『映像ガジェット調査隊!』 第十一回 ATEM Television Studio HDは本体だけでどこまでの操作ができる?


文●川井拓也

株式会社ヒマナイヌ代表。配信チームLiveNINJA主宰。Ustream黎明期からマルチカメラによるライブ配信や収録を手がける。筆者のブログ●http://himag.blog.jp/

Vol.011 ATEM Television Studio HDは本体だけでどこまでの操作ができる?

新モデルは本体単体でもスイッチング等の操作が可能に

ブラックマジックデザイン
ATEM Television Studio HD
113,800円
前モデルのTelevision Studioはパソコンと接続し、ソフトウェアのコントロールパネルと組み合わせて使用していたが、今回は切り替えスイッチや各種メニューも本体のみで操作することができるようになった。モニターも内蔵されPGM出力や音声レベルの確認も可能に。入力数も6入力から8入力に増えた。

◉8入力のHDスイッチャーが10万ちょいの時代??

スイッチャーは4入力までのものと8入力までのもの、それ以上のものがあります。ネット配信などの現場では4入力スイッチャーがよく使われています。製品の選択肢も多いし価格も安価だからです。しかし1入力をプレゼン資料等を写すパソコンに割り振ると残るは3入力なので3カメとなります。これが8入力になるとパソコン以外に7カメ使えますから絵の選択肢に余裕が出ます。しかし、これまで8入力のスイッチャーは高価でした。そこに業界の価格破壊王であるブラックマジックデザインが約11万でATEM Television Studio HD(TVSH)を発表したのですから衝撃です! 筆者の回りのライブ配信関係者はみな即決で買っていました。


▲今回のモデルからアップストリームキーが搭載されたことでPinPや下写真のようにスプリット(画面分割)表示にも対応できるようになった。

◉PinPやスリットなども出来るDVEに注目!

これまでのTVSはPinPやスプリットなど2つの画面を1つに合成するという機能がありませんでした。今回の新型TVSHではアップストリームキーが使えるようになり、セミナーなどでよく使う手法ですが、Power Pointのスライドの右下にプレゼンターの顔をPinPできるようになりました。さらにDVEのフィルキーのポジションとマスクを上手く使えばアップルのKeynoteにあるようなスプリット型のレイアウトも可能です。こうしたアップストリームキーの切り替えやスイッチングをどのくらい本体だけで操作できるのか?今回はそれを検証してみました。

 

◉主要な機能のほとんどは本体ボタンだけで可能!

前面パネルには1から8の切り替えボタンがあり感触は業務用スイッチャーのコントローラーによくあるしっかりしたものです。その上にオーディオのオン/オフとオーディオフォロービデオのボタンが並んでいます。右には小ぶりなCUTとAUTOボタンがあります。ゴムっぽい感触で少し頼りない印象もしますが、AUTOボタンなどはディゾルブやワイプ効果がかかっている時は赤く点灯します。その他DSK1/FTB/MP1/MP2ボタンがあります。小さめの液晶の横にダイヤルとAUX/MENU/SETボタンがあり、従来はパソコンと接続して、ATEMのソフトウェアコントロールパネルで行なっていた設定がほぼ本体だけで操作できます。メニューからアップストリームキーのオン/オフをSETボタンで切り替えられるので、PinPやスリットから別の絵に切り替える操作も本体のSETとCUTの同時押しで可能です。初期設定だけはパソコンで行い、その後は本体ボタンだけで運用することも可能です。

▲PinPやスプリットから別の映像に切り替えるにはSETとCUTボタンを同時押しすると切り替えることができる。

◉出力はHD-SDIが中心なので収録と配信などには工夫が必要!

入力は HDMIが4系統、HD-SDIが4系統でHD-SDIにはそれぞれのスルーアウトがついています。マルチビューはHDMIとHD-SDIの両方があり、PGMとAUX出力はHD-SDIのみ。マルチカメラ収録レコーダーの定番であるパナソニックHMR10AにHD-SDIで入れてそこからHDMIで、PCレスライブ配信機器のセレボLiveShell Xなどに渡して配信というのがシンプルでいいかもしれません。HDMIのスルーアウトがついているモニターを使えばTVSH>HMR10A>モニター>LiveShell Xと1つしかないPGMをうまく引き回すことができます。

 

◉本体は縦置きするとボタン操作がしやすい!

カーオーディオのようなデザインのTVSHですが、これをデスクにそのまま置くとボタンが机面に近すぎて押しにくい。本体の左を下にして縦置きにすると液晶も上にきて操作がしやすくなりました。放熱は左右のパネルから行なっているので推奨スタイルとは言えませんが手持ちのエーディーテクノの7インチ液晶と合わせるとかなりぴったりフィットしてコンパクトなシステムが組めました。電源を入れていてもTVSH本体はほとんど発熱しません。前モデルでは熱の問題が取り沙汰されていましたが、放熱も改善されていていいですね!8入力スイッチャーなのにセットトップボックス程度の大きさですからマルチカメラ収録&配信のシステムとしては機動力が大幅に上がるでしょう!

▲モニターやレコーダー、配信機器と組み合わせた状態。

◉アイオーデータGV-HDRECとの組合せもテストしてみました!

安価なゲームレコーダーであるアイ・オー・データのGV-HDRECは前号で取り上げましたが、TVSHとの組み合せもテストしてみました。TVSHのPGMはHDMIがないので、SDIでHMR10Aに1080iで入れて、そこからのHDMIアウトをGV-HDRECに入力したところ1080pで録画できました。しっかりGV-HDRECが1080iから1080pに変換してくれているわけです。マルチビューのHDMIを直接GV-HDRECにつないでも録画できたことをここで報告させていただきます。

▲Television Studio HDのPGM出力をパナソニックHMR10A経由でアイ・オー・データ機器のGV-HDRECに録画。