるはずで、必須のリグになるかもしれない。きちんとHDMI部分にもガードがあり、バッテリーも交換にも対応できる。
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▲奥がBMCC用で、手前がα7S用。
トルコのカメラマンが立ち上げたリグメーカーのエーデルクローンは、小型のリグシリーズPOCKET SHOTOを充実。このメーカーの特徴として、ギミック的に折り畳める構造があるが、デジタル一眼用の両手持ちのリグは、折り畳むとひじょうにコンパクトになり、カメラバッグのポケットに入ってしまうほど。
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また、テーブル上で使えるキャスター付きドリーは、並行移動するだけでなく、タイヤの角度を変えることで、あるモノを中心にして円を描くような動きもできる。その円弧は自由に設定することができる。もちろん、このタイヤ部分も見事に折り畳むことができるのは感動的だ。
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AJAのCIONがついに出荷を開始


昨年11月のInterBEEに登場して話題になったAJAとしての初のカメラ、CION(サイオン)の実機が登場。昨年12月から出荷が開始されたが、まだ本国から輸入された台数は少なく、これからだという。CIONは4Kに対応したスーパー35センサー搭載のレンズ交換式のメモリーカメラで、ProRes422系での4K/UltraHD および 2K/HD収録が可能。AJAは昨年秋に、アスクが正式に一次代理店になり、日本での製品の流れが整理された。アスクの関連会社であるアスクDCCという部門はなくなり、AJAサポートに変更になった。日本語のウェブページも分かりやすくなっている。
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2月5日にバージョン1.1にファームアップされ、今回のソフトウェアアップデートによって露光指数(EI)値が EI 320, EI 500, EI 800, EI 1000 まで増加するだけでなく、ハイライトの処理能力も改善されているという。
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ポケシネ用のREC連動グリップとアイカップ~ライトアップ


プロカメラマン用の機材レンタルや販売などを手掛けるライトアップは、一眼動画の黎明期より、レッドロックマイクロの代理店として、この分野を先導してきた。Retroflexは、Blackmagic Pocket Cinema Camera(ポケシネ)専用のグリップ。グリップ部分には、RECトリガーがあり、ケーブルでポケシネのリモート端子と接続することで、RECスタート・ストップが連動する。カメラをがっちり保護すうRケージが付属になっており、端子部をガードするだけでなく、カメラ丈夫に15㎜ロッドを拡張することもできる。アイカップはワンタッチで着脱ができ、接眼レンズにより、しっかりと隅々までモニタリングすることができる。
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じっさいに試してみたが、手ブレ補正が作動するレンズと組み合わせると、かなり画面は安定する。グリップによるRECスタートができるので、映像が頭からぶれずに素材として使いやすいのもいい。
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リーベックはALLEXのバリエーションを展開


 昨年スライダーと三脚を組み合わせた新しいシステム、ALLEX(アレックス)を提案して大ヒットとなったリーベック(平和精機工業)。ここにきて一眼カメラでの撮影が日本でも浸透してきたこともあり、ALLEXの登場はいいタイミングだったという。次の展開として、昨年のInterBEEでは、現在の長さ80cmのスライダーに加えて、40cmと120cmが提案されたが、日本市場では40cmバージョンの反応がよく、NABでの正式発表が予定されている。すでに専用のバッグも用意されている。これくらいの長さであれば、カメラバッグやケースのなかにも収納しやすくなり、使用の機会も増えるはずだ。
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ALLEXの使い方として、このようにヘッドを2つ使うことで、縦(上下)のスライドの動きを演出することできる。
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写真のようにデジタル一眼+SHOGUN(もしくはモニター)というケースは現場で多い組み合わせかもしれないが、搭載重量が増すだけでなく、重心がかなり高めになるので、ALLEXよりもさらに上位のRSシリーズのヘッドを使用することを薦めたい。
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台湾の三脚メーカー、エースビル(ACEBIL)が日本上陸


1980年から台湾で写真用、ビデオ用の三脚を製造しているエースビル(ACEBIL)が日本の市場に登場。ACEBIL JAPAN株式会社が発足し、日本にサービスセンターを置き、販売だけでなく迅速な修理を行う体制をとるという。製品としてはすでにかなりのラインナップがあり、三脚の上位モデルはザハトラーによく似た機構で、カウンターバランスはダイヤル設定式で、幅広いカメラ重量に対応する。最近では、小型カメラ用のビデオ三脚が少なくなっているが、iシリーズのi-605DX(4kgまで)とi-705DX(5kgまで)を用意しており、まずはこのあたりから日本市場に投入していく計画だ。
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一脚もヘッド付きのものを3種類ラインナップ。ミニ三脚部分は、カメラワーク的に倒しながら使うというよりも、ちょっとしたセルフスタンディング用。
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小型のジブやスライダーもあり、コンパクトスライダーは、エーデルクローンのスライダーによく似ており、三脚に搭載して使う場合は、製品の横幅長よりもスライド長が大きくなる仕組み。
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カメラジンバルに注目が集まった~テクニカルファーム


ブラシレスジンバルを利用したフィルムパワー社のカメラジンバルNebula4000liteがこの2月から発売開始され話題になっているが、ブースを出展していたテクニカルファームも販売代理店になっている。搭載できるカメラは1kgまで。セットには、iPhone用のアダプターも同梱される。動作モードは、グリップ根元の赤いボタンで切り替えられ、1.チルト&パンをフォローする動作、2.チルトはロックし、パンはフォローする動作、3.チルト、パンともにロックする、の3タイプから選択できる。バッテリーは内蔵で、使用時間は約2時間。
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同じくテクニカルファームのブースでは、昨年のInterBEEでも出展されていたリアコンバーターレンズもアピールされいた。古くから映像制作をしている会社には、高価な放送用のB4マウントレンズ(2/3インチ)が存在しているが、そのレンズは最近の一眼ムービーやスーパー35㎜センサーを使用したシネマカメラでは、ケラレてしまって使用することができない。しかし一方で、高倍率ズームを現場で使用したいという声は大きい。そこで、B4マウントレンズの2倍エクステンダーを併用することで、B4マウントからEFマウントもしくはPLマウントに変換するリアコンバーターを開発。これまでのこういった製品はいくつか用意されてきたが、このコンバーターは35㎜フルサイズをカバーするのがポイント。フルサイズのEOSムービーだけでなく、ソニーのα7Sをマウント変換アダプター(EFからEマウント変換)することで使用可能になり、超高感度な取材カメラを安く構築することができる。写真は、オプションのビルドアップサポートアダプター(フレーム部分)を利用して、システム化した状態。
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●過去のCP+レポート一覧はこちら
http://www.genkosha.com/vs/report/cp_plus/