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 After Effectsプラグインや映像素材集などの企画・開発・プロデュースを手がけるVideo Copilot社。11月9日にフラッシュバックジャパンが主催で開催されたイベント「VIDEO COPILOT LIVE!2016」ではVideoCopilot社の創立者であり、VFXアーティストとして『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『スター・トレック イントゥ・ダークネス』など数々の映画制作に携わるAndrew Kramer (アンドリュー・クレイマー)氏が2度目の来日を果たし、VFXのテクニックを生披露した。イベントが行われた六本木EXシアターは定員850名。当日は満員で、開演前の観客達はアンドリュー氏によるセッションを今か今かと待ち受ける。

オープニングアクトは音楽ライブ

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 バンド市川 愛 and moreによる音楽ライブでイベントの幕が開かれた。「このイベントに来て、音楽ライブを見るとは思っていなかったかもしれませんが、会場を温めるためにみなさんも一緒に歌ってください」とコール&レスポンス。

インスタレーション「BEYOND」

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 映像制作チームComposition Inc.の共同設立者であり、イベントの司会進行を務めた緒方達郎氏と、この日のゲストスピーカーで、現在全米で公開中の映画『スター・トレック ビヨンド』のVFX制作など、日本を拠点にしながらアメリカ、ヨーロッパ、アジア圏の映像制作に携わる佐藤隆之氏が手がけたインスタレーション作品「BEYOND」が披露された。VFX、ダンス、レーザー、音響演出が一体となったパフォーマンス。すべてのパートを合わせた状態で稽古ができたのは、この日のリハーサルで初めてとのことだったが、完成度の高さに圧倒された。
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▲BEYONDを手掛けたみなさん。左から佐藤隆之氏、緒方達郎氏、レーザーエフェクトを担当したLaser Hayashi氏、舞台演出・振り付けのYumiko a.k.a MTP氏。

佐藤隆之氏によるセッション
映画『スタートレック・ビヨンド』エンディング制作プロセス紹介」

 『スター・トレックビヨンド』のエンディングの制作のきっかけとポイントについてのトークセッション。今回のポイントとなったのは、3週間という限られた制作期間の中でスケジュールを逆算してどのような演出ができるのか、宇宙空間を何でどのように描くのか、スケール感・奥行き感をどのように出していくか。映像で使われたソフトやプラグインなどについての解説が行われた。
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▲今回の作品は、モーションタイトル界の巨匠、カイル・クーパー氏からの依頼で制作した。クーパー氏からのリクエスト
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▲制作で考慮した3つのポイント
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▲ネビュラ(星雲)を完全に3D化すると、レンダリングに莫大な時間がかかってしまい、何度もトライ&エラーを繰り返す制作スタイルは難しい。そのため、2D素材を3D空間に配置し、アニメーションの調整や修正が行いやすい編成で制作した。
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▲ネビュラはオリジナリティを出すために写真加工とCGを組み合わせて制作。
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▲宇宙空間の奥行き感を表現するためにAfter Effectsに加えて、3Dソフトを併用。
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▲惑星や背景のネビュラの表現にはVideocopilotのFractal Rama と Locus Packが使用された。フラッシュバックでも取扱。http://www.flashbackj.com/videorealmmedia/space_fractal_designer_pack/

アンドリュー・クレイマー氏によるセッション

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 いよいよアンドリュー・クレイマー氏の登場。同氏の登場とともに会場からは歓声が鳴り響く。セッションでは、ソフト解説のデモはもちろん、RED等のカメラを用意して、オリジナリティ溢れる素材作りの工程も実演。時にはCGに頼らず、実際に撮影をした方が早くて良いエフェクトが作れることがある。クレイマー氏はPCの中だけにとどまらない、発想の転換でファンの視野を広げる。
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▲エプロン姿に着替えて、素材撮りを実演するクレイマー氏
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▲素材作りの実演の模様。水槽の中にインクを垂らしたり、iPadの楽器アプリを繋いだスピーカーに様々な色のチョークの粉を置き、舞い散る粉をREDでハイフレームレート撮影。
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▲こうした方法で撮影した素材を使ったデモリールも上映。
 また、VideoCopilotから先日リリースされた無償提供のプラグイン「FX Console」の解説も行われた。
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▲無料プラグインの1つ「8bit」。昔のゲームボーイのような画面が作れる。
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▲3DCGソフトで作ったかのようなリアルな3DCGイメージとアニメーションを After Effects で作成できるプラグインソフトElement 3D(25,480円)のデモの模様。http://www.flashbackj.com/video_copilot/element_3d/
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 VideoCopilot社10年の歴史を振り返る映像とともにイベントは締めくくられた。同社のこれまでの歩みに感心させられるとともに、今後の進化への期待を高めてくれるムービーだった。プロの現場で使えるクオリティのソフトを、多くのパソコン環境でも動作するように軽量化をはかり、また個人でも扱える価格で提供することで、ユーザーと一緒に映像世界を広げて行こうという一貫した信念を感じさせてくれるイベントだった。



◆VIDEO COPILOT LIVE! 2016公式サイト
http://www.flashbackj.com/event/vclive2016/