【映像+】世界的ベストセラー童話原作のダークファンタジー『怪物はささやく』~監督インタビュー


映像+(EIZO PLUS)
新しい映像が生まれてくる現場  vol.3

『パンズ・ラビリンス』のスタッフが再集結、
世界的ベストセラー童話原作のダークファンタジー

『怪物はささやく』

ダークファンタジー王国スペインから、新たな” 破壊と宿命の物語”が届いた。ゴヤ賞最多9部門を受賞、2016年スペイン年間映画興収No.1の大ヒットを記録した『怪物はささやく』。

監督は『永遠のこどもたち』(07)でデビューし、次期『ジュラシック・ワールド』の監督に抜擢されたJ.A.バヨナ。スタッフには『パンズ・ラビリンス』(06)のプロデューサー、ベレン・アンティエンサ、プロダクション・デザインのエウヘニオ・カバイェーロ、編集のベルナ・ビラプラーナが再結集した。

怪物の声とモーションキャプチャーは名優リーアム・ニーソンが演じ、さらにシガニー・ウィーバーが少年を守る強い祖母役で脇を固める。虚無感の残る「3つの物語」は、ギレルモ・デル・トロのTVシリーズ『Trollhunters』(16~)のキャラクターデザインを担当した気鋭のヘッドドレス・プロダクションが、手描きと3DCGを駆使したアニメーションで挿入。CGだけでなく、アニマトロニクスを駆使した実物大の怪物の臨場感も見どころだ。今回、自作『ジュラシック・ワールド』撮影準備で忙しいバヨナ監督に、映画制作舞台裏を聞いた。


6月9日(金)TOHOシネマズ みゆき座他全国ロードショー

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STORY

病気の母親と二人暮らしの孤独なコナー少年のもとに、ある夜怪物が現れる。怪物は「私はお前に3つの物語を語る。その後で、お前がお前の“ 真実の物語”を話せ」と告げる。3つの意外な結末を持つ物語が語られたのち、少年が語る物語とは。

INTERVIEW

:『永遠のこどもたち』『怪物はささやく』と、母と息子を描いた監督ですが、これは監督のテーマなのでしょうか

J・A・バヨナ:それらをテーマにしようと計画してたわけじゃない。僕はこういう類のストーリーが好きなんだ。『インポッシブル』もこの類に入ると思う。母親が息子に自然災害を生き抜くことを教える話だからね。

:監督にとって(ダーク)ファンタジーに必要な要素とは

J・A・バヨナ:すべては心の動きから始まる。思考や心像はすべて、心の動きによって生まれる。ダークファンタジーに必要な要素は、恐れ、孤独、不安など、死に関連する思考だと思う。死というものに接すると、自分の人生に意識が向いていく。

:撮影スタッフについて

J・A・バヨナ:世界中から素晴らしいスタッフが集まってくれた。撮影はオスカル・ファウラで、映画学校時代からの親友なんだ。プロダクションデザインはエウヘニオ・カバイェーロ。『パンズ・ラビリンス』も手がけているので、ファンタジーと現実のはざまの世界を作り出す難しさをよくわかってくれている。音楽はフェルナンド・ベラスケス。ストーリーの中のさまざまな思いを喚起する美しいメロディを、見事に作り出してくれた。

:3つの童話をアニメーションで表現しようと思ったのはなぜでしょうか

J・A・バヨナ:この映画の核となるテーマの1つは、絵と芸術だと思う。パトリック・ネスの原作には絵が入っている。絵は最初からあったんだ。パトリックが書いたストーリーとジム・ケイのイラストは一体だった。それらを切り離すことは、僕には考えられなかった。だから、コナーは絵を描くことに夢中になっているという、原作にはないアイデアを思いついた。だから怪物が語る童話は、絵で、つまり、アニメーションで表現すべきだと思ったんだ。童話を実写することは絶対に避けたかった。童話も俳優が演じた映像になると、この映画の本筋であるコナー少年のストーリーに、観客の意識が集中しにくくなるからね。

:アニメーションでこだわられた点を教えてください

J・A・バヨナ:童話をアニメーションで描くときにこだわったのは、キャラクターの顔をはっきりさせずに、影のようにすることだった。そうすれば、観客が想像する余地を残せると思った。本を読むとき、僕たちが常にストーリーを絵として想像するようにね。

:ミニチュアセットはどれぐらい建てられたのでしょうか。ミニチュアへのこだわりも教えてください

J・A・バヨナ:墓地のシーンのセットは、教会を含め、すべてミニチュアで作った。ミニチュアが大好きなんだ。ミニチュアを使うと、映像が落ち着いてリアリティが増す。しかも、撮影時は胸がワクワクする。

:バヨナ監督にとってアナログ手法の持つ魅力とは何でしょうか

J・A・バヨナ:ファンタジーであっても、アナログ手法を用いると、落ち着いた印象の映像に仕上がる。それに、俳優にとっても大きな助けになる。アニマトロニクスで作った怪物の頭は実物大で、その頭と向かい合って演技ができたことは、コナー役のルイス・マクドゥーガルにとって、大きな助けになったはずだ。さらにリアルな演技を引き出してくれたと思うよ。

:怪物のデザインへのこだわりについて

J・A・バヨナ:怪物は原作のジム・ケイのイラストからインスピレーションを得たものなんだ。まずデザインを起こし、次にDDTのアーティストがアニマトロニクスを駆使して、怪物の頭を実物大で制作した。そして、両腕と片足も作った。デジタル作業はすべてEl Ranchitoが監修し、MPCがリーアム・ニーソンが演じたモーションキャプチャーのデータを使って、怪物の動きを作り出したんだ。

:影響を受けたクリーチャー映画とそのクリーチャー、また好きなクリチャーを教えてください

J・A・バヨナ:とにかくファンタジー映画が好きで、特に『キング・コング』、『E.T.』、それに宮崎駿の映画が大好きなんだ。『怪物はささやく』には、これらの映画から受けたインスピレーションをすべて投入しているよ。

▼精巧なミニチュアセット撮影や、グリーンバック、実寸大の怪物の造形撮影などが見られるメイキング映像は必見!

 

《STAFF》

監督:J.A.バヨナ
プロデューサー:ベレン・アティエンサ
脚本・脚本:パトリック・ネス
原案:シヴォーン・ダウド
撮影監督:オスカル・ファウラ
プロダクション・デザイナー:エウヘニオ・カバイェーロ
編集:ベルナ・ビラプラーナ/ハウメ・マルティ
音楽:フェルナンド・ベラスケス
衣装デザイン:スティーヴン・ノーブル
視覚効果スーパーバイザー:フェリックス・ベルヘス
特殊効果スーパーバイザー:パウ・コスタ
アニメーション監督:エイドリアン・ガルシア(ヘッドレス・プロダクション)

 

《CAST》

ルイス・マクドゥーガル
シガニー・ウィーバー
フェリシティ・ジョーンズ
トビー・ケベル
リーアム・ニーソン