斎賀教授のアフターファイブ研究室〜Peak Designエブリデイバックパック


Peak Designエブリデイバックパック

Report◎斎賀和彦

カメラバッグ選びは難しい。機材の大きさによっても変わるし、レンズの数によっても変わる。それに加え、使いやすさと言った要件から色や質感の好みまで言い出すと、正解はカメラマンの数だけあるといった無難な答になってしまう。その一方、玄人好みの流行もあって、数年前には現場に行くとシンクタンクフォトのショルダーが並んでいて、誰のものか分からなくなったこともありましたね。

そしてこの春、ブレイク必至と(個人的に)感じているのが今回試しているピークデザインのバックパックです。

▲カラーはチャコールとアッシュの2種類、サイズは30Lと20Lの2種類。これはチャコールの30Lタイプ。

▲こちらはアッシュの20Lタイプ。

ピークデザイン(Peak Design)は斬新かつ実用的なカメラアクセサリーで話題になった新興メーカー。カメラの周辺機器が拡大してカメラバッグも、というのは自然な流れですが、わたしが試したいと思ったのは、同社最初の製品の開発動機で創業者が言った「スキーをしながら写真を撮りたいと思った時、止まり、ストックを地面に刺し、バックパックのストラップをはずし、降ろし、カメラを取り出す。撮り終わったらその逆…」(日本の代理店ある銀一のWEBより引用)。その不満の核ともいえるバックパックをピークデザインがどう「リデザイン」したのかに興味があったから。

結論から先に書いておくと、バックパックでありながら、バックパックのネガを徹底的に潰した機能性のカタマリ、でした。

▲細かいところへのこだわりが溢れている。

実はわたし、バックパックが苦手なのです。

カメラ機材は重くなりやすいので運搬時に荷重をバランスできるリュック型はとてもいいのですが、カメラを出すために降ろす必要があるし、基本、メイン開口部がひとつなので機材へのアクセスもスムーズとは言い難い、ちょっと動かしたり棚に上げるときに把手がない(ものが多い)など、長距離歩く時に最適な分、現場で使いにくい…と思っていました。

だからカメラバッグは妻に邪魔だと怒られるほど持っているのですが、バックパックはひとつも持っていません。

バックパックのネガなところを書きましたが、この製品はエブリデイバックパックと名付けられているだけに、日々日常でバックパックを使うための大きな機能、小さな工夫がぎっしりです。

その筆頭が大きく開く側面。

エブリデイバックパックの開口部はリュックサックのように上面ですが、側面もジッパーで丸々大きく開きます。そのため、バックパックを降ろさなくても片方のハーネスベルトから手を抜き、身体の前に持ってくるだけでバッグを抱えたままカメラの出し入れが可能です。もちろん、その機構自体はスリングバッグというジャンルがすでにあるわけですが、この製品はそのために肩ベルトの付け根が回転する構造になっていて、しっかり背負うリュック型と滑らせて位置を変えるスリング型のメリットの両立に成功しています。

▲チャコールの30Lタイプ。サイドから機材にアクセスできる。

そして左右両側面が開くため、事実上3方向から中にアクセスできるバッグになっているのです。その3方向すべてに把手になるハンドルがあるのも特徴で、棚やクルマへの積み降ろし、ちょっとした移動にとても便利にできています。

その3方向からアクセス可能な内部構造は基本が大きな1気室で、それがFlexFoldディバイダーという仕切りで分けられています。この仕切りが秀逸で折り曲げることで気室を増やしたり機材の格納を助けたりと自在に動きます。前述の両側面が開くこととあわせて様々な使い方ができそうです。

仕切れるメイン気室の柔軟さはもちろん、15インチのノートPCが入るスロット、側面開口部に設けられた多くのポケットなど(ポケットのいくつかは磁石が組み込まれていて半自動でぴったりと閉じます)、ひじょうに細やかなギミックがそこかしこに仕込まれていて感心します。

▲アッシュの20Lタイプ。

▲左が30Lタイプ、20Lタイプ。

そして機能優先の製品はどこかダサくなりがちなのですが、全体のプロポーション、素材の質感、カラーリングが実にセンス良くまとまっているのも特徴。うちの娘(中学)が珍しく褒めて欲しいというカメラバッグです。娘に言わせると、カメラバッグはみんな黒くてダサくてヲタクっぽいのだそうで(ひどいな)、そう言われると機能と使いやすさのみ追求されてきたカメラバッグに新しい潮流が現れた、とも言えそうです。

すでにレポート後に買う気になっていますが(この連載、結局ぜんぶ買ってる気がして危険です)、問題はどっちを買うか、というところ。エブリデイバックパックは20Lと30Lの2モデル(それぞれ2カラー)があり、ミラーレスや普通の一眼は20L、縦位置グリップ等の大型一眼は30Lが向いている印象でしょうか。EOS-1D X Mark IIをメインにしているわたしは30Lがいいのでしょうが、都内で地下鉄や山手線車内の場合、30Lはちょっと圧迫感あるかなあ。

カラーは娘に言わせると断然グレー(アッシュ)だそうです。

Peak Design製品の購入は銀一のオンラインショップから