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URSA Mini Proで汎用SSDでの収録が可能になる!Blackmagic URSA Mini SSD Recorderを試す

Report◉千葉 孝

先日発売されたURSA Mini SSD Recorderは、汎用の2.5インチSSDに収録するためのURSA Mini Pro、URSA Mini 4.6K専用アクセサリーだ。この完璧にカメラとドッキングするレコーダーは、2本のデータリンクのためのケーブルを接続するだけですべてのコントロールをカメラ側から制御する。そう、レコーダ側には電源ボタンすらないのだ。今回は実機を実際に使用してみたのでレビューしたい。

SSD Recorderを導入するメリットとして大きいのは、汎用の廉価なSSDが使用可能となる点だろう。Cfast2.0カードも昔よりは安くなったとはいえ、まだまだ1GB当たりの単価は高額だ。安価で知られるKomputerbayの推奨製品でさえ、2017年末現在、1G/140円だが(Komputerbay Professional 3700x CFast 2.0カード 256GB ¥36,000 12/25 amazon調べ)、SSDの場合、わずか1G/37.4円となる(Samsung SSD 250GB 850 EVO250GB 9.530円 12/25 amazon調べ)。同容量のCfastカードと比較して3.7分の1のコストで済む計算だ。もちろん、もっと大容量のSSDだとこの差は広がる傾向になる。

また、メリットは価格だけではない。大容量のメディアが使用可能になることで、長時間に及ぶ収録でもメディア交換の頻度が少なくなる。コンサートやセミナーなど途中で収録を止めることの出来ない撮影には威力を発揮するだろう。

さて、前書きはここまでにして早速使用してみよう。

まずあなたがURSA Mini SSD Recorderを入手して最初に行うべきことは、カメラ本体のファームウエアの更新だ。SSD Recorderを導入するならば必ずBlackmagic Camera 4.8アップデートを実行しよう。また、SSD Recorder本体とURSA Viewfinderにもそれぞれ最新のファームウェアをインストールしておく必要があるので注意したい。

アップデートが終わったらいよいよカメラとの接続だ。

カメラボディへの取り付けはさほど難しくはない。おそらく大半のユーザーはVLock Battery Plateを背面に取り付けていると思うが、一旦それを外し、ボディーとBattery Plateの間にSSD Recorderを挟み込むような形で取り付ける。その際、コネクターを抜き差しする必要があるが、難しいのは短いケーブルの取り回し位で、この種の作業に慣れていれば10分も掛からないはずだ。

SSD Recorder。カメラと接続するための短いケーブルとSDIのIN、OUTケーブルのみでスイッチ類はない。

ほとんどの場合、バッテリープレートを装着していると思うが、それを外し、プレートとカメラ本体の間に挟み込むかたちで装着する。

カメラ本体にSSD Recorderを装着し、バッテリープレートとケーブル接続したところ。

カメラボディとの接続は2本のSDIケーブルで結線する。ケーブルには「IN」「OUT」が明記されているので間違えないように。それぞれをカメラ側のSDI IN/OUTに接続すれば完了だ。

コネクターにはIN、OUTの表示がある。

セットアップは以上。あっけないほど簡単にあなたのURSA MiniはSSD収録が可能になる。カメラ側の設定も特に必要なく、対応したSSDメディアを挿入するだけでカメラ側で自動的にスロット2にSSDが認識するはずだ。なお、SSDはPCでもフォーマットできるが、エラーを防ぐためにも可能な限りカメラでフォーマットするようにしたい。フォーマットはHFS+かexFATのどちらかを選べるのもCfastと同じだ。

今回、SSDはSumsung 850Pro 1Tを使用した。

SSDメディアは上から挿入する。

注意点として、SSDメディアは各社からリリースされているが、必ずBMDから推奨されている製品を使用しよう。推奨SSDリストは同社ホームページで確認できる

また、気を付けなければ行けないのはSSD収録が対応するのはRAW/4.6K/Lossless/30Pまでということだ。つまり、RAW/4.6K/Lossless/60P収録を行う場合は、既存の方法(CFastデュアル)で行う必要がある。しかしながら現時点でRAW/4.6K/Lossless/60Pものスペックが必要になる撮影案件はまだまだ少なく、自分の場合、一部の放送系を除けばほとんどの案件が30Pもしくは24Pでの収録ベースのため、実際に仕事で困る場面は少なそうだ。

最後に、気になった点をいくつか明記しておきたい。

まず一番大きな問題として、カメラ側からのSDI/OUTコネクターをRecorderが占有してしまうことにより、モニター出力がなくなってしまうという、非常に困った事態になる。解決策としてはフロントのSDI/OUT(Viewfinder用)を使用する方法があるが、これだとViewfinderが使用不可能になってしまう。つまり、このままだとモニターOUTとViewfinderが両立しないのだ。

せめて1系統でも良いのでSSD Recorder側にSDI出力コネクターを実装して欲しかった。自分はWoodenCamera社製の小型VマウントVDAを使用し、この問題を解決した。カメラボディが若干長くなってしまうが、背に腹は代えられない。

また、今回の執筆のため、SSDメディアを2種類お借りしテストしたのだがSamsung 850Pro 1Tは全く問題なく動作したが、一緒にお借りしたSamsung 850 EVO 4Tの方はカメラで認識せず、フォーマットまでたどり着けなかった。

BMDの推奨SSDリストには両方の製品が明記されているため、おそらくは個体差だとは思うのだが、もっとも高額で大容量な4Tの製品を購入してから使用できないのでは目も当てられない。この点については今後も情報を集めたいと思う。

※追記 この検証後、新たに同製品をメーカーからお借りし、テストしたところ問題なくURSA Mini Proで認識、フォーマットすることができた。原因は定かではないが、おそらくカメラと850 EVO 4Tにおいて個体差の相性があるのかもしれない。同製品を導入予定の方は撮影前の収録チェックを強くお勧めする。

ではまとめといこう。

URSA Mini /ProオーナーにとってBlackmagic URSA Mini SSD Recorderのリリースにより、収録メディアの選択がCFast、SD、SSD と幅広く選択可能になった。

たとえば収録コーディックにProres422HQを選択する場合、1TのSSDメディアだとUHDで約153分、HDではなんと約613分もの長時間収録が可能となる。

同社の安価な値付け(税抜き44.980円)も相まって、非常に魅力的な製品であることは間違いない。特に長時間・大容量の収録データーを日常で扱う技術者にとっては必須のアクセサリーとなるだろう。