第8回 楽しいビデオライフとコンテストの意義


文=長谷川修(大和映像サロン会長)
タイトル=岩崎光明

ひと通り編集テクニックを覚え、他人様から「素晴らしい! 上手ですネ!」なんて褒められるようになりますと、次のステップとしてコンテストに食指が動くものです。さらにクラブの仲間や知人のコンテストの入賞話を聞きますと、「よーし、今に見ていろ、ボクだって」…そんな気持ちになるのも、あたりきしゃりき? これも上昇志向の現れで、そう来なくてはビデオ人生楽しくありませぬぞ!

人生いろいろ、コンテストもいろいろ、小は地元市町村が主催するコンテストから、大は都道府県、雑誌社、テレビ地方局、映像連盟等々の主催するコンテストまで多種多様です。さあ、いざ出陣ならぬ、いざ初応募! の時は悩むものです。いや~よく分かりますなぁ~その気持ち。

最初はビデオ仲間の先輩に、どのコンテストに応募すると良いか相談してみてはいかがでしょう。おっとその前に肝心なのは作品がコンテストに見合うレベルかどうか、ここが重要なポイントですからね! 作品にはコンテストに向いているものと、そうではないものがあるので、信頼のおける先輩のアドバイスを聞くことが大切です。

そういった先輩なら入賞はもちろんのこと、落選も経験しているはず。だからこそ貴重なのです。また、おそらくあなたの実力や作風を知っていると思いますので、どのコンテストに向いているかを判断できると思います。コンテストにはそれぞれの特徴と申しますかカラーがあるので、どんなに優れた作品でも、そのカラーから外れていますと上位入賞は難しいのです。

いずれにしても応募しなくては絶対に入賞しません。宝くじも買わなければ当らないわけですから…。ただ宝くじと違うのは、コンテストは他力本願ではなく、あくまでも本人の意思にもとづく努力の結晶、即ち自力本願であるということです。とはいえコンテストは水物で、絶対の自信作がグランプリどころかシランプリ? になったり、ダメもとで出した作品が入賞する場合もあるのです。コンテストの女神も気まぐれで、あなたの努力に微笑むことだってあるのですから! 努力と熱意で運も味方につけちゃいましょう!


コンテスト入賞のための傾向と対策を考えてみましょう。あるコンテストの審査員が審査のポイントについて語っていました。審査員が見るのは、

1.わかりやすいかどうか
2.苦労したかどうか
3.琴線に触れるものの有無

だいたい以上の3点に要約されるのだそうです。「1」は独りよがりになっていて、第三者が観ても理解も共感もできない作品ではダメということです。「2」はいささか議論を呼ぶ部分だと思いますが、ここで言いたいのは労を惜しまず取材したか、BGMの選曲やナレーションの推敲に意識を傾注したか否か、ということだと思います。「3」の琴線に触れるものがあったかなかったかは最も重要で、観る人の心を動かす部分があれば、たとえ作品の細部に拙稚なところがあったとしても、その感動のほうを優先するのだそうです。

また、ある審査員は導入部分とエンディングに注目すると言っています。これはタイトルのつけ方(題名)とタイトルバックの扱い方、特にタイトルバックの色が作品の内容に見合っているかどうか、そして終り方に細心の注意が払われているか…まで観るそうです!

いやぁ耳の痛い話ですよね。上映会でも“終”の出るタイミングが悪くて、正直どこで手を叩いたらよいのか判らなくて困った経験はありませんか? 最近のテレビや映画の影響か、“終”の文字を出さない作品が増えたのも戸惑っちゃいますよ。コンテストではエンディングに細心の注意を払い、曲の終りを作品の終りにしたいものです。エンドマークが出ているのに曲が続いていてプツンと切れるような作品は減点の対象となりそうですね。

コンテストの審査員は多くの作品を観る(観せられる)わけですから、必然的に消去法を取らざるを得ません。「音が悪い」「オバケが出た(タイムラインのカットとカットの繋ぎの空間)」「ナレーションに大きな間違いがある」「テロップが読みづらい」「何を言わんとしているのかが分からない」などがチェックされ、採点されるわけです。そして、ふるいにかけられた作品が最終審査に残り、テーマ、完成度、そして感動度を総合的に審査するのです。

ビデオがまだVHSテープの頃、コンテストに応募した作品は希望すれば返却されました。入賞できずに返却されて来たテープの状態から、あることに気付いた人がいました。それはテープが作品の途中の状態のまま返却されていたことです。要するに「作品を最後まで観て貰えなかった」のです。観終わったテープは巻戻して返却するのが普通ですが、応募数が多いと手抜きしたのか忘れたのか、いずれにせよ最後まで観て貰えなかったことは想像できますネ。

そこで教訓。《オープニングから40~50秒の間に5W1H(いつ、誰が、何処で、誰と、何を、どうして)を明確に伝えること》です。審査員に最後まで興味を持って観て貰うことが大切なのです!

こうやって書きますと「そんな難しいのなら、コンテストなんかや~めた!」なんて言われそうですよね。でも“苦あれば楽あり”と言うではありませんか。自分の立ち位置を知り、映像制作の趣味を充実させるためにもコンテストに挑戦してみてはいかがでしょうか? もちろんコンテストだけがビデオの楽しみではありません。気楽にビデオカメラをまわせればそれだけで楽しいという方もおります。どちらも素晴らしい趣味ですものネ!

月刊「ビデオサロン」2015年8月号に掲載