航空カメラマン・野口克也の 前略、空からお邪魔します vol.15 「ドローンの航空機への持ち込み」


vol.15「ドローンの航空機への持ち込み」
文●野口克也(HEXaMedia)

東京都生まれ。空撮専門会社「株式会社ヘキサメディア」代表。柴田三雄氏への師事の後、ヘリコプター、モーターパラグライダー、無線操縦の小型ヘリなど、空 撮に関わるすべての写真、映像を区別なく撮影。テレビ東京系地上波『空から日本を見てみよう」、BS JAPAN『空から日本を見てみようPlus』などTV番組やCM等の空撮を多数手がける。写真集に夜景の空撮写真集「発光都市TOKYO」(三才ブックス)など。http://www.hexamedia.co.jp/

遠方での空撮の際に、ドローンを航空機に持ち込むには、どうしたらいいのでしょう? 筆者がドローン撮影を始めた頃は、各モーター間が800mm、あるいは940mmもあるような大型のドローンが一般的に撮影に使われていました。
一応、折りたたみができるようになってはいましたが、それでも気軽に航空機に持ち込めるような大きさではありませんでした。また、バッテリーも航空機への持ち込みが制限される大きさでしたから基本的に航空機は諦めて、車に搭載して、日本全国どこまででも走っていったものです。

現在はPhantomシリーズを始め、バッグに収納して持ち運べるサイズのドローンが大型機よりもむしろ高性能になってきているので、小型機を航空機に持ち込んで移動することも多くなりました。

ドローン本体は頑丈なケースに入れて預け荷物で

今現在販売されているPhantom 4シリーズやInspireシリーズには、発泡スチロール製のキャリングケースがついています。これはとてもありがたいものです。ケースがついてくる以前はドローンをどんな風に運搬したらいいものかと試行錯誤していた時期もありました。しかし筆者の場合はもったいないのですが、この付属キャリングケースはあまり使っていません。観光地等でちょっと飛ばしてみる程度であれば充分なのですが、仕事で飛ばす場合はとてもではありませんが、このケースには収まりません。業務としての携行品となると飛ばす機体本体以外に、スペアのバッテリー、外部モニター、タブレット、そしてそれぞれの充電器など本体以外のグッズが多くなるわけです。それらをすべて収納できて、その上で預け荷物の扱いにも耐えられる機能的で頑丈なプラスチックケースを愛用しています。

 

 

機体本体は頑丈なプラスチックケースで預け荷物へ

筆者が愛用するGoProfessionalのキャリングケース。Inspire1とPhantom4が1機ずつ収納でき、コントローラーや予備バッテリーも4〜5本収納できる。航空機での移動の場合、預け荷物には頑丈なプラスチックケースを使用している。

 

そういう用途に適したケースは、ここ最近になって様々な製品が出てきています。筆者が愛用しているのはGoProfessionalというアメリカメーカーのものです。数本のバッテリー、コントローラー、カメラ、タブレット、予備プロペラなどが入ります。預け荷物としても安心して預けられるし、宅配便などで送る時にも気を使わなくていい。難点はケースそのものが重いため、大抵の国内線の場合、自分の他の荷物と合計すると、多少の追加料金を支払わざるをえない状況になること。そして大きさがあるために手荷物として気軽に機内に持ち込むことは自動的に不可能になるということでしょうか。

 

バッテリーは機内持ち込みが原則

ところで、ここで注意したいのがバッテリーの扱いです。IATA(国際航空運送協会)が定めるところによると、リポバッテリーなどの多くのドローン用バッテリーは預け荷物に入れられない決まりになっています。そして機内に持ち込む時にも容量や個数にルールがあります。バッテリーの電力が160Wh未満のものは2個まで、100Wh未満のものは無制限となっています。コントローラーの内蔵バッテリーなど取り外しできないもの以外は機内持ち込みが原則です。
最近出回っているDJIのドローン用バッテリーではInspire 1用のTB48が129.96Whで160Wh未満に該当。そしてTB47以下、最近の多くのバッテリーは100Wh未満です。これはDJIのバッテリー設計が、航空機での移動を考慮したものになってきたからでしょう。

容量が100〜160Whのバッテリーは2本まで

国内航空会社のバッテリーに関する規定はIATA(国際航空運送協会)やICAO(国際民間航空機関)をベースに規定されている。

手荷物検査の注意点

これらのバッテリーは預け荷物のケースには入れず、別のケースで機内に持ち込むことになります。バッテリーは他の手荷物と分けた専用ケースに入れることをおすすめします。というのは…機内持ち込み時はセキュリティゲートを通る時に、必ずX線チェックをされますので、バッテリーが入っていることは必ず発見されます。
そのうえで係員に、持ち込み可能かどうか容量のチェックをされるわけですが、その時点でバッテリー本体をケースやバッグから取り出さざるを得ない。キャリーケース等で自分の衣類などの雑多なものの間にバッテリーを押し込んでおくと、係員の目の前でそれらを全部オープンにすることになり、けっこう恥ずかしい(笑)。そのため、面倒でも別ケースに入れておくほうがスマートでしょう。またX線チェックを受ける際も「バッテリーです」と自己申告しておくとスムーズです。

最近のインテリジェントバッテリーではあまり必要ないですが、端子などが露出しないようにパーマセルなどを貼ってさらに絶縁をしてあげるとベストです。ドローンを渡航先で飛ばす内容などにもよりますが、どうしても機内に持ち込まないといけないバッテリーやパソコン、その他貴重品等で機内持ち込み荷物はそれなりの物量になってしまいます。機体本体はあまり預けたくはないものですが、預けざるを得ないので丈夫なケースをオススメするわけです。

また、バッテリー容量のWh値を見やすいようにテプラ等で貼っておくのも親切です。ただし貼る時は、バッテリーオリジナルの表記が隠れないように注意しましょう。

バッテリーは衣服等の荷物とは別ケースにして機内持ち込み

筆者がバッテリーを機内持ち込みする際に使用するバッテリーケース。DJIドローンの現行品でバッテリーの容量制限に抵触するのはInspire 1のTB48バッテリー。電力は129.96Wh。

ドローンパイロットの声

海外渡航が多い猛者ドローンパイロットからはこんな意見も。【1】利用航空会社のWEBサイトに記載されているバッテリー制限の注意点を印刷して持ち歩く。【2】100Wh以下であることをしっかり見せる。【3】乗継便でのトラブルも多く「日本出国時、あなたの会社でOKと言われたのに、なぜ乗継便でダメだと言うのだ! おかしいだろ!」と怒る。【4】袖の下を事前に用意しておくとすんなりいくこともある(最低でも$100)。【5】怪しまれない、舐められないようにどんな時も堂々とする。
また、機内持ち込みできない容量のバッテリーを宅配便等で送る際も注意が必要です。沖縄など基本的に航空便での対応になるような場所では、航空便でのバッテリー送付を受け付けていないところもあります。その場合は船便になりますので、相当数日数がかかります。事前、早めに運送会社に問い合わせをしましょう。