【イベントレポート】第一人者によるトークセッション「マイクロドローンが拓く、新たな映像表現」


取材・文●青山祐介

 

『オンナノコズ:”Onnanocos” × Micro Drone』や『未来飛行/J☆Dee’Z(ジェイディーズ)』といった、マイクロHDドローンによる映像作品で今脚光を浴びているシネマレイ代表取締役の増田勝彦氏と、『空から日本を見てみよう』をはじめヘリコプターやドローンからの数々の空撮を手がけてきた、ヘキサメディア代表取締役の野口克也氏の二人によるトークショーが8月3日に東京都港区で開催された。

 

マイクロドローンの成り立ちから仕様まで

▲シネマレイ代表取締役の増田勝彦氏

 

▲ヘキサメディア代表取締役の野口克也氏

 

マイクロドローンが拓く新たな映像表現」と題したこのトークショーは、東京都港区にあるマイクロドローン専用スペース「空人ドローンフィールド」が定期的に開催している“体験&交流型コミュニティイベント」の1つとして、JDRA(一般社団法人日本ドローンレース協会)とCCNが開催したもの。普段はマイクロドローン向けのコースが設置されているラウンジスタイルのこのスペースだが、この日ばかりは話題の増田氏の話を聞こうと、マイクロドローン愛好家をはじめ多くの参加者でフロアが埋め尽くされた。増田氏と野口氏の対談形式のトークセッションは、まず増田氏がどうやってマイクロHDドローンで映像撮影を手がけるようになったかということからスタート。レース用マイクロドローン「Tiny Whoop」の成り立ちから、話題の作品の撮影に使用されたマイクロHDドローンに機体を進化させていったプロセスを増田氏はわかりやすく紹介。

 

▲小型化の要となったカメラユニットRunCam Split mini

 

▲レース用マイクロドローン・Tiny Whoopよりは大きいものの110mm、75gというサイズに収まった

 

とりわけ参加者が関心を寄せたのが、やはり増田氏が撮影に使用しているマイクロHDドローンの仕様だ。当初は2インチのプロペラを使い、GoPro Session5を分解してカメラ部分だけを搭載した、重量130gほどの機体も製作したことがあるという。しかし、2インチ機では騒音が大きく、人に接近するのが難しくなる。増田氏はさまざまな試行錯誤をする中で最終的に幅約110mm、重量約75gというオリジナルの機体を作り上げた。そのカギとなったのは、FPV操縦用と記録用の映像をひとつのカメラで共用できるRunCam Split miniの登場と、さらに業務で使用できる産業用5.7GHz帯映像送信機の開発にあったという。

 

▲『オンナノコズ』や『未来飛行』の撮影に使った、増田氏のマイクロHDドローン。

この機体の話の中で増田氏が強調したのが、マイクロドローンのプロペラを包むようについているガードの存在。当初はカーボンといった素材も検討したが、最終的にはデルリンという柔らかく、場合によっては壊れるような素材を使っていることにある。この人に当たっても人を傷つけないつくりとすることで、話題となった作品のように、人に接近した撮影が可能になったという。「マイクロドローンは人に溶け込めるドローン」であることが大事だと増田氏は語った。

また、参加者のもう一つの関心事が、撮影のためのマイクロドローンの操縦だ。今回のトークセッションで司会を務めた横田氏は、増田氏のことを「2017年に開催されたマイクロドローンのレースで3回も優勝したことがある手練のパイロット」だと紹介。「日本でもこの撮影ができるのは10人くらいしかいないんじゃないか」と評した。

 

▲トークセミナーの最後に、実際にマイクロHDドローンを飛ばして見せた増田氏。決して広くないスペースを、自由自在に飛びまわった。

 

動と静のドローン空撮

こうした増田氏のマイクロHDドローンによる撮影を“動”とするなら、野口氏が大型のドローンを駆使して撮影する映像は“静”の極み。トークセッションではこれまで野口氏が撮影した、真っ赤な溶岩が黒い岩肌を流れる西之島や、大島でそのほとんどをドローンで撮影したGLAYの『the other end of the globe』といった作品を披露。また、『空から日本を見てみよう』で撮影した、羽田空港でランプインする航空機を後ろから追いかけるヘリコプターから撮った映像など、なかなか撮影することが難しい場所でのスケール感ある映像に、参加者からは感嘆の声が上がっていた。

そんな野口氏だが、マイクロHDドローンによる撮影には「僕の周り(の空撮関係者の中)でもやりたいという人は多く、みんな飛びついています。ただ、まずこのマイクロドローンを上手く飛ばすのが難しい。増田さんの映像は全然酔うような感じがしないところがスゴイと思った」と話す。また、なるべく安定した映像を撮ることが求められる野口氏だが『未来飛行』を見て、「画が揺れているのもアリだと思う。むしろビシッと止まっている方がつまらない。自分の撮っているドローンの画を見ていても、止まりすぎてつまらないと思えてきます」と付け加えた。

マイクロドローンを使いこなす演出が要

そんな野口氏と増田氏のやり取りの中で、二人の意見が一致したのが、“ドローンによる撮影を上手くディレクションできる人の存在”だ。J☆Dee’zのMV『未来飛行』では、事前に振付師がドローンとコラボするような振付を考えていたからこそ、マイクロドローンのワンカット撮影の特徴が上手く引き出せたと増田氏。こうした撮影の場合、監督やディレクターの指示を受けて飛行ルートを決めるのが大前提だが、なかには“おまかせ”となる場合も少なくないという。特にマイクロドローンでは、機体のそばで人が動くことで空気の流れができて、機体が揺れてしまう。そんなドローンの特性を理解してパイロットと監督の橋渡しをするような人はこれから求められるようになる、といった話題も上がった。

 

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●イベント会場

https://dronerace.sorajin.work/

●イベント概要

https://sorajin1.hatenablog.com/entry/2018/07/27/151046