Report◉柳下隆之
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▲リグへのセットアップ全体像。カメラはソニーα7S。レコーダーはアトモスSHOGUN。その下にDR-701Dをセット。SHOGUNは上下で固定する。記録は映像、音声ともにSHOGUNのProResファイルになる。701Dはレコーダーとしてではなく、オーディオインターフェイス的に使う。
カメラがデジタル一眼カメラに限ったことではないが、ワイヤレスマイクを含めた4chの音声をミキサーを通してミックスして、2chでカメラに収録するような状況では、常に危なっかしい状況になる。主たる演者さんの声は1chに、残りを全部ミックスして2chへと、少し強引とも思えるようなシステムになる。記録が2chしかないとなれば、皆さんもそうされているのではないだろうか?


他に何ができる? と言われそうだが、近年はビデオや一眼ムービーと親和性の高いPCMレコーダーの登場により、状況は一変してきている。特にマルチトラック録音が可能なPCMレコーダーを用いれば、現場では全トラックを個別chで録音可能になる。したがって無理に現場でミックスすることはなく、レベル調整だけに気を使えばよいのだ。
ただし、映像と別に録音された音をタイムラインに並べて同期をとる作業は、比較的簡単な作業ではあるが、カット数が増えてくると憂鬱になってしまう。
さて、今回ある現場で、新製品のタスカムDR-701Dを試すことができた。普段から利用しているアトモスSHOGUNもしくはNINJA ASSASSINと組み合わせてワークフローを考えるとどういうことになるだろう。
DR-701Dに入力された4ch音声は、カメラからのHDMI信号にエンベデッドされている2chと合わせて6ch分になる。これを701DのHDMIから映像にエンベデッドして出力できる(1080/60pまで)。それをSHOGUNもしくはNINJA ASSASSINで記録すればよい。
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これならば、ひとつのProResファイルにすべての音声chを個別に収録できているので、ミックスは編集ソフトで行えばよいことになる。
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▲Final Cut Pro Xでのオーディオチャンネル構成の設定項目。お使いの編集ソフトの設定方法は要確認のこと。
私が普段使っている編集ソフト、Final Cut Pro Xでは、エンベデッドされた6chの音声を個別に編集が可能なので、映像編集ソフトで対応することができる。撮影クルーの人数が限られた現場では、とても有効な手段になると思う。ただし、収録時において基本的なマイキングの心得があってのことなのは当然であることは付け加えておきたい。
今回の現場では、少し極端な例だが、写真のようなリグを組んでみた。カメラはソニーα7Sで、ワイヤレス1波は演者、もう1波は通訳、ステレオガンマイク(ステレオミニ接続)はアンビエントを収録するため。
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▲ゼンハイザーのワイヤレスマイクを2波使用。1波は演者、もう1波は通訳に仕込んだ。
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▲DR-701DのLINE OUTにブルートゥースの送信機を接続して、ブルートゥース接続のイヤフォンに演者の音声を送信。通訳はそれを聞きながら離れた場所で同時通訳。
基本的な収録は演者さんの声+アンビエントだが、ラインアウトはゲインを調整してブルートゥースのワイヤレスイヤフォンで通訳の方にモニタリングしてもらい、ワイヤレスマイクを通じて同時通訳してもらった。それぞれの音は別チャンネルに入っているので、編集方針に応じてテロップにするか通訳された声を使うかは後から決めればよい。モノラルのガンマイクを使えば、まだ1ch余っているので、演者が増えてもワイヤレスをもう1波増やすことも可能。4ch個別に録音できるとなれば、マイキングのアレンジにも幅が生まれてくる。
この組み合わせで忘れてならないのがSHOGUNでのオーディオディレイの設定である。今回は事前のテストで映像に2フレームの遅延が確認できたので、SHOGUNのオーディオメニューのオプション項目で2フレームのディレイを設定した。
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▲事前にカチンコなどでオーディオディレイを確認。波形と映像の遅延はマーカーを打って確認すれば一目瞭然。
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▲アトモスSHOGUNのAUDIOメニューのAUDIO OPTIONSにてAudio Delayを設定。今回は事前のテストの結果から2フレームとした。
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▲DR-701DのMENUでHDMI AUDIO ASSIGNの設定項目。今回は上のような設定で撮影に挑んだ。INPUT3と4はワイヤレスで、INPUT5-6はステレオミニ仕様のEXT IN端子でアンビエント用。
ここを忘れてはせっかくエンベデッドできた音声もディレイの修正の手間に追われ、元の木阿弥となってしまうので、自身で組んだシステムを事前にテストすることをお忘れなく。
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