カード1枚にしか記録できないデジタル一眼では現場でポータブルSSDにバックアップ

Report◉栁下隆之(LimeTec)
協力◉サンディスク株式会社

一眼動画のリスクを理解しているから
現場でのバックアップは欠かせない

一眼での動画撮影は毎回ハラハラさせられます。なぜなら、大半のカメラではカメラ内部でのバックアップ記録ができないから。ハイエンドのデジタルシネマの環境では、カメラ+外部レコーダーの組み合わせが多いと思いますが、大判センサーのビデオカメラに慣れてしまうとカメラ内部のバックアップ記録がない機種では、毎回少し緊張を強いられます。少人数で機動性を生かした撮影となれば、自ずと最小限の機材での運用を余儀なくされますから、外部レコーダーを使わない場合も多いです。カメラ内部の1枚のSDカードに撮影データを詰め込んでゆく、そのリスクは実は大変大きなもので、私は随分前から記録メディアはサンディスクしか使っていません。カメラメーカー推奨となっていることもありますが、私自身に加えて、友人知人のカメラマンでもトラブルの報告がないというのも選択の理由です。今ではATOMOS社のSHOGUN INFERNOでも、サンディスク社製のSSDを使っています。最近ではリニアPCMレコーダーやドローン用の記録メディアもサンディスクにしてしまいました。結局、「これを買っておけば安心」というのが購入の決め手になっています。

▲ 今回バックアップに使用したのは5月に発売されたばかりの新製品、サンディスク エクストリーム ポータブルSSD。コンパクトな新デザインでUSB3.1 Gen2の高速転送に対応。IP55の防滴・防塵性能を備え、最大2mの落下にも耐える衝撃と振動に強いタイプなので、屋外や車の中での使用も安心。容量は250GB、500GB、1TB、2TBの 4種類がある。

もちろん、収録時にトラブルがないことは当然ですが、1枚のSDカードから可能な限り素早くバックアップを取っておきたい。私の場合は、現場の撤収時にその場でバックアップを行うようにしています。時には機材車の車内で移動中にということも多々あります。撮影直後の記憶が新しい内に、バックアップからフォルダ整理まで済ませることが、複数枚のメディアを使用した場合のバックアップ漏れなど事故を防ぐ秘訣です。

そんな状況には機械的トラブルの要因のないポータブルSSDが最適です。ケーブルの接触不良さえ注意を払えば、HDDのような振動や衝撃によるトラブルも皆無です。現場に持ち込んでいるラップトップパソコンの起動ディスクはSSDですから、バックアップ用ストレージだけがHDDですと精神的にとてもストレスを感じます。その点、SSDは安心感につながります。また転送時間が短ければ現場の撤収も早くなりますから、そこも選択理由の一つです。

車の助手席で3枚のカードからポータブルSSDにバックアップ

最近手がけた空気公団のMV「うつろいゆく街で」の撮影では、X-H1の200Mbpsの4K/30p撮影でも問題なく作業できました。ロケは2日間でしたが両日とも終わったあとすぐにデータをバックアップ。使用したのはこの度サンディスクから発売されたエクストリーム ポータブルSSDです。最終日は夕景狙いだったこともあり、現場の撤収は完全に日が暮れた状態でした。機材の積み忘れを懸念して、パッキングと積み込みを優先し、その後に車の助手席で64GB3枚の記録メディアからデータをバックアップしましたが、スピードも速くて撮影部全員早く夕飯にありつくことができました(笑)。この時は自走で現場入りしていたので停車中の作業でしたが、機材車での移動の時などは走行中の車内でバックアップすることもよくあります。そんな状況では当然HDDは避けるべきです。収録メディア→ポータブルSSD→バックアップ用HDDという流れですが、最終のHDDへのバックアップは事務所に戻ってからにしています。

▲ 収録は外部レコーダーは利用せず、カメラ本体のSDカードのみ。一眼で動画のデュアルスロット記録ができるモデルは限られるので、SDカードからのバックアップは迅速に行いたい。
▲ 撮影素材は富士フイルムX-H1の4K/30pで200 Mbpsという、一眼としては比較的記録レートの高い素材。サンディスク エクストリーム ポータブルSSDに保存した素材は、そのままダブルクリックでカクツクことなく再生できた。
▲ バックアップした素材は記憶が新しいうちにフォルダを整理しておく。

SDカードとポータブルSSDはバッグを分けて移動してリスクを分散

その場でディレクター渡しの場合などは、途中のSAやPAで食事をとりながらデータコピーというのもよくある話で、その際には車の車内で手際よく作業します。1台目のバックアップ先としてポータブルSSDの利便性は実に助かります。

地方ロケなどで大きな移動が伴う場合、SDカード内とポータブルSSDの2箇所にバックアップしますが、それをカメラバッグとPCバッグのそれぞれに収納して、事故や盗難のリスクを回避します。飛行機での移動であれば、預けと手荷物に分散するなどして万一に備えます。

とにかく私は少人数での撮影で、カメラマンとDITを兼ねるような現場が多いので、データのバックアップには速さと安全性に気を遣ってます。撮影だけの仕事で、現場で得体の知れないメディアを渡された時には、ちょっと躊躇してしまいます。これで何か起きたら自分のせいなのかなと不安になるのです。精神衛生的にも、とにかく多くの方にサンディスクのメディアを使っていただきたいですね。

栁下隆之◉1972年生まれ。神奈川県出身。写真家アシスタントから現像所勤務の後、17年余り撮影機材の販売会社に勤務。2014年にカメラマンとして独立。写真機材の豊富な知識を元に、動画撮影を得意とする。写真の知識で動画を撮るという独自の視点で本誌でもライターとしても活躍中。

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