Report◉岡英史

4月と言えば世界中の業界人が集まるNABSHOWが、ラスベガスで開催される。簡単に言えばInter BEE等と同様の機材展示会なのだが、そのスケールが大きい。世界中から業界の1年を予想するためにプレスが集まるのだから、人も機材も多すぎて数えきれない。そんな中で筆者は2010年から行き始め今年で9回目、ようやく色々なものが見れるようになったように自分では思っている。それではほんの少しだがピックアップしてみたい。

 

SONY

FS7/ENGキット(ショルダーキット)

来年のオリンピックイヤーに向けて4Kでの取材が増える頃だが、ショルダータイプの機材は一向に発表されない。Z450を最後にあとはF55のショルダーキットだが、どちらも業務用途というより放送クラス。そろそろ業務クラスが欲しいと期待していたが、SONYの回答はFS7にショルダーキットを組み込むということだった。主な構成は、B4マウントレンズを組み込むB4toEマウント変換アダプタとショルダーキットの二つ。変換アダプターには、レデューサーが入っているので変なケラレやクロップもなくレンズそのままの特性で扱うことができる。ショルダーキットはXDCAM系のVFが付属しており、正確なフォーカシングが可能。さらに放送用ワイヤレススロットを装備しているのでA帯運用も可能。USBモデムに対応したポートがありLTEモデムを差し込めば伝送も可能になる。(マウント変換$5000、VF含むショルダーキット$6000、各々予定)

 

小型ハンドヘルドのHXR-MC88

今回のNABで初お目見えの小型ハンドヘルドカメラ。Z90から4KとXDCAMコーデックを抜いたAVCHD機種になる。FHDのみの収録になるがこの機種の特徴は同社のSW、MCX-500と組み合わせることができ、タリーやLANCによるカメラコントロールが可能となること。価格も非常に安く$1300以下の予定。MCX-500と4カメ組み合わせても$10,000以下というのが売りだろう。

 

 

低価格業務用ワイヤレスのDシリーズがさらに小さくなって登場。受信機で空きチャンネルを探しその情報をNFCでのワイヤレスより送信機に情報交換をする。日本では夏頃の発売予定とのこと。

 

旋回カメラとの組み合わせでグリーンバックを使わないデジタルクロマキーの展示。単純に抜くだけではなく人のジェスチャーをAIで分析し、それにより適正な画角に動き追従するブラックボックスを展示していた。今までは一人の主人公(講師等)に対しての追従はあったが、このシステムはオーディエンス(受講者等)に対しても機能する。例えば受講者は講師に手を上げ発言するようなシチュエーションでは、その両方を別々のカメラが認識適切なサイズを保つ。この流れをAIがすべて制御するというものだ。

 

 

ハイエンド機種であるベニスのエクステンションキットを組み込んだ運用が面白かった。このキット自体は昨年のシネギアで発表されていたが、今回その運用方法の一つとしてEASYRIGを組み合わせ、重い本体は背中に装着し軽いヘッド周りだけをジンバルでコントロールするという方法。これならα7と大して変わらない大きさ・重量だから、その運用範囲は広がるだろう。実際このように、女性が30分以上もオペレートしていたのが印象的だった。

 

 

Panasonic

オリンピックと言えばPanasonicが全面に出てくるが、ようやくP2カードベースの4Kショルダーカメラが出てきた。まだ詳細は出てないが、外回りでのENG取材はこれで一気にやりやすくなる。九州放送機器展(QBEE)あたりでもう少し色々なことが解るはずだ。

 

4Kがまだ確定しきれていない中、どこのメーカーも今年は8Kに力を入れていた。8Kを使った高解像度収録もだが、それよりそこから4Kを切り出すという使い方の提案が多くみられた。Panasonicブースでは、お得意のリモコンカメラとの組み合わせで被写体をリアルタイムに追従クロッピングをし、複数台でのマルチカメラ運用と同じようなことを自動で行うデモを見せていた。

 

 

Canon

 同社のCINEレンズは、単玉からズームレンズまでラインナップはあるが、今回はPLマウントを主とし解像感はそのままに、所謂「味」を大事にしたSUMIREプライムレンズを展示した。コーティングも従来の物とはまるっきりの別設計により菫の様な独特の雰囲気を出している。ややシャープな感じのCN-Eシリーズから柔らかいボケ味に代わり、シネレンズメーカーさながらの渾身のレンズに感じた。

 

 

JVCケンウッド

発売時期がかなり遅れてしまったHC500シリーズだがようやく、その形がまとまり6月の発売に向けての実働気が展示されていた。AF等の精度はまだまだ追い込みが足りない気がするが、コネクト部分の仕上がり等発売が楽しみな一台である。

 

SHARP

昨年のInterBeeでも8Kのショルダーカメラを展示していたが、今回はコンデジタイプの小型8Kカメラが新登場。その形から写真も撮れるのかと思われたが、完全にビデオのみとのこと。BMDのポケットシネマカメラ4Kとの差がどうなのかが今後楽しみだ。

 

Blackmagic Design

昨年発売されたポケットシネマカメラ4Kは、そのコンパクトなボディが魅力の一つでもあるが、さすがにあの小さなバッテリーでは全く物足りない。とは言え、外部にVマウントバッテリー等でRIGを組むのも大げさ過ぎると言う方にピッタリの外付けバッテリーケースが登場。中身はSONY Lバッテリー(または互換品)が2個入るために収録時間が大幅に伸びた。

またジョグ/シャトルやIN / OUT点が打てるキーボードは、その動作がリニア世代には堪らない感覚だ。このキーボードのみで全てのコントロールも可能なので、より編集時間の短縮にもつながる。今のところプロトコル的にDaVinci専用なのが唯一残念な点だ。

 

 

Libec

最近今一つ製品発表が少なかったLibecだが、今回はCP+でもひっそり展示していたTH-ZとQDシリーズの展示。TH-ZはTH-Xのヘッドの大きさそのままにALEXと同じ耐荷重を持たせた物。これによりNX5Rクラスでのオペレートが可能になった。そのコンパクトなヘッドは、ワンマンロケでは非常に助かるサイズ。QDシリーズは、同社の中でも群を抜いた最大サイズの雲台。リグを満載にしたシネマカメラや高倍率な放送レンズでも安定したバランスを保つことができる。同社の製品らしくセーフティーにもしっかり気を配っている所も好感が持てる。

 

Manfrotto

窒素ガス封入ピストンでカウンターバランスを取るNitroTechが、新型となって登場。今までドラッグとロック方向がバラバラでやや慣れが必要だったが、閉め込む方向を同じにしてより扱いやすくなった。ロックダイヤルの形状およびカウンターバランスノブも、力の入りやすい形状に変更されている。名称はNitrotech N8から608へと変更されていた。

 

AJA

元祖キャプチャーの代名詞の一つと言えばKi Proだが、今回のKi Pro GOはマルチに収録ができるもの。前面に4つのUSB出力があり、各々SDI1~4inまでの入力にパラRECをしてくれる。背面にももう一つUSB出力があるので、4カメスイッチャー現場ではKi Pro GO一台でカメラそれぞれのパラ録分とPGMアウトを全て収録が可能になる。また、各CHで記録された映像を内部セレクターで任意のCHを出力し、それを5ch目のUSB出力にアサインできるので簡易スイッチャー的な運用も可能だ。

 

番外編

MULTITURRET.COM

これは出展者ではなく個人での制作品であるが、その出来は素晴らしく作り込んであり、3本のEFレンズはAF/AE含めすべての電子接点がカメラ側のFS5からコントロールできる。興味のある方はサイトもあるので見てほしい。https://www.multiturret.com/

 

海外取材カメラバック

毎年NABに行くたびにカメラと三脚の持ち込みに頭を悩ませているが、今回の組み合わせのカメラバックは、CP+で発表されたManfrotto PL ローラーバッグ SPIN55をお借りした。スーツケース型のセミハードケースに取り外し式の内部緩衝材で構成されたもの。このトランクの良い所は、内部パットの組み合わせでカメラだけではなく衣類等も収まりよく入れることができること。1泊分のロケ取材ならこのバックに、着替えから撮影機材まですべて入れることも可能だ。

 

AZDEN

2.4Ghz帯の新型デジタルワイヤレスマイク(送受信機セット)PRO-XRは、従来のPRO-Xと比べ送受信機回路の全面見直し、実装で従来品より約2倍の受信感度となった。これは大雑把に言うと、シングルアンテナでデュアルアンテナ効果を持たせたことにより、遮蔽物に弱い2.4Ghz帯でも二方向から電波をキャッチすることで大幅に受信感度が上がったものだ。全世界で使用可能予定なので、これで海外取材が筆者的には楽になる。