【レポート】区役所の有志で作る、
横浜・野毛の魅力を伝えるCM


全国わがまちCMコンテストで優秀賞を獲得した「恋なら、野毛もいいんじゃない?」は
横浜市中区役所の有志のグループNAKA LOVE PRODUCTIONが制作したもの。
どのように作っているのか話を伺ってみた。
レポート◎編集部


映像制作のプロではなく、自治体の職員やボランティアやアマチュアが、「わがまち」の魅力を30秒のCMにして表現する「わがまちCMコンテスト」
優秀賞を獲得したNPLとは、NAKA LOVE PRODUCTIONの略で、横浜市中区役所の有志が集まったグループだという。
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CMのロケ場所だった「博物館 Cafe & Bar うっふ」でそのメンバーに取材した。後列左から恒川賢史・河合 太一・大谷 勉、前列左から 谷口 圭・近江 志穂・本村 健一、その他のメンバー 千葉 麻衣子・荒井風人・監物麻子・稲垣文哉・奥村友理・中世古健太(敬称略)
 横浜市では、区・局ごとに改革推進員会を持つことになっている。役所は縦割りになりがちなので、横のつながりを作って風通しの良い組織作りをしようということで、担当業務にとらわれず一緒に何かをする場を組織として作っていこうというコンセプトでできた。動画制作チームもその一つで、4年前に動画で区の魅力をPRするプロジェクトがあってもいいんじゃないかということで誕生した。
 中区役所のHPには、「なかく動画だより」というコーナーがある。
 メインは広報相談係が主体になっているが、今回のCMなどはNLP制作。完全に業務だとどうしても堅苦しいものになってしまうので、自由な発想を重視するために別プロジェクトにしている。
 メンバーは映像制作経験者はおらず、結婚式の2次会のムービーを作ったことがある人が2、3人という程度。ところが最初に出品したコンテストでは、「過去と未来に出会うまち 横浜市中区」 が、都会的な港町との対比で緑豊かな三溪園をアピールして優秀賞を獲得。

 その勢いをかって2作目は水辺に着目してSUP(スタンド・アップ・パドル)を取り上げた「ワクワクがとまらない!!〜横浜市中区〜」で最優秀賞間違いなし、と臨んだのだが、結果は入賞すらしなかった。

 そのショックは大きかった。
一体何が悪かったのかをみんなでディスカッションしたという。
そこで足りなかったという点で挙げられたのが、
❶ストーリーが足りない、
❷街の人の笑顔がない、
❸シンプルな分かりやすさがない、
ということだった。
「ワクワクがとまらない!!〜横浜市中区〜」では、カッコいい画を、カッコいい音楽に合わせてリズムよく繋げば評価されるだろうと思っていたのがだが、それでは見る側に響かないんだということが分かった。
 最新作(2015年応募作)は桜木町駅を挟んで「みなとみらい」の反対にある「野毛」にスポットを当て、「野毛なら恋がうまくいく」というメッセージをどう映像で展開するか、シナリオを5つくらい作って検討した。
 メンバーは本業もあるので、打ち合わせや取材などの進行管理は難しい。LINEを活用して打ち合わせやロケハンの内容を共有。映像も「こんなのどう?」という感じでLINEに乗せてみんなで相談した。
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▲プリプロダクションにはとことん時間をかけた。打ち合わせには仕事の関係もあり全員が出席できないので、LINEを使って情報を共有した。
ロケ場所はいわゆる「横浜らしさ」とのギャップを狙って人情居酒屋やジャズ喫茶、空中芸バーを選定。キャストは店のマスター以外はすべて職員が務めた。 最後のナレーションも声のいい職員にお願いした。
それが、「恋なら、野毛もいいんじゃない?」だ。

▲最後のナレーションも声のいい職員にお願いしたもの。ちなみに、みなとみらいは、桜木町の駅を挟んで野毛の反対側だが、あちらは中区ではなく西区なのだそう。
 試行錯誤し、手探りで作っていった作品が、今回高く評価された。
一人の才能で作ったのではなく、みんなで作り上げたもの。このノウハウは次へも活きる。市役所では平均3、4年で異動があり、同じ担当者が続けることができない。自治体のような組織で、どうやってコストを抑えて映像発信するか。そのお手本になるような活動だ。
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▲カメラはソニーのCX900、編集ソフトはiMovie。

全国わがまちCMコンテスト2015の結果


http://www.wagamachi-cm.org
【最優秀賞】 あおねDE会おうね2015~Aoba Media Lab
【優秀賞】 恋なら、野毛もいいんじゃない?
      ~NLP(横浜市中区役所職員有志)
【準優秀賞】 手しことのまち ひろさき~川村 正弘
【佳作第一席】 「焼津な!」日常・再生しよう~YFS焼津映像教室
【佳作第二席】 来やっしぇえよ 館山~館山の恵みがつなく協議会
【入  賞】 まちの守り神・千手杉~西山 陽一朗
      わが街「笠間」~上野 卓哉
      三人…二人?~福島県立小野高等学校放送部
      玉名について教えてばあちゃん~丸野 泰生
      初めての青根~中山 亮太
      この町で生きる。~まちづくりネットワークRe.Born.K
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▲2015年12月19 日に城西国際大学紀尾井町キャンパスにて開催された上映・表彰式より。
●この動画はビデオSALON2016年3月号記事とその連動動画です。ビデオSALON3月号をご覧ください。
http://www.genkosha.co.jp/vs/backnumber/1550.html