DaVinci Resolve 12 カラーグレーディング入門4プライマリ・カラーコレクションで使うその他のツール


,レポート◎林和哉

◎この投稿は、ビデオサロンが制作したMOOK「Digital Cinema Camera 3~4K映像制作ワークフロー」(2015年)の中の記事をウェブ用に再構成してアップしたものです。したがってソフトウェアはバージョン12段階ものです(現在は12.5)。ちなみに本書は現在も販売中です。こちらからどうぞ。

Chapter2:プライマリ・カラーコレクションで使うその他のツール

プライマリ・カラーコレクションで「プライマリーホイール」を使いましたが、レフトパレットにはまだ沢山のツールが用意されています。基本編のChapter1で紹介できなかった部分をここで紹介していきます。

ここには、「カラーホイール」のほかに、「CAMERA RAW」、「カラーマッチ」、「RGBミキサー」、「モーションエフェクト」があります。それぞれ見ていきましょう。

プライマリーホイールの他のツール

プライマリー・バー

「プライマリーバー」は「プライマリーホイール」のグラフ版といったようなものですが、「プライマリーホイール」との大きな違いは、Y(輝度)/R/G/Bのそれぞれをバラバラに操作できることです。縦に伸びたバーの上をドラッグすることで調整できます。

【プライマリーホイールとプライマリー・バーに共通のメニュー】

1:オートコントラストを実行します。画像を評価し、最大限のコントラストを設定します。
2:コントラストの明暗の分岐点を調整します。
3:Yのみ操作した時に綻を調整します。0にするとYで指定したパラメーターは無効に。

4:ハイライト部分の調整
5:ミッドトーンの調整

6:コントラストの明暗の分岐点を調整します
7:シャドウとミッドトーンの混ざり方をコントロール
8:ハイライトとミッドトーンの混ざり方をコントロール

ログ

プライマリーホイールは、リフトを調整しても、ガンマやゲインに多少の影響があります。ガンマも、ゲインも、同じように他の階調に影響を与えます。これは、一部を極端に調整することでグラデーションなどの破綻が起こるのを防ぐ、すごくシンプルで使い勝手の良い考え方です。

それに対してログ(Logコントロール)では、作用する範囲が限定的で、他の階調に影響を与えません。隣り合わせの階調との乗り代わりのところで、少し互いが影響し合っていますが、これもLowレンジとHighレンジで調整できてしまう徹底ぶり。このためコントロールのコツを掴むのは少々難しい玄人向けのモードです。通常のプライマリーホイールでもLogコントロールでも、使いやすいほうを使い込んでみると良いでしょう。

1:暗部の調整
2:中間部を調整
3:明部を調整
4:調整した波形を上下にスライドする

RGBミキサー

これは、インプットされた各色を、何色で出力するかを調整します。初期値は上のようになっています。このバランスを変えることで、RedをGreenに、GreenをBlueに、RedをBlueに置き換えて、変わった効果を狙うこともできます。画面下部には、クリック1つで色を入れ替えるボタンも並んでいます。

 

カラーマッチ

これは、撮影時に写し込んでおいたカラーチャートを元に、指定した色温度で「ノーマル」状態になるように自動で調整してくれる優れもの。

現在対応しているカラーチャートは、

  • X-Rite ColorChecker
  • Datacolor SpyderCheckr
  • DSC Labs SMPTE OneShot
  • Chroma DuMonde 24+4

です。 X-Rite ColorCheckerが、皆さんも持っていそうな有名どころですね。

【1】ソースガンマ、ターゲットガンマ、ターゲットカラースペースを設定します。

撮影に使用したカメラ、設定によって設定を変えます。ブラックマジックシネマカメラ系でしたらそのものズバリのソースガンマ設定がありますね。

今回は、Rec709(標準のビデオカメラのガンマ)で撮影したものを、通常のTVで観るため用のカラースペース、ガンマに設定して、目標色温度を6500K(HDの標準色温度にしてDaVinci Resolveでのデフォルト設定。日本では9300Kで観ることが多い)とします。

 

 

 

 

【2】ビューワーのツールから「カラーチャート」を選びます。

 

 

 

 

 

 

 

画面に格子模様が表示されるので、格子模様のポイントを動かして、画面に撮したカラーチャートの角に合わせます。コーナーピンと呼ばれる合わせ方です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【3】カラーマッチパネル内のマッチボタンをクリックします。自動でカラー調整してくれます。

調整後に上のカラーチャートに表示される数値は誤差率らしく、この数値が小さければ小さいほど、カラーチャートの論理数値に近いというそうです。この誤差も参考に、セカンダリーでの調整を進めるのが良いでしょう。

【4】必要であれば、ハイライト、シャドウ、カラーブースト(彩度)、ミッドトーンディティールを調整します。

 

モーションエフェクト

モーションエフェクトには、空間的ノイズ除去、時間的ノイズ除去、モーションブラーの3つがあります。ノイズ除去はノイズを取り除くひじょうに強力な機能ですが、 ただし、残念ながら無償版では使用できません。

空間的ノイズ除去はフレーム内でのノイズ評価で処理していきます。時間的ノイズ除去は前後のフレーム0〜2を参照したノイズ評価で処理していきます。

モーションブラーは、動きを分析して、ブラーを付加します。

モーションブラー

(1)動作指定の種類

  • 速度優先…前後のフレームを単純に参照してブラーを描く。進行方向側にもブラーが載ってしまう。
  • 品質優先…前フレームからの移動量を計算して、ブラーを描く。進行方向後ろ側のみにブラーが載るが、処理が重くなる。

(2)モーション範囲…ブラーを描く幅を指定する。
(3)モーションブラー…モーションブラーの量を調整する。

空間的ノイズ除去

範囲を選択した後、空間的しきい値の輝度、彩度、輝度/彩度をコントロールして、ノイズ除去とディテールのバランスの良いところを探します。結果がはっきりしすぎる場合は、ブレンドを使用して加減します。

範囲を大きくすると、ディテールや輝度、彩度を維持した高品質な結果をもたらしますが、処理がひじょうに重たくなります。中間くらいが良いでしょう。

時間的ノイズ除去

フレームを増やして、参照するフレーム数を決定したのち、以下を設定します。

  • 動作種類の設定…処理のスピード優先か、品質重視か。
  • モーション範囲…空間的ノイズ除去と同じように多数の部分処理プロセス時に扱う範囲を指定します。

Camera Raw

Camera Rawは、基本的にプロジェクト設定で全体のデコード設定を行いますが、各クリップでデコード設定を変えたいときに、レフトパレットのCamera Rawで調整します。

プロジェクトセッティングで行なったCAMERA RAW設定をクリップごとに調整するには、「デコードに使用」→「クリップ」を選択します。

RAWパラメータのアクセスには、2つの方法があります。

プロジェクト設定からのパラメーターアクセス(Sony RAWの例)

右下のギアマークをクリックしてプロジェクト設定ウインドウを開いた後、下から3つめの「Camera Raw」をクリックするとダイアログが表示されます。 右上に「Arri Alexa」と書いてあるプルダウンメニューがあるので、それをクリックすると、

・Arri Alexa ・Red ・Sony F65 ・CinemaDNG ・Phantom Cine

とあります。 この中から、目的のカメラを選ぶわけです。スカーレットの場合は「RED」、BMCCの場合は「CinemaDNG」です。それぞれの設定内容が反映されたダイアログが配置された表示に切り替わります。

各種詳細設定はそれぞれのカメラに依存します。各カメラ共通のメニューがマスターです。マスターの中でも特に気にしたい点を上げておきます。

【デコードに使用】

これは、Rawを現像して表示する際にどの現像指示を受けて表示するかを決める場所で、このメニューの中には、

  • ○○デフォルト…メーカーが基本値としているISO、カラーTemp、Tintなどが適用される設定
  • カメラメタデータ…撮影時にクリップに保存された設定
  • プロジェクト…「プロジェクト設定」で指示されたパラメーターを使用する設定

があります。「プロジェクト設定」での設定は、タイムラインすべてに当てはまる設定なので、ここの設定が作業中一貫して適用されていくことになりますので、注意が必要です。

通常では「カメラメタデータ」で撮影時を再現し、そこから手を入れていくのが良いでしょう。

カラーページからのパラメーターアクセス

カラーページからのアクセスは、レフトパレットの上に並んでいるアイコンの小さなカメラマークをクリックすると表示されます。

ここではプロジェクト設定のメニューに加えて、「デコードに使用」の中に「クリップ」というメニューが追加され、「Save With バージョン チェックボックス」の2つのメニューが追加されています。

【「デコードに使用」→「クリップ」】

通常Raw設定はプロジェクト全体を通して適用されますが、「クリップ」で設定するとそのクリップだけに適用されます。これは「撮影条件がばらばらで、Project settingsでの大雑把なくくりでは揃えきれない」といった場合に、ある特定のクリップだけRawの設定を調整する、という時に役立ちますね。

【バージョンに保存】

「バージョン」を作成したとき、他のバージョンでRaw設定を変更すると通常はすべてのバージョンがそのRaw設定を共有します。

さて、Raw設定を含めてバージョンの切り替え比較を行いたい場合はどうしたらよいでしょうか。そうです、そのときに「バージョンに保存」を使います。 「バージョンに保存」にチェックが入っていると、そのチェックが入っているバージョンは、他のバージョンでRaw設定の変更をしても、影響されなくなります。

ちょっと想像つきにくいかも知れませんが、実際に操作してみると、この設定が便利に思えるときが必ずやってきますので、頭の片隅に置いておいてくださいね。