本はまとまった知識を効率的に吸収できるメディア
〜「ビデオグラファーの制作術」


7月21日、ビデオサロンから新しいムック本が出た。「ビデオグラファーの制作術」という本。岸本康さんが連載や特集、レポート記事などでビデオサロンに書かれてきたことをベースに、書き下ろしを加えて、新構成したものだ。雑誌連載をまとめた本は世の中にも、ビデオサロン本でも数多いが、この本はそういうタイプとは違う。というのも、連載自体は時事ネタも多く、テーマが断片的だったから、そのままではまとまった体系をもたない。
 そこで、書いてきた内容を一部テキストや写真などを流用しながら、新たに岸本さんご自身にまとめなおしてもらうことにした。


 コンセプトは、「一人で質の高い映像作品を作る」ということ。そのためにはどんなことを考えて、どんな機材選びをして、素材管理や編集はどうしていったらいいのか、ということを書いていただいた。もちろん、そこには絶対的な正解はないので、あくまで岸本さんが長年やってきたことを具体的に書いていただくとともに、そこから得たノウハウを披瀝していただいた。
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▲表紙のカメラは、岸本さんが現在メインで使っているソニーのPMW-200。イラスト自身も筆者。
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▲裏表紙は、パナソニックGH4とタスカムDR-70D。これらも筆者が所有する機材。
 4月に全体の本文をいただき、5月には一度、京都に行き、打ち合わせをして、機材関連の撮影もした。そこから本になるまで何度も1冊まるごと読み返すことになった。
 そうしてまとめて読むことによって、これまでの連載では見えなかったものが浮彫りになってきた。映像制作の全体像というか、勘所というものが、とてもよく分かるのである(もっとも自分の手を動かしていないので、あくまで頭の中でだが)。
 あらためて本というメディアの良さを思い知らされた。つまり、あるジャンルのことを体系的に知ろうと思ったら、本ほど効率の良いメディアはないのではないかということだ。
 これが雑誌やウェブサイトだと、断片の知識や論考はあっても、それを体系としてまとめるのは、自分の頭のなかでやらなければならない。もしくは、いろいろ知識を得ることで、徐々に詳しくなっていき、だんだん整理されてくる、という感じだろうか。いずれにせよ、時間がかかる。たとえば、個人でゼロレベルから映像制作を始めようとして、では毎号ビデオサロンを読みはじめました、とすると、勘所を身につけるのにいったい何年読めばいいのだろうか? ビデオサロンを作っている私にもよくわからない。もしかしたら、雑誌を読むだけではダメかもしれない(すみません)。
 それが本であれば、構成がしっかりしてさえいれば、効率良く全体像を知ることができる。本は伝統的な旧タイプのメディアのようなイメージではあるが、目次から該当個所に飛ぶことは瞬時だし、指を挟んでおけば、何カ所もマーキングして、一瞬でそこを開くことができる。読んでいる個所は伏せて置くだけで、すぐに次が読める。結構ノンリニアな媒体で、電子書籍を読めば読むほど、リアル本の便利さが身にしみて分かってくる。
 今回の「ビデオグラファーの制作術」は、本というかたちにまとまっているメリットが感じられるものになったと思う。
 本の内容については、宣伝もかねて別項で触れたい。