魁!! ビデオ道場 2017年7月号


「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者にはその栄誉をたたえて金2万円を贈らせていただきます。大賞・入賞および掲載作品にはそれぞれポイントがつき、累計ポイントによって当ビデオ道場における段位が認定されます(最高位:師範代)。
今回は2017年7月号掲載の作品を紹介します。解説とともに動画をご覧ください。<解説:岡野 肇>

 

<大賞>
(見出し)
セルフドキュメント
『Crested Kingfisher(前編)』  8分
林 幸司さん(岐阜県揖斐郡)

●作品紹介●まずは自らのビデオ遍歴を語りながら野鳥撮影に至った経緯を伝える前半部分と、目的のカワセミ撮影のための準備としてのロケハンを経ていよいよ撮影に臨むまでの後半から構成されたセルフドキュメント。今回はそのカワセミ撮影を追うシリーズの第1作。
◆講評◆今までのビデオ作品づくりから野鳥撮影へ辿り着いた歴史を描いた序章部分ですでに作品に引きずりこまれます。作者の映像に対する姿勢が読み取れるとともに、過去の作品で得たノウハウがこの作品へも活かされていることに気づかされるからです。ドキュメントとはいえ多少演出された撮影・編集部分もありますが、そこは作者の真骨頂。とにかく展開に釘付けにされます。このように今まで自分が歩んできた道を題材にした作品は少なくありませんが、本作のようにリアルな「今」へ繋げた構成は実に見事です。さらに以前の作品で培った連作ものという作品作りの上手さも、この作品のラストでいい意味で思い知らされます。続編にも期待が募ります。


<入賞>
お祭りビデオ

『夏の秋田は竿燈まつり』 7分48秒
吉見秀雄さん(神奈川県南足柄市)


●作品紹介●国重要無形民俗文化財である秋田の竿燈まつりを取材。出場者の入場から祭りのクライマックスまでを作者のセンスで切り取った秀作。圧倒される祭りの壮大さをアングルと音で魅せる。

◆講評◆こういった祭りの作品は、その全容を描きたくて準備や町の風景等を克明に追ってしまう構成の多い中、本作はこの竿燈まつりのハイライトシーンに注目。長い竿の竿燈をあやつる様を頂点に据え、その他のシーンはこの絶頂に導く脇役に追いやった編集が見事。まるで実際に見ているように徐々に高まっていく高揚感を見事に描ききっています。撮影場所が限られる中での構図の切り方も素晴らしい。


<入賞>
イベントビデオ
『はばたけ こうのとり』 8分
藤村正夫さん(埼玉県八潮市)

●作品紹介●江戸川河川敷に位置する関宿滑空場での国立7大学によるグライダー競技&地元交流会イベントを取材。加えて地元が取り組んでいる、こうのとりの自然回帰についても言及した作品。

◆講評◆グライダーやこのイベントのことを知らなくても、充分楽しめる構成とナレーションがいいですね。さらになぜ機体が「こうのとり」なのかを過去の素材を交えて明かしていく下りも面白い。イベントを撮影し、構成で付加価値を付けていく作者の目論みは見事に成功しています。読者の皆さんもぜひ記録撮影に留まらない作品作りの手本にしていただきたいと思います。

スポット紹介
『千里川土手の魅力』 6分26秒
猪嶋典昭さん(兵庫県神戸市)

●世界有数の旅客機撮影ポイントを紹介。◆市街地にありながら離発着数の多い大阪空港を迫力充分に撮影。頭上を飛行するこのロケーションならではの通過シーンを、どのアングルで切り取るか腕の試しどころでもありますね。


スポット紹介
『東京の名建築 三井倶楽部を見学』 7分53秒
木村精二さん(東京都北区)

●築百年を越えた綱町三井倶楽部見学記。◆訪れた先を漏らさず撮影し作品にまとめるのが作者のスタイル。明治の本格的な洋風建築を堪能できました。ただ手持ち撮影の水平バランスが気になります。チェックしてみて下さい。


紀行ビデオ
『芭蕉は出羽の国へ』 7分30秒
山口 尭さん(埼玉県熊谷市)

●作者の芭蕉の旅を辿るシリーズ出羽の国編。◆奥の細道の時代と現代との対比が上手く描かれています。読まれた句の背景が見られるのが良いですね。ただ芭蕉の足跡を辿るだけではなく各編にそれぞれのテーマが欲しいところ。


イメージビデオ
『TACHIKAWA ABOVE』 4分22秒
寺本浩希さん(東京都立川市)

●地元の魅力を作者のセンスで描写。◆音楽のリズムに載せてテンポある展開。動き・光の明暗・曲の緩急を利用した編集も快適です。途中自転車が出てきますが、それらをもう少しクローズアップする手もあるかなと思いました。


地域紹介
『寺井の街角』 7分59秒
本 瑞昭さん(石川県小松市)

●地元の町並みを水彩画で描き動画化。◆実写を使わない作者の試みは今回も編集を駆使して見やすく馴染みやすい仕上がり。当事者の絵を見ながらの感想を音声とするアイデアは斬新。多少テロップ等の補助があればなお親切ですね。


地域紹介
『小さな村の伝統行事~どこんのり~』 6分57秒
河合典之さん(三重県松阪市)


●以前の投稿作品(2016年9月号)を本誌のテロップ特集を見てドキュメントとして再構成・再編集。◆イベント記録からドキュメンタリーとしてステップアップさせることに挑戦した作者。テロップを最低限の場所や日時の説明だけに絞り、作品の軸を現場音とナレーションだけで紡ぐことで前作とは違った印象に仕上げています。画面に集中できるようになり、伝統行事というテーマがより伝わりやすくなっています。皆さんもテロップとナレーションをどう使っていくかを考える上で参考にしていただきたい作品です。