マンフロット、新機構のビデオヘッド Nitrotech を日本で正式発表!


今年のNABにお目見えして話題になっていたマンフロットの新機構のビデオヘッド、Nitrotechの発売日と価格が正式に決定し、発表会が開催された。


価格と発売日は以下の通り。

 本体価格(税別)  発売日  前モデル

MVHN8AH

ナイトロテックN8フルードビデオ雲台単体

75,000 円

11月1日

MVKN8C

535カーボン三脚とのセット

175,000 円

10月25日

MVKN8CTALL

536カーボン三脚とのセット

198,600 円

MVKN8TWINM

546B三脚ツインMSとのセット

143,600 円

MVKN8TWING

546GB 三脚ツインGSとのセット

147,500 円

504PLONGR

ビデオカメラプレートロング目盛り付き

9,700 円

MVAPANBARM

 パンバーM

3,600 円

502HLV

MVAPANBARL

パンバーL伸縮式

7,200 円

 509HLV

 

発表会の冒頭、挨拶にたった荒井啓之マンフロット株式会社代表取締役社長は、先日、マンフロットが所属するVitecグループとソニーとのイメージング分野での協業についての発表に引き続き、今回ようやくNitrotechの生産、販売の準備が整い、ビデオ雲台の常識をかえるような画期的な製品として世に出せることを喜んでいると挨拶。社員一同、このNitotechの登場に興奮していると語った。

発表会にはイタリア本社からマーケティング担当のジュゼッペさんが来社し、製品の開発の背景や技術について説明した。

三脚は組み合わせるカメラのトレンドに合わせて進化しているが、現在のカメラボディはハイエンドの業務用ビデオカメラを含めて小型化しているという背景がある。カメラ性能は向上し、4K、8Kまで精細化しており、微妙なカメラワークが求められている。カメラはモジュール化し、現場や用途によって様々なアクセサリーを装着して使うことが多くなってきた。たとえばハンドルやフォローフォーカス、外付けモニター、レコーダーなどだ。もちろんレンズ交換式になることにより、かなり重量の異なるレンズを付け替えることも当たり前になってきた。一方でユーザーは価格に敏感になったこともあり、三脚をはじめとした周辺機器のコストパフォーマンスは向上し続けている。

ナイトロテックのターゲットユーザーとしては、そういった機材で制作しているフリーランスや単独撮影の多いプロのビデオグラファーだという。

カメラ構成が多様であり、様々なアクセサリーをのせてもカウンターバランスは完璧でなければならない。一方で一人もしくは少人数の現場なので機材はコンパクト、軽量でなければならない。

NitrotechN8は0〜8kgでカウンターバランスが無段階でとれ、ヘッド自体が小型軽量なのでそういったビデオグラファーの要求にはピタリとマッチする。

スチルフォトグラファーにおいてもNitrotechはメリットを発揮する。たとえば一眼ボディに超望遠レンズをつけかえると重量と重量バランスは大きく変化するが、同社のヘッドでは、800mmから70-200mmまで1台で完全にカウンターバランスがとれるのは今回のNitrotech N8のみだという。

Nitrotechの構造のついても解説があった。窒素(Nitro)ガスを封入したピストンが押しもどす力を利用しているが、この機構がビデオヘッドに使われるのは初だが、車関係にはすでに実用されているもので、耐久性などにおいても実績がある。ヘッドの左前についているカウンターバランス調整ノブ(CBS)を回すことでナイトロジェンピストンが上下動し、0〜8kg(重心高55mm時)の間で無段階でカウンターバランスを正確にとることができるというものだ。

ナイトロジェンピストンはカウンターバランス機構としてはまったく新しいものである。カウンターバランス自体はヴィンテンやザハトラーが開発したものがあるが、それは数十年前に発明された技術であり、現代に合わせてまったく新しい機構に挑戦した。いかにして無段階カウンターバランスを実現するかは、いくつかの条件がある。カメラ重量が変わった場合に、作用力が可変しなければならない。その力の強度が高く、かつ一定でなれければならない。

コンセプト機を作って検証を繰り返した結果、シリンダー内の圧力変化によるカウンターバランス力の増加は11%以内に抑えられ、その増加分は金属部品の摩擦によって打ち消されるのでユーザーに認識されることはないことがわかったという。

こういった画期的な機構を組み込むからにはデザインもまったく新しいものでなければアピールできない。新しい機構にふさわしい、興奮を呼び起こすスタイルを提案している。

Nitotech N8は小型ヘッドながら8kgまでのカメラでバランスする(押し上げる力が強い)と同時に、数百グラムの小型ビデオカメラや小型の一眼でもバランスがとれるのが画期的で、これはこれまでのバネを利用したカウンターバランスでは難しかった。デモでは実際に数百グラムのビデオカメラでもバランスがとれるところ見せていた。

ヘビー級の超望遠レンズをつけてもバランスがとれるところを実演。日本での製品担当をしているマンフロットの鈴木健二郎さん。

まったく新しい機構となると耐久性が心配になるが、当然メーカーとして耐久テストは行なっている。チルト動作を繰り返して部品の強度と信頼性を確認。

ピストンはシーリングで保護されているので、ガスが抜けるということはなく、気温については-15度から40度の範囲で性能が発揮される。これ以上の低温になるとピストンではなく、フルードヘッドのグリースの方の問題になってくるので、グリースが改善されればさらなる低温にも対応できる可能性はあるという。

Nitrotechは最初のモデルがN8という型番になっているが、ラインナップ展開が考えられている。今年9月のIBCにおいてカウンターバランスが4〜12kg無段階というN12雲台が発表された。ピストンのサイズ、雲台サイズはN8とまったく同じなので、遠目には違いがわからない。残念ながらDSLRクラスには対応しなくなるが、12kgまで対応となると現在のデジタルシネマカメラでアクセサリーを装着し、重心が高くなっても対応できるわけで、この小型軽量のヘッドでそこまで対応できる意義は大きい。日本での正式発表はまだで、発売時期も未定。

N8とN12は並べてもみてもサイズはまったく同じ。

ちなみにNitrotechが加わってマンフロットのビデオヘッドのラインナップはこうなる。ブロガーからステップアップしていき、デジタルシネマカメラを使うプロの映像制作者までカバーできるようになる。

後半は、Nitotechのアンバサダーも務め、本誌でもおなじみの岡英史さんが、ビデオヘッドに求められる性能について、そしてNitrotechのどこがポイントなのか、インプレッションも含めて語るコーナー。

ビデオヘッドはチルトやパンのロックではなく、手を離すとそこで完全にきれいに静止する完全カウンターバランスが重要であり、Nitrotechはある程度の業務用ビデオカメラから小型のDSLR、家庭用ビデオカメラまでバランスがとれるのが画期的だという。

また、現在の制作スタイルとして、ブライダルの現場では三脚からスライダーに載せ替えることも頻繁にあり、その場合、ビデオヘッドは底がフラットになるタイプが便利なのだが、Nitrotechは75mmボール径とフラットボールが兼用のスタイルになっているがよい。

 

ビデオサロン11月号(10月20日発売)では、岡さんの三脚選びアドバイスも含め、「三脚選びの新常識」という特集を組んでいるので、ぜひ参考にしてほしい。