LONESOME VIDEOの流儀 第25回 映画祭の合間にロンドンの街をスナップするポケットカメラもレンズにこだわる


(3月31日、全文掲載しました)

私事で恐縮だが、ロンドン・フィルムメーカー国際映画祭にて私の新作「千年の糸姫」(二宮芽生主演・ふるいちやすし作、監督、音楽)が正式上映作品として入選し、そのうえ、最優秀監督賞(長編外国語映画部門)という大変な賞を戴いた。

そんなこんなで10日ばかりロンドンへ行ってきたのだが、映画祭の期間中というのは意外に忙しいもので、なかなかついでに撮影旅行というわけにもいかない。とは言え、大好きなロンドンの街くらいは撮れるだろうと、いつものポケットカメラレベルのものを持参することにした。

カメラとレンズは手荷物で持つのでいいのだが、三脚は結局以前アメリカ・ワイオミングへ行った時と同じものにしたので、重量制限を超えないかヒヤヒヤした。これを超えるとびっくりするような追加料金を請求されるので、このようなついで旅には、もうひと回り軽量でしっかりした三脚が欲しいところだ。

本気の撮影となればカメラは意外にすんなりと決まるのだが、一段落としたポケットカメラとなると選択肢があり過ぎて迷ってしまう人も多いのではないだろうか。それに記録撮影なら充分なスマホを持っている前提で考えると、何を捨てて何にこだわった選択をすればいいのか分からなくなる。スマホに素晴らしい手ブレ補正機能が付き、4K映像が撮れるとなると、私の意見としては、レンズにこだわる以外にわざわざポケットカメラを持つ意味がないように思う。そういう考えからか、最近ではレンズに思いっきりこだわったレンズ付きカメラも各社から発売されている。そのこだわりと自分の好みが合えばこれも一つの賢い選択ではあるが、レンズ遊びに取り憑かれてる私としてはポケットカメラにもやはりレンズ交換ができるミラーレス一眼を選びたい。ただ、せっかく小さなカメラを選んでも、重いレンズを何本も持ち運んでいては本末転倒なのでセンサーの大きさが昔の16mmフィルムとほぼ同じというNikon 1というシリーズを使っている。

   ⇧コートのポケットに入ってしまうNikon 1とCマウントレンズのセット。

このセンサーに合った純正のレンズは決して多くはないのだが、アダプターを介する事で、16mmフィルム用に作られたCマウントと呼ばれるレンズが使え、この中には銘玉と呼ばれるクラシックレンズも多く含まれている。またこのCマウントは16mmフィルムがなくなった後も工業用やセキュリティーカメラの分野で採用され続けており、現在でもかなり高性能なレンズが製造され続けている。しかもコートのポケットに2、3本入れても苦にならない小ささで、中には1万円しないような安価な物もたくさんある。

センサーサイズとの関係から、焦点距離は35mm換算で2.6倍になるので、いい広角レンズを見つけるのには苦労もあるが、10mm前後の物も数多くあるので探してみるのも楽しい。

私はやはりクラシックレンズを探してその個性を楽しんでいるが、もちろん家電量販店等にはある筈もなく、小さな中古カメラ屋さんやインターネットで目を凝らして探し回るのも楽しく、時には聞いたこともないようなメーカーのレンズが見つかり、とんでもなく安価で手に入ったりもするので面白い。おそらく35mmでは予算的にも難しい映画がこのCマウントレンズと16mmフィルムで数多く盛んに撮られいたのだろう。とんでもなく多種多様なレンズが存在し、楽しむことができるのだ。

今回持参したクラシックレンズは私の好きなロンドンのイメージにぴったりで、結局ホテルの周りや映画祭会場にしか行けなかったが、映画祭では世界中から集まったクリエイターたちが私のカメラに興味津々。質問攻めにあってしまった。

⇧私のCマウントのメインレンズ、P.Angenieux 17-64mm f2.2。35mm換算で約44-166mmとなるので、標準から中望遠という使いやすいズームレンズだ。もちろん、優しいアンジェニュートーンも楽しめる。近接距離が約1mと長いのが残念だが、スクリューになってるCマウントの利点として、レンズを落とさないように少しずつ緩めていけば、かなり近づける。

⇧左からKINOTAR 12.5mm f1.4、P.Angenieux 10mm f1.8、LOMO 25mm 1.4。キノターは日本製で、おそらく木下さんが作ったのでは? アンジェニューは私が持っているなかでは最も広角なのだが、残念ながら四隅が少しケラレてしまうので後で少し拡大して使う。またフォーカスリングは元から付いていないので、近くの物を撮る時にはこれもまたスクリューを緩めて合わせる。LOMOはトイカメラでおなじみのメーカーだが、なかなかしっかり写るレンズだ。マクロアダプターがおまけで付いて6000円弱という安さ。

⇧Cマウントレンズには絞りが明るいレンズも多いので被写界深度の浅い表現もしっかり楽しめる。市販のゴム製フードに細工して逆さまに突っ込めるようにしたものに可変NDフィルターを付けている。フィルターも裏向けになるが問題ない。

⇧市販されているNIKON 1-Cマウントの変換アダプター。市販されているという事は、こうして使っているユーザーがけっこういるということだろう。