37年続いてきたTVFをどうするのか?


37年続いてきた東京ビデオフェスティバル(TVF)が存続の危機に立たされていることはこちらで紹介しています。
ビクターの冠がとれてから7年、なんとかNPO法人というかたちで、手弁当で続けてきましたが、それも限界になり、現在、クラウドファンディングによる再生ができないか模索をしているところです。
ビデオコンテストというと、かつては、賞金200万円のビデオポエムや新聞社が主催するものなど、
数多くありましたが、今では全国規模のコンテストはほとんどなくなってしまいました。
資金がある財団が主催のドキュメンタリービデオコンテストも震災後のみの開催でしたし、
ローランドもDV-7シリーズの開発が終わってしまったようで、ローランド開催のビデオフェスティバルも今後はないでしょう。
あと残るのは、地方自治体が主催するものだけで、全国を対象としたビデオコンテストは、TVFくらいしか思い浮かびません。
TVFとともに歩んだきたビデオサロンとしても何かをしたいと思いながら、会社には余裕がありませんので、このコンテストを引き受ける体力はとてもありません。
ビデオサロンができることは、フェスティバル開催を告知して、
入賞作品のなかから、いい作品を取り上げて広めることだけです。


ビデオサロン誌上でのTVFレポートは3月号に掲載されていますので、それをお読みいただくとして、
個人的に今回入賞の20本の中から、心に残ったものをピックアップしてみます。
まずは、 「これで良いのか!里山破壊<巨大霊園建設反対運動から見えてきたもの>」。
作者の御法川さんはビデオサロンで取材したことがあります(担当は私ではありませんでしたが)。
御法川さんがどういう人か知っているからかもしれませんが、この作品に秘められた「怒り」というのが、この作品から半端なく伝わってくるのです。
ふだん見るテレビ番組で、こういった怒りを感じる番組はほとんどありません。
テレビ番組は多くの人が関わってできていますから、根本にディレクターの怒りがあったとしても、それが放映される段階では、薄まってしまうからでしょうか?
実は、御法川さんという方はとても温厚な方で、ふだんは熱心に蝶の生態ビデオを撮られてる人なのです。その人がこういった社会問題に挑むというのは、まさに蝶の目線になって訴えかけているように感じられて、私には鬼気迫るものに感じられました。
(3月20日のビデオサロン4月号の連載「秀作から学び取れ」でも解説しています)
 「これで良いのか!里山破壊<巨大霊園建設反対運動から見えてきたもの>」


その次に心に残ったのは佳作の「大型書店がやってきた」です。
北海道の留萌地方の町に、書店が一件もなくなってしまいます。
その地域のお母さん方が、町に本屋を呼び、なんとかそれを維持しようと奮闘するお話。
これは出版社に勤める私にとって、感謝感激のビデオ作品でした。
本にかかわる人たち全員に見てもらいたい内容です。
「大型書店がやってきた」

一番、感動したのが佳作の「川口クワイヤガールズ」。
コーラスとか楽団をネタに扱う映画というのは、古今東西に多くて、
名作やヒット作も枚挙に暇がありませんが、
この作品もネタはコーラス(ではなく正確に言うとゴスペル)。
コーラスものは映画の定番テーマかもしれませんが、これは必見です!
「川口クワイヤガールズ」

この作品を作られた加藤さんも、TVFで才能と作品を評価され、今までビデオ作品を作り続けてきました。
作りたい人はTVFがなくてもきっと作り続けるでしょうし、
いまやYouTubeがあれば、だれでも映像作品をアップすることはできます。
しかしこれだけ動画が溢れかえってしまうと、この膨大な動画の中から、
見るべきものをセレクトして、提示していくという機能がますます求められている気がします。
その役割を、誰かがどこかでやってくれないと、
我々は「いい作品」に出会う大きなチャンスを失ってしまうことになるでしょう。
TVFをどうしていったらいいのか、わたしの中でも考えはまとまりません。