魁!! ビデオ道場 2017年6月号


「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者にはその栄誉をたたえて金2万円を贈らせていただきます。大賞・入賞および掲載作品にはそれぞれポイントがつき、累計ポイントによって当ビデオ道場における段位が認定されます(最高位:師範代)。
今回は2017年6月号掲載の作品を紹介します。解説とともに動画をご覧ください。<解説:岡野 肇>

 

<大賞>

セルフドキュメント
『旧御嶽山登山道探索』8分
古橋三久さん(愛知県名古屋市)

●作品紹介●御嶽山には1日で登頂できる現在の登山道があるが、以前に使われていた旧御嶽山登山道を発掘していく調査に同行。そのシンボル「4合目石碑」を求めて今や道なき道となった林道を進む。ドローンやアクションカメラの画像も効果的に取り入れた作者の意欲作。

◆講評◆
ドキュメンタリーの本質はノンフィクションであることとともに、視聴者が綴られる生のストーリーに沿って体感できることだと思います。その目的と狙いを達成するために、作者は疑問を抱かせない親切なナレーションの運びとカメラワークを方法論として選んでいます。しかもその手段に囚われすぎず、きちんとバランスをとったところが素晴らしい。道なき道なのにカメラが先行して調査隊を待ち受ける少し過剰な演出も見られますが、そこは作品に入っていきやすい作者の心遣いと解釈しましょう。ただ、ドキュメンタリーの描く世界に見る側が入り込めるか否かの絶妙な舵取りは必要です。とは言え、ワクワクさせてくれ、探検に参加したつもりになれる冒険ドキュメントとして楽しく見させていただきました。


<入賞>
ネイチャービデオ
『雪のバードサンクチュアリ』3分
林 幸司さん(岐阜県揖斐郡)

●作品紹介●
季節は冬。里山に雪が降りしきり木々は雪景色。ときおり枝に積もった雪も落ちていく。そんな季節の鳥たちの営みをイメージビデオ風に見せてくれる作品。雪と野鳥たちのコントラストが美しい。

◆講評◆
「雪」と「鳥」という2つの視点を設けたことで作品が立体的になりました。このジャンルの作品は、きちんと鳥たちの姿が撮れているだけでも楽しめますが、季節の風情を織り交ぜて見られることで見る側の想像が膨らみます。鳥たちの様子も小枝で休む姿から巣作り、餌やり、魚の捕獲とバリエーションも豊富で、次のカットへの期待も膨らむ好循環が形成されています。


歴史アニメ
『飛び砂から立ち上がった村人たち(前・後編)』各7分58秒
本 瑞昭さん(石川県小松市)

●小松市に伝わる民話の紙芝居制作プロジェクトを作品化。◆紙芝居から絵をスキャンして編集し上映できる形にすることで公開の幅が広がりますね。絵には元の構図がありトリミングも気を遣いますが、切り取る以外のもう一工夫を。

海外紀行

『ヨーロッパの屋根』7分35秒
稲垣育宏さん(東京都大田区)


●登山電車で登るアルプスの旅。◆旅の行程を誠実に描かれていて、この旅への作者の期待と納得感が伝わります。タイトルにもそれは現れていますね。感想を混じえてのナレーションも丁寧で、高揚した気持ちが伝わってきます。

イベントビデオ
『たらい乗り競争』7分57秒
吉見秀雄さん(神奈川県南足柄市)

●松川タライ乗り競走を撮影。◆効果音と作者の実況風ナレーション、そして観客等のインサートを挟みながらタライ乗り競走をひたすら見ていくスタイルが逆に面白い。ある意味独善的な構成ですがここまで徹していればそれもありですね。


創作ビデオ
『スマホDE名刺』3分1秒
藤村正夫さん(埼玉県八潮市)

●携帯からスマホへの乗り換えを機に動画名刺を作成。◆発想の過程でメイキングから名刺本編に移行するわけですが、名刺は静止画、動画は時間軸があるので苦心しどころですね。構成は面白いので名刺本編にもう一案、チャレンジを!


地域ドキュメント
『田名八幡宮 的祭』6分45秒
加藤利雄さん(東京都八王子市)

●鎌倉時代から続く「的祭(まとまち)」を紹介。◆アバンタイトルもテンポが小気味よいですね。狭い会場、短い行事ですが、構図のセンスの良いインサートも含めてコンパクトにまとめられた構成も印象に残りました。


ビデオ紀行
『江ノ島散策』7分52秒
関口 豊さん(埼玉県狭山市)

●湘南の江ノ島をじっくり巡る旅。◆外景は見慣れているものの、島の中はどうなっているのという江ノ島。疑問に答えるお得意の行き届いた解説は作者の真骨頂。つかみの懸垂式モノレールから面白く見させていただきました。

海外ビデオ
『懐かしき英国の旅』7分51秒
山口 尭さん(埼玉県熊谷市)

●ニュース報道で思い立ち、以前訪ねた英国素材を作品に。◆視点やテーマを変えての再編集、良いですね。前には気づかなかったこと、今だから言えることもあると思うからです。ただしBGM等、再編集時のミキシングについては再考を。

イメージビデオ
『親緑33 休日』6分20秒
金谷 功さん(京都府京都市)

●今回のテーマは「休日」。◆アメンボをまるでストーリーテラーのように使い、淡い色のトーンが揃っているのも良いですね。短文を上手く使ってらっしゃるのですが、今回は少し量が気になりました。良い案配を探ってください。


ネイチャービデオ
『吾妻峡滔々』3分
玉置信隆さん(群馬県高崎市)

●群馬県吾妻峡を水の流れをテーマに据えて作品に。◆テロップを読むことと映像を見て感じることは同時にはできづらい面もあります。解説テロップがいいのかナレーションがいいのか、今一度考えてみていただけたらと思います。