多様化する映像クリエイターの制作スタイルを訊く『Videographer’s File』Yusuke Okawa


Yusuke Okawa

現在、映像ディレクター、エディター、写真家として活動。大学の友人とともに映像制作会社TranSeを立ち上げ、取締役を務める。ミュージックビデオやSNSのインフィード広告、企業のブランドムービーなどの制作を手がける。さらに、YouTubeではVlogや動画チュートリアルも公開している。

文●松岡佳枝/写真提供●株式会社TranSe

自分を表現してこその映像

こう言い切るのは、大川優介さん。現在21歳。2017年夏のGoPro HERO5ローンチコンテストで受賞し、スタートさせたキャリアは、まだ始まったばかりだ。

車で海に行ける環境で育ち、自身もサーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ大川さん。趣味のサーフィンを撮影して、編集、YouTubeにアップしていた。センスのいいサーフィン動画などで”人生を楽しんでいる人”の作品を見てインスピレーションを受け、GoProを購入。それまでiPhoneで写真を撮ってはいたが、動画は初めてだったという。

「撮影も編集も独学です。YouTubeなどで様々なチュートリアル動画を見て勉強しました。いまや動画は誰でも始めやすくなりましたし、当初は趣味だったので仕事にする気もありませんでした。ただ、大学は経済学部で起業ゼミに入っていて、漠然と経営者になろうとは考えていました。そこで出会ったのが、会社設立を共にした安藤と竹林で、彼らが環境作りをしてくれ、僕は自由にやらせてもらっています」

GoPro HERO5ローンチコンテストで受賞後、ドローンやカメラを購入。SNSでの繋がりからイベントの撮影を依頼される。

「人生で初めての仕事でした。そこで大きく考え方が変わりましたね。幅も広がって、SNSでの発信も増やしていき、メンバーも増やして、2018年4月に会社にしました。フリーランスでの1年でやれることの限界も感じていたので、”信用”という大きなメリットは感じています。会社にすることで選択肢の幅も広げたかったですし」

自分自身を確立し影響力を付ける

大川さんは、YouTubeのチャンネルを持っており、自分自身が出演して映像にするというタレント性の高さが評価され、現在、吉田正樹事務所に所属している。

「自己表現をするための映像を作って発信するYouTubeでは、従来の映像制作者とは若干違った活動をしています。タレント兼ディレクターとして、自分自身のブランディングに力を入れているんです。通常、モデルを起用してPRするアパレルブランドでも、僕自身がその服を着て映像を撮り、SNSで発信する。企業とのタイアップという形での見せ方も自分自身のブランディングのひとつです。また、同じ事務所に所属するヒューマンビートボクサーのDaichiさんのアカペラグループ”よかろうもん”のMVやメイキングの映像制作なども行いました」

映像を作るクリエイターとしてだけではなく、自身がインフルエンサーとなり、様々なムーブメントを起こしていきたいという大川さん。実は若手(といっても大川さんも若い)の育成にも積極的だ。

「よく、自分の映像制作のチュートリアルを惜しげもなく動画で出していることに、もったいないという声もいただくんですが、映像を作るうえで最低限知っておくべきものや知識というのもあると思うんです。映像を通して自己表現をしたいという人たちに”仕事”という観点を持たせてあげるというのも、僕が積極的にやっていきたいことのひとつで、SNSで

“どうしたら仕事にできますか?”というメッセージをもらえば、その都度話をしますし、やる気の伝わる人とは会って一緒に仕事もします。ただ、”センス”というのは教えることができないので、自分で磨くしかない。僕は海外の映像を参考にしています」

自己表現としての映像を突き詰め、新しいビジネスも考えたいと、2018年7月からはタイに移住。

「会社は日本を拠点として、タイでのビジネスが何かできれば全員でタイへ行くかもしれません。ビジネスマンとして、タレントとして、映像クリエイターとしてだけでなく、起業家として、常に新しい、面白いことを仕掛けていきたいです」

クライアントワークでは映像の品質はもちろん、撮影翌日には初稿を出すというスピードも心がけている。前だけでなく全方位を見渡し、すぐ動く、そのバイタリティこそが大川さんの真骨頂である。

 

よく使う映像機材リスト

Yusuke Okawaさんの作品

Santos de Cartier – living for the thrill-

飛行士、サントス・デュモンの要望から友人であったルイ・カルティエが世界で初めて腕時計を開発した話は有名。その最新作のローンチパーティを記録したイベント映像。

カラーグレーディングのLUTとは?

大川さんは自身のYouTubeチャンネルで旅先でのVlogのほか、動画制作に関するチュートリアル動画を公開している。この動画では日頃使うLUTについて解説。

撮影風景

▲ 今年5月に開催されたダンスミュージックとアートのイベント「Electric Daisy Carnival (ED C)」での撮影風景。TranSe社に登録するビデオグラファーとチーム体制で収録した。

 

ビデオSALON2018年9月号より転載