野鳥撮影ならではの工夫が盛りだくさん 野鳥映像作家の自作機材


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 4月のとある日、野鳥映像作家の村崎譓一(けいいち)さんが自作の野鳥撮影機材を携えて、編集部に遊びに来てくれた。村崎さんが野鳥撮影をはじめたのは2005年。玩具デザイナーを経てCGベンチャー企業を設立。毎日コンピューターと向き合う“デジタル漬け”の生活の中で、自然の中に身を置くような趣味を探し求め、ここにたどり着いたという。そこからは毎週のようにフィールドに通うようになり、ついには会社の運営を若手に譲って一線を退き、現在は野鳥撮影に専念するというのめり込みよう。NHKの『ダーウィンが来た』や小学館の図鑑シリーズ『NEO 鳥』のDVDに野鳥映像をはじめ、TVCMや企業プロモーションビデオに素材を提供する他、自ら映像プロデュースしたブルーレイディスクソフト『野鳥浴』もリリースしている。
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 村崎さんの野鳥撮影機材。カメラはソニーAX30、コーワのアダプターTSN-VA3を介して、スコープ(TSN-774)を装着し、コリメート撮影している。三脚ヘッドはザハトラーFSB6を水平がとりやすいようにボールカメラレベラー 438を挟んでマンフロットの三脚に取り付けている。
 野鳥撮影は基本的に超望遠の世界で、カメラを上に向けたままにしておくことが多く、しかも撮影チャンスがいつ訪れるのかわからない。すぐ撮影が開始できるように電源は常にオンにしてスタンバイしておく。そんな特殊な撮影条件も多く、通常の映像機材でも、機能や使い勝手の面で「そのままで使える」というものがなかなかないのが実情だという。そんななかで創意工夫して機材を改造したり、ないものは自作するのが村崎さんのスタイルだ。

望遠撮影でも野鳥を見つけやすくする
ターゲットミニスコープ

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 通常の撮影では双眼鏡等で野鳥を探し出し、野鳥付近の特徴的な枝等の形状を記憶する。その方向に倍率の高いデジスコを向けて撮影するわけだが、双眼鏡を外すと野鳥がどこにいたのかわからなくなってしまうことも多々あるという。そこで考えたのが、このターゲットスコープ。
 内部に十字の表示のある単眼鏡をビデオカメラに取り付けてあり、十字を被写体に合わせるとデジスコの画角収まるように調整されている。ビデオカメラへの取り付けはメーカー保証が受けられるように強力な両面テープで貼り付けている。

ジャンクレンズを組み合わせて自作したビューファインダー

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 中古カメラで買ったジャンク品のレンズを利用して自作したビューファインダー。ビデオカメラの液晶モニターに取り付けて、約3倍率で映像を確認できる。先ほどのターゲットミニスコープを右目で、左目でこのビューファインダーを同時に覗いて撮影をすることで、スピーディーに野鳥を捉え、正確にピントを合わせられるようになったという。
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 ファインダーののぞき部分はレンズの絞りを利用し、目を離している時は絞りが閉じて、のぞいたときに開くという仕組みになっている。
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 以前使用していたビデオカメラ。市販のビューファインダーを液晶モニターに装着していたところ、ファインダーののぞき部分から入った太陽光の影響で液晶や周辺フレームが焼き付いてしまうという事故があった。これを防ぐために上のような仕組みを導入したという。
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ビューファインダー装着時もカメラのメニュー操作ができるように側面はゴムになっている。

雨傘と布を利用したイージーブラインド

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野鳥の警戒心を解くためのカモフラージュとして迷彩柄のテント等が市販されている。しかし、一度テントを張ってしまうと機動性が失われてしまうという欠点がある。そこで考えたのがこの方式。折りたたみ傘を差すための台座を三脚に設け、そこに迷彩の布をひもでくくりつける。この方法ならば雨が降っても機材を守れるし、あちこちに移動して撮影できる機動性も保てる。
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そのまま三脚を持って移動することもできる。

より繊細なフォーカス操作をするために

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野鳥撮影でのフォーカス合わせは4Kになってなおさらシビアになった。デジスコ本体にも2段階でフォーカスの送り幅を変えられるダイヤルがついているが、その調整幅をさらに細かくするための自作品。そのダイヤルの歯車状のくぼみを利用して、歯車状の滑車とゴムなどホームセンターで買った材料を組み合わせて作った。

自転車のブレーキ機構を利用してチルトのロック解除

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 三脚のパン棒にはカメラ操作用のリモコンに加えて、人差し指で引っ張れるトリガーのようなものが設置されている。その線の先を辿っていくと、チルトのロックにつながっている。野鳥が画角から外れるなどした際に即座に画角を調整できるようにこうした仕組みを取り入れている。
 村崎さんの自作機材の多くは、東急ハンズや家電量販店などで簡単に手に入る素材を使って作られている。カメラ本体はメーカー保証を受けられるように改造を施さずに、作るというのが村崎さんのモットーだという。撮影の時に感じた不便や、「こうだったらいいのに」というアイデアをもとに機材を改造、自作し、それを持ってまたフィールドへ出かけ、使い勝手を確認。何か問題点があればさらに手を加えて、使い勝手がよくなるように改良していく。野鳥撮影はもちろん、こうした自作機材づくりも村崎さんのビデオライフの愉しみの一つになっている。

●村崎さんが撮影した映像はアマナイメージズで購入できる。サンプルの視聴も可能。
http://amanaimages.com/motion/result.aspx?Page=Search&ImageType=&BrandID=&KeyWord=15094&ImageId=&Category=&ftrid=&Pick=1