「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」ファイナリストインタビュー&授賞式レポート


▲左から大江 海監督、カワイ・ヒバリ監督、瀬名 亮監督、中林佳苗監督、てつおとゆうほ監督(左:ゆうほ、右:てつお)

新世代のクリエイターを発掘、育成するプロジェクト「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」。同プロジェクトは、35歳以下で企画力と熱意があればプロ・アマ問わず参加できるコンペティションで、審査を経て選出された5組のファイナリストは制作費1500万円の支援とプロの制作スタッフのサポートを受けて、自らの企画を映像化した。今回、4月27日の授賞式に合わせ、第2回ファイナリスト5組へのインタビューを行なった。

レポート●編集部 伊藤

■5組のファイナリストと今回映像化された作品

1.中林佳苗『姉にヒュッゲを教えたい』

監督自身が感じた「大切な誰かと過ごす何気ない日常が、なによりも幸せ」というメッセージが込められた、忙しい日々を送る全ての人に届けたいハートフルドラマ。

2.大江 海『宇宙人ともだち』

「自分を理解してくれる人は必ずどこかにいる」という想いを込め、おじさんの哀愁と悲哀をオフビートな笑いに包んで描くヒューマンコメディ。

3.カワイ・ヒバリ『そこに光があるなら』

コロナ禍で中学最後の夏休みを奪われたことで感じた、やり場のない想いを落とし込み昇華した青春ドラマ。

4.瀬名 亮『はじめてのよあそび』

“憧れ”と“現実”が入り混じる都会で大学生になったばかりの主人公が、本当に大切にしたいことに気づいていく成長の物語。

5.てつおとゆうほ『ヒロインの親友はハードスケジュール‼︎』

HU35初のカップルコンビが制作した「脇役だって恋をしたい!」という新たな視点から描く新世代ラブコメ。

 

■ファイナリストへのインタビュー

――ファイナリストに選ばれたときの気持ちや、作品制作を振り返っていかがですか?

 ゆうほ監督(以下:ゆうほ):私は、「(てつお監督とふたり一組で参加したことに対して)何をモチベーションにやっているんですか?」みたいなことを審査でよく聞かれたんですけど、(芸人として活動をしている)てつおさんの仕事が増えることをモチベーションにプロジェクトに取り組んできたので、ファイナリストになったのは嬉しかったです。はじめて映像作品をつくったということもあって、制作期間はすごく忙しかったです。

てつお監督(以下、てつお):本当に大変な4、5カ月でした。慣れないなかでいろんな人にサポートしてもらいながら、頑張っていった感じなので、とにかく突っ走っていきました。

瀬名 亮監督(以下:瀬名):もともと小説家志望ということもあり、これからいろんなコンテストに応募して、その期間の中で何かできればいいなと決めていて、はじめて応募したのが今回のHU35でした。はじめての応募でこうやって審査を通過させてもらったことに大きな恩を感じています。

実際の制作の過程では、すごくつらいこともあって、けっして楽しいことだけではなかったのですが、やってよかったなと思っています。この作品が完成して、“何かを作った”という経験がいつか次につながっていくのを、このような形で道を開けてくれたこのプロジェクトにすごく感謝しています。

カワイ・ヒバリ監督(以下、カワイ):自分の年齢やはじめての映像制作というのもあったので、ファイナリストに選んでいただいてからすごく不安もありましたが、覚悟を決めて臨みました。振り返ったら悲しいことや悔しいこともありましたが、すごく貴重な体験をさせていただいたので、この作品の制作を通して、また映画や映像の世界に関わりたいなと強く感じました。

中林佳苗監督(以下、中林):ファイナリストに選ばれた時は、こんなおいしい企画をやらせてもらえるということがすごく嬉しかったです。(普段の)仕事では、みんなが企画を出してやりたい、でもお金もない、なかなか監督に選ばれないというなかで、制作費として1500万を使えて、プロのスタッフたちに助けてもらえる、こんな恵まれてるプロジェクトがあること自体にびっくりだし、そこで選ばれたのが嬉しかったです。

大江 海監督(以下、大江):ファイナリストに選ばれた時は、正直選ばれると思ってなくて。というのは、僕は(ファイナリスト選考会のプレゼンの順番が)トップバッターだったんですよ。大体M-1だとトップバッターは最後まで残らないじゃないですか。

一同:(笑)

大江:それもプレゼンの時にチラッと言ったら、ちょっとウケたんで、そこからリラックスしてプレゼンができました。でも、500以上ある企画の中から、この5組が選ばれて、そのなかのひとりとなったことは純粋に嬉しかったです。僕の企画はちょうど仕事が全然なくて、「やばいな」と思っていた時に、マイナスの感情から出したものです。それがいろんな人に届いたことがまず嬉しかったですね。さらに、それを映像化するとなったので、頑張らなきゃと思いました。普段のCM制作の仕事とはまた違う、完全に自分に責任があって、かつ完全に自分のオリジナルができるという、プレッシャーと喜びが両方ありましたが、そういうのを感じながら、でも純粋に楽しみながら、面白がりながら作った感覚はあります。

――それぞれの作品の見どころを教えてください。

ゆうほ:『ヒロインの親友はハードスケジュール!!』は、感動するわけでなければ、人の心を動かす作品というわけでもないのですが、そのなかで、いろんな登場人物が出てきて、テンポも早く、あとはあるあるネタも盛り込んでいます。一旦、お風呂とかで見てもらえたら、ちょうどいいかなと思います。

一同:(笑)

瀬名:完成した『はじめてのよあそび』を見たときに、思った以上に青春感が溢れる話になっていて。普通に自分も「羨ましいな」「こういうものに憧れるな」と思える作品ができました。実際の友情って、あんまりうまくいかないことも多いですけど、作品のなかではすごくきれいな友情を描くことができました。あとは主演の小野(莉奈)さんの表情が本当にすばらしくて、表情のヨリの画を見ると、こちらが元気になるというか。表情が素敵すぎてヨリのシーンが増えてしまうくらいでした。

カワイ:『そこに光があるなら』は題材が中学生とコロナ禍ということで、制限された中での日常生活や学校での生活を描いています。なかには悔しかったり悲しかったりすることもあると思うんですけど、ただそれを映したいんじゃなくて、中学生のたくましさというか、自分たちなりに奪われてしまった青春を取り返しに行動する姿をとらえることを意識しました。それはすごく純粋だし、可愛らしい姿だなと思うので、そこが見てほしいポイントです。

 中林:『姉にヒュッゲを教えたい』は、特に大きな事件とかもなく、日常を切り取った話を、「ヒュッゲ」という世界観に落とし込んだつもりなので、そこを楽しんでもらえたらなと思います。

 大江:『宇宙人ともだち』の見どころとしては、ちょっと変で特殊なおじさんの2人の、ちょっと不器用なやりとりやチャーミングなかけ合いを楽しんでもらえたらいいなと思っています。あと、装飾を担当してくださったスタッフがガジェット好きな方で。たまたまそういう方がスタッフィングされたので、私物とかも持ち込んできて準備を進めてくれました。劇中に登場している美術の半分くらいはそのスタッフの私物みたいな感じです。それがちょうど良くて、美術とかにもすごく力を入れたので、画的なところも見て楽しんでもらえればいいかなと思っています。

 ――てつお監督は、ファイナリスト選考会のプレゼンで見たことのないものを作りたいと話されていましたが、実際に作られてみてどうでしたか?

てつお:正直、もっとやりたかったです。いろいろ詰め込みたかったところはあります。

ゆうほ:ただ、周りのスタッフの方には、「普通だったらこういうのは作らないけど、君たちがいいならそれでいいんじゃない」と言われる場面が多くて。ほとんどの結論がそれにいたっていたので、そういう意味で「見たことないもの」には仕上がっていると思います。

――たしかに、物語が進むにつれて、どんどん展開が読めなくなっていきますよね。

ゆうほ:実は最後のパートをぶった切ったんですよね。本当はもっと続きがあったんですけど、やめようってなって編集で全部切っちゃいました。

――そうなんですね、それがどんな結末だったのかも気になりますね。瀬名監督は、制作中に印象的なエピソードはありますか?

瀬名:小野さんが、主人公の沙都子にすごく思い入れを持ってくださって。演じるうえで共感できる部分もあったみたいで、「今のタイミングで沙都子の役をやれて良かった」とおっしゃってくれました。なかでも、一番嬉しかったのは、この役を「人生のターニングポイントになる役」と言ってくださったことです。まさかそんなことを言ってくれるとは思いもしませんでした。

これは小野さんに限らずなんですけど、自分が(監督や脚本として)一番登場人物たちのことを考えてきたなかで、出演者のみなさんもそこへの思いを一緒に持ってくれていることを感じる場面が多かったです。たとえば、茉莉愛役の東原(優希)さんは、役名の漢字が一発で変換できないので、私が「茉莉愛」と台本に打つときは一回入れて消して…というふうに打っているという話をした時に、「ありがとうございます」と言ってくれたんです。その言葉は、茉莉愛をちゃんと愛してないと言えないというか、自分の役だっていう意識を強く持ってくれているんだと感じて、感動しました。

――冒頭のシーンに引き込まれましたが、あのアイデアはどう生まれたんですか?

瀬名:はじめは別撮りで海を眺めるだけの沙都子の横からの姿と後ろ姿を撮って、その後ろ姿の上にタイトルが入る予定でした。ただ、あまりにも海で遊ぶ4人のシーンがよかったので、撮影の1週間くらい前にもっとしっかり撮ることにしました。撮影可能な時間が短かったので一発本番みたいな感じで撮ったのですが、すごくいい画が撮れたので、撮影中に感動して泣いてしまって。ぜひこれはたくさん使いたいなと思い、オープニングで使うことになりました。

――全体のルックについては撮影監督やカラリストの方に注文したんですか?

そうですね。カメラマンの方が、「自分の機材を持ってきて機材費を浮かすから、このスタジオでカラーグレーディングして」と言ってくれて、専門のスタジオで作業しました。色味はすごく気をつけていて、特に飲み会のシーンは、背景が真っ白で、壁際に座っている沙都子がすごく地味になってしまうところをうっすらオレンジ色を入れています。グレーディングの時に、撮影でうまくいかなかったところをカバーして、逆にいいところはより活かせるよう意識をしたので、気づいてもらえて嬉しいです。

――カワイ監督の『そこに光があるなら』は、現役の中学生ではない立場から見ても普遍的に響くものがありましたが、映画の中にリアリティを出すために意識されたこととかはありますか?

カワイ:脚本の時点ですごく会話を大事にしていて、普通だったら取り上げないような会話劇とかを入れたいなと思っていたので、そこは自分のなかで大切にしたところです。

――友人同士のたわいない話や、ふざけあっている男子生徒のやりとりなど、ささいな学校生活を描写したシーンが印象的でしたが、普段からそういう場面を創作に使おうと考えて過ごしていらっしゃるのですか?

カワイ:そうですね。日常のなかで、今の話は面白かったなと思う瞬間はよくあります。お店の中でも隣の人が話している会話の内容につい耳を傾けてしまうことがあります。

――脚本を映像化する過程では、理想と現実での折り合いを付けなければいけないところがあったと思いますが、そのあたりはどういうふうに決断をしていったのですか?

カワイ:一番は、舞台となる季節の変更があったので、そこは大きかったです。自分のなかで、夏のイメージで脚本を作っていたので、季節を冬に変えるという決断にいたるまでもがくこともあれば、悔しさを感じることも正直ありました。でも、冬の撮影に合わせて脚本を書き変えて、実際に映像にしてからは、時間の流れもうまく描けたかなと思うし、よりいいものを作ることができました。

――中林監督は、なぜ「ヒュッゲ」を作品のテーマにしたのですか?

中林:「ヒュッゲ」というワード自体は、ネットか本屋さんで、見つけた言葉でした。ただ、それとは別に、どういう作品にしたいかなと考えていたときに、一つの同じ集団にいる姉妹や家族の日常を描いた作品を作りたいという気持ちがあり、それが「ヒュッゲ」という言葉と結びつきました。よくよく「ヒュッゲ」という言葉を調べていくと、自分がやりたいと思っていた姉妹のテーマに近いなと思って、最終的にこの企画が出来上がったという感じです。

――普段、映像制作のお仕事をされているなかで、はじめて監督をやってみてどんなことを感じましたか?

中林:もともと仕事を始めたときは、監督志望というよりは、脚本を一緒に揉んでいくプロデューサーになりたいと思っていました。今回のプロジェクトが脚本だけではなく、監督もできるということで、はじめて監督として映像を作ることになりました。ただ、やってみたら、演出部の方や役者さん達と世界観や物語を決めていく過程が、めちゃくちゃ楽しくて、急に監督志望になりました。

一同:(笑)

――『姉にヒュッゲを教えたい』を見ていると、ロケーションへのこだわりも感じましたが、どういう形で決めていったんですか?

中林:映像って目で見て感じるものなので、そこが一番すごい大事だなと思っています。ロケ先は、制作部の人に何度も候補を出し直してもらって探しました。自分が制作部をやったこともあるので、その大変さをわかりつつも、「ごめんなさい、もう一回、もうちょっとこういう感じのところをどうにか探してほしいんです」というのを伝えて、納得いくまで、ごめんなさいって言いながらやってました。舞台は群馬ですが、都内で撮影をしなければならなかったので、絶妙な「群馬っぽさ」を出せる場所を探して撮りました。制作部の方には、難しいところを本当に何度も探してもらってありがとうございますという気持ちです。

――『宇宙人ともだち』は宇宙・宇宙人まわりの設定が細かかったですが、そのあたりはどう詰めていったのですが?

大江:宇宙人の設定は完全に僕の空想です。ただ、アナログ無線の情報や、実際に宇宙人を探していた人のドキュメンタリーを見たりはしていました。そこから、機器のインスピレーションを受けた部分や参考にした部分もあります。ただ、物語自体が(主人公が)自分のオリジナルで作った機器で宇宙人に向けて発信しているという設定なので、この世にある物というよりは、自分で作ったという意味でも全部架空で設定しました。

あとは美術が肝になるだろうなと思ったので、美術のスタッフにも事前に部屋の作りや装置はあらかじめ共有しておきたいと思い、参考にしている人の美術の写真、イメージ写真とかを事前に見せて、進めていきましたね。

――そもそもどういう風に、宇宙とおじさんの話にしようかなと決めていたのですか?

大江:さっきも言ったんですけど、僕自身企画参加時にあまり仕事がなくて、「誰からも必要とされてないのかな」と落ち込んでいたんです。ただ、自分のこの姿をストレートに表現するのは、個人的に嫌だなと思ったので、誰からも必要とされてなかったり、ちょっと孤独だったりする人を描く時に、たまたま宇宙人を探しているおじさん同士が出会ってお互いを補完し合って前に進んでいく話が浮かんで、それを脚本にしました。

――コミカルさを演出するのはなかなか難しいことなのかなと思うんですけど、そのあたりはどのように引き出していったのですか?

大江:僕から細かく細かく演出するというよりは、一回やっていただいたのを見て、そこから思ったことを伝えて作っていくみたいな感じでしたね。もちろんキャストの方がベテランの方だったというのもあります。なので、事前にキャラクターの打ち合わせをして、あとはもう現場で細かいところを詰めていくという流れでした。おおまかなことを事前に話せたのが良かったのかなと思います。現場ではセリフの間や言い方などを調整しました。

――最後に、普段CMのディレクターとしてお仕事をされているのに対して、今回オリジナルで尺も長い映像作品を作られてみてどのような部分が違いましたか?

大江:やっぱり考え方とかはまったく異なりましたね。短いものを構築することはこれまでやってきたので、それが40分の尺になった時に、どう飽きさせないように話を展開するかが難しかったです。普段、映画が好きでよく見ていますが、実際にやってみて、物語を作るための想像力が全体的に足りてないなと気がつきました。

あとはもうちょっと自分をさらけ出さないといけないなと思いました。CMや広告とは違う部分で、自分が何を感じて何を伝えたいのかさらけ出すことが必要で、それを出し切れなかったなって思ったので、そこが今回やってみての反省ですね。

――ありがとうございました。

■授賞式レポート

授賞式には、審査員である映画監督の今泉力哉さん(審査員長)、超歌手の大森靖子さん、俳優の藤原季節さん、漫画家の米代 恭さんらが登壇。まずは各ファイナリストとトークセッションを行なった。

最初に登壇したのは、『姉にヒュッゲを教えたい』の中林佳苗監督。姉・ももを演じた山崎紘菜さんからは「私のちょっとした疑問だったりとかこうしたらどうかっていう提案にすごく真摯に受け止めてアドバイスをくださって本当に頼もしかったです」というビデオメッセージが寄せられた。

「(メインキャストふたりからのビデオメッセージのなかで)おふたりとも、もう一度一緒にお仕事をしたいと言っていたと思うんですけど、もう一度なんて言われるっていうのは監督にとってはめちゃくちゃ嬉しいことだし、自分自身もそんなことを思ってもらえているかなと毎回思いながら監督しているので、中林監督の作品がすごくいい現場だったんだなというのが読み解けました」と今泉監督。

この作品を気に入っているという藤原さんは、細やかな瞬間の役者の表情の変化に目を引かれたという。微妙な感情の変化が収められた作品に膨らみや広がりを感じたそう。

続いて登壇したのは、大江 海監督。5作品のなかで一番脚本通りに綺麗に作られ、見やすい印象を受けたという大森さんから「俳優さんが自分の作ってきたものを超える瞬間に、続きを変えたくなることはあるのか?」と聞かれ、「まずはこの脚本通りにしっかり作ってどうなるかを今の自分のレベルでやってみたかった」と回答。ただ、なかにはカットをかけるのも忘れ、長く回してしまったシーンもあったそう。

作品に対し米代さんは、「おじさんが魅力的な作品。開始1分でもうこの人が変な人だなとおじさんのキャラクターがすごく分かっていいなと思った」とコメント。自分自身、何かに熱中するタイプではないと語る大江監督は、そういった人への憧れや敬意があり、今回の作品で自分なりにキャラクターを描いていったという。

ファイナリスト3組目は、クランクアップ時16歳とファイナリストのなかで最年少ながら、するどい観察眼とそれを脚本に落とし込むたしかな構成力で、ファイナリスト選考を一位通過したカワイ・ヒバリ監督。今回の撮影について、「同世代のキャストの皆さんとご一緒してたくさん刺激を受けながら撮影をできたので、本当にいいものができたなと思います」と振り返った。

プレゼン審査の段階から、脚本で描かれる季節が撮影時期とは真逆の夏であることを気にかけていた今泉監督は、等身大だからこそ描ける学生の姿や気丈にふるまう主人公の繊細な描き方を感心しつつも、音楽の使い方や作品の後半の時間の流れについてアドバイス。

コロナ禍を描くことで全編がしんみりとしたトーンになってしまうことを避けたかったというカワイ監督は、「コロナでこんなことがあったよ、ということを伝えたいだけじゃなくて学生のたくましさも見てほしい」と呼びかけ、また脚本を書いたり監督として映像を作りたいと今後の抱負を語った。

続いて登壇したのは瀬名 亮監督。制作された『はじめてのよあそび』を見た米代さんは作品内でのあだ名の扱われ方に注目。独自の視点にハッとさせられたそう。

自意識や劣等感が強い人間だと自己分析する瀬名監督は、それ自体が自分の持ち味であるとし、今後も創作活動のなかで活かしていきたいと語った。

最後に登壇したのは、てつおとゆうほ監督。映像制作未経験で、撮影の現場では圧倒されることが多かったというふたりだったが、HU35初となるコンビファイナリストということもあり、互いに協力し合い、作品の完成までこぎつけた。

主演の田鍋梨々花さんから寄せられたビデオメッセージでは、双方がチワワを飼っているという共通点を糸口に徐々に距離を詰め、コミュニケーションを取っていったというエピソードも披露された。

ふたりが制作した『ヒロインの親友はハードスケジュール‼』を家族で鑑賞したという今泉監督は、5組のなかでひときわ異彩を放つこの作品について、「このようなコンペティションのなかで、選ばれづらい作品」としながらも、それでも審査の過程で映像にした状態を見たいと思わせるような魅力があったと述べた。

さらに、作品のなかで撮るべき笑いを撮れていることや、本当にこだわらないと撮れない画が撮れていることに言及し、最後は「うちの子供が俺の映画は二回も見てくれないのに、この作品はもう一回見たいって言っていた。二回見たいって最高ですよ」と締めくくり、会場は笑いにつつまれた。

トークセッションが終わるといよいよグランプリの発表に。審査員による最終審査によって応募総数586企画のなか、グランプリに選ばれたのは瀬名 亮監督の『はじめてのよあそび』。瀬名監督には賞金とHuluオリジナル新作の監督権が贈られた。さらに、Hulu 会員の投票によるオーディエンス・アワードには中林佳苗監督の『姉にヒュッゲを教えたい』が選ばれた。

映像化された5作品は、制作過程に密着したドキュメンタリー6本とともに現在Huluで独占配信されている。

 

◎各作品の詳細
https://hu35.jp/2022/

 

■Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ 概要

◆名称:第2回「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」(通称:HU(エイチユー)35)
◆スケジュール
・ファイナリストによる作品制作準備・制作期間:2022年10月~2023年4月
・ファイナリスト作品配信:2023年4月12日(水)0時より配信開始、現在Huluにて独占配信中
・最終審査会&授賞式:2023年4月27日(木)
◆Hulu配信ページ:https://www.hulu.jp/hulu-u35-creators-challenge-2nd
◆公式HP:https://HU35.jp/
◆公式Twitter:https://twitter.com/U35_hulu
◆主催・企画・製作:HJホールディングス株式会社
◆制作・運営:東京テアトル株式会社
◆コピーライト:©︎2022 HJ Holdings, Inc.

■『Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ』とは?

Huluによる、新世代“映像クリエイター”発掘&育成プロジェクト「Hulu U35クリエイターズ・チャレンジ」。

参加資格は、35歳以下であること。選考を勝ち抜いたファイナリスト5名は映像制作のプロによるサポートと、1500万円の制作費支援のもと、自身の企画の監督・脚本を務め、映像化する機会を与えられる。ファイナリストによる5作品は、完成後、Huluで独占配信。その中から各界の第一線で活躍する審査員たちにより、グランプリ作品を選出。グランプリ受賞者には賞金100万円が贈られ、副賞として、Hulu全面バックアップのもと、Huluオリジナルの新作を監督・配信することができる。「誰かに作品を届けたい」と思う気持ちと、飽きさせないアイディアがあれば、誰もが夢を叶える扉を開くことができるプロジェクト。

■Huluとは

https://www.hulu.jp/

Huluは映画・ドラマ・アニメ・バラエティなどを楽しめるオンライン動画配信サービス。月額定額料金でいつでも、どこでも、10万本以上の作品が見放題。日本初上陸の海外ドラマを配信する「Huluプレミア」や、独自で製作する「Huluオリジナル」を筆頭に、テレビで放送中の人気番組の見逃し配信や、音楽ライブの配信などラインナップも幅広くHuluでしか観られないコンテンツも豊富に取り揃えている。また、ライブ配信も充実。日米英のニュース、スポーツチャンネルなどを楽しむことができる。さらに都度課金制のHuluストアでは劇場公開から間もない最新映画や海外ドラマの最新シーズンに加え、人気の舞台や音楽イベントなどのライブ配信も提供。月額料金を支払う事なくどなたでもレンタル/購入可能。HuluもHuluストアもインターネットに接続したテレビ、パソコン、スマートフォン、タブレットなどで視聴可能。
Huluは月額1,026円(税込)。ただし、iTunes Store決済の場合には1,050円(税込)となる。

 

 

vsw