魁!! ビデオ道場 2017年9月号


「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者にはその栄誉をたたえて金2万円を贈らせていただきます。大賞・入賞および掲載作品にはそれぞれポイントがつき、累計ポイントによって当ビデオ道場における段位が認定されます(最高位:師範代)。
今回は2017年9月号掲載の作品を紹介します。解説とともに動画をご覧ください。<解説:岡野 肇>

 

<大賞>

登山ビデオ『道志山塊』 7分59秒
吉野和彦さん(長野県松本市)

●作品紹介●
富士山の北東、JR中央線と御殿場線の間にあたる道志山塊の展望スポットを紹介する作品。道志村は山梨県の最東端に位置し、通称「道志みち」と呼ばれる国道413号線は東京と富士山を結ぶツーリングコースとしても有名。

◆講評:作品はタイトル通り道志山塊からの展望を中心とした構成なのですが、その各ポイントから望む富士山の美しさに圧倒されます。雲がかかることも多い富士山ですが見事に晴れ渡った姿は圧巻。もちろん作者得意の自分撮りも構成のポイントとしてさりげなく挿入されているのもさすがです。作者の基本は山岳ガイドビデオとしての役割と眺望。この作品はその方針も押さえつつ、さらに力強さがプラスされていて、感動さえも覚える作者が伝えたい「美」を感じ大賞としました。作品を作る上でのテーマや方針をどのような手段と方法論で描いていくかという意味で皆さんに参考にしていただきたい作品です。

<入賞>
鉄道ビデオ『コトデン Nostalgic Train』 6分54秒
猪嶋典昭さん(兵庫県神戸市)

●作品紹介●
高松築港と琴平を結ぶレトロ感溢れる琴平電鉄を作者を含めたグループで協力して1本にまとめた作品。被写体の電車と、ドローンも利用しての空撮もまじえた画の魅力それぞれが秀逸。
◆講評:電車の走り、車窓、最前部からの展望等々豊富な素材から贅沢に仕上げられています。鉄道趣味は趣向が細分化されているのが特徴で、同じ「撮り鉄」といっても様々な視点があり、それらを結集するという仕立てはこの題材に向いていますね。1点だけ気になったのはBGM・現場音・ナレーションの音のバランス。編集後に一度聞き直してみることをお勧めします。ラストのエンドロールでは車両もCASTとして記され、鉄道愛を感じる作品でした。

<入賞>
地域ドキュメント『瀧山寺鬼祭り』 7分50秒
古橋三久さん(愛知県名古屋市)

●作品紹介●
愛知県岡崎の滝山寺本堂で挙行される天下の奇祭とも称される鬼祭りをその準備段階から克明に追ったドキュメント。冠面者、十二人集等祭りの役者が揃ったところで火祭りが始まる。

◆講評:地域の伝統行事を記録するドキュメントの制作にあたり撮れる素材は骨惜しみなしに徹底的に押さえるという作者の姿勢には頭が下がります。祭りのシーンだけでも充分にインパクトがあるにもかかわらず、日付をさかのぼっての取材で、その行程をもらさず捉えることでいやが上にも行事への気持ちの高まりが描かれます。徹底した解説のナレーションでさらに祭りの高揚感が増していますね。

セルフドキュメント『Crested Kingfisher(後編)』 8分
林 幸司さん(岐阜県揖斐郡)

●幻のヤマセミを追うシリーズ完結編。◆後編も作者の「シリーズといえど各編に個性を持たせる」というコンセプトは健在。視聴者とともにヤマセミ探検を体感していきます。時折の多少演出がかったくだりも作者の真骨頂。


祭りビデオ『弘前城雪灯篭まつり』 4分32秒
菊地照子さん(東京都大田区)

●桜の名所弘前城の冬まつりをアクションカメラを交えて撮影。◆特にラストの移動ショット等、ジンバル撮影の躍動感やワクワク感は良いのですが、その分、作品全体における広角の割合が多くなって迫力にやや欠けてしまいました。


地域イベント『小江戸佐原の春祭り』 7分47秒
木村精二さん(東京都北区)

●江戸の風情を残す佐原の雛舟パレード見物記。◆まるで同行しているがごとく旅程を追うのは作者のスタイルですが、地元の偉人伊能忠敬の記念館と住居は後半にまとめたほうが2部構成となり、作品にメリハリがついたのではと思います。


ドキュメント『忘れない』 6分30秒
吉村弘行さん(福岡県北九州市)

●30年前に旅立たれた娘さんの思い出の記録。◆「忘れない」というタイトルにご両親の愛を感じます。写真・イメージ・懐かしいお世話になった方々の思い出の会と多彩なシーン構成も良いです。かすみ草のエピソードは胸を打たれました。


スポット紹介『大宮氷川神社散策』 6分20秒
関口 豊さん(埼玉県狭山市)

●地名の謂れとも言われる大宮氷川神社を訪ねる。◆共に散策しているかのごとく、特徴である長い参道を通って境内へと進む様が漏らさず描かれています。今回の作品ではいつにも増してテロッブがはっきり表示されるのも印象的でした。


イメージビデオ『桜サク』 2分50秒
藤村正夫さん(埼玉県八潮市)

●個性豊かなイメージビデオ風桜の便り。◆毎年マンネリ化しそうな桜を題材とした作品に新風を吹き込むテンポのよい音楽に乗せた編集ですが、もっと過激なアングルでもこの曲にはマッチすると思います。着眼点は面白い。