CP+の初日、マンフロットは記者発表を行い、同社が所属するヴァイテックグループ(本社は英国)が昨年9月にLoweproおよびJOBYを買収。マンフロット株式会社は2018年4月1日に「ヴァイテックイメージング株式会社」に社名変更することを発表した。

映像業界に人たちにとっては、マンフロット、ジッツオ、ザハトラー、ヴィンテンが同じヴァイテックグループに属していることは、知られた話だろう。マンフロットのみは、マンフロット株式会社が扱っていたが、ザハトラーとヴィンテンは、ヴァイテックビデオコムという会社の販売で、InterBEEなどでも、同じブースに展示されていた。社名はことなるが同グループということで、マンフロットとヴァイテックビデオコムは日本では同じビルに入っている。

ヴァイテックとははホールディングカンパニーの位置付けで、グループ全体としては、総売上が548億円、グループ営業利益が約65億円、従業員は1700名で、世界の拠点は10カ国となっている。

グループでの役割分担は以下のとおり。実はマンフロット、ザハトラー、ヴィンテンというブランドだけではなく、ヴァイテックビデオコムでは、放送局、スタジオ、映画関連のメーカーを買収しており、現在ではアントンバウアー、オコーナーなども映画・送業業界の老舗メーカーも傘下に入っている。

また、SmallHDやWooden Cameraもすでにグループに加わっており、今回LoweproとJOBYが加わることで、社名をマンフロットから、ヴァイテックイメージングに変更することになった。もちろんマンフロットブランドがなくなるわけではなく、ブランドのひとつということになる。

 

その背景には急激な市場の変化がある。従来の写真業界、放送業界に限定していると、市場はどんどんシュリンクしてしまう。そこで2012年くらいから戦略的な買収を繰り返すことにより、有機的な成長を図ってきた。2016年までに約90億円の投資をし、20%を回収している。実際に写真用品の市場は落ち込んでいるが、ヴァイテックグループとしては成長を続けている。

シニアディレクターのティム・グリマー氏は、下のような図で説明している。横軸にジェネラリストとスペシャリストを配置、縦軸に対価を受け取って映像を作るのかどうかという軸。とすると、左上には放送局や映画など、従来のかたちのいわゆる「プロフェッショナル」が配置される。そして左下には「趣味層」。右下には、SNSで情報発信をするビデオブロガーなど、そして右上には、新しいかたちの「コンテンツクリエイター」が存在するとみる。ヴァイテックイメージングとしては、右半分はこれから急速に進化する、変化の速い市場であり、そこを意識していくという。

特に右上のコンテンツクリエイターは、YouTuberだけでも5000万人はいるわけで、ということは世界に5000万人はいるわけだ。そしてこの層は、写真からだけでなく、いろいろなジャンルから参入している。

その例として、ニューヨークのビデオブロガー、Casey Neisatat(ケイシー・ナイスタット)を紹介した。彼はもともとは映像制作者を目指していたが、YouTubeでビデオブログ(VLOG)を始め、気になる機材を紹介することで、人気になり、YouTuberとして大成功している。彼のVLOGに影響を受けたクリエイターは世界に多い。

その彼が多用しているのが、JOBYのゴリラポッドだった。JOBYの製品群としては、デジタル一眼やスマホ用のものが多く、主に動画用途で使われている。それらを継続して販売するとともに、新製品も投入していくという。

JOBYはそのコミュニティは受け継ぎながら、ヴァイテックグループに加わることでより革新的な製品開発に投資できるようになり、またブランディングも強化されることになる。

最後に挨拶にたったマンフロット株式会社の新井社長は、急速に進化し続ける市場に対応するために、コンシューマー向け市場でより魅力的なものを出し続け、デジタルイメージング用品市場での地位を一層強化の物にしていくことを目指すという。フォトとビデオの融合は進んでおり、特に北米ではビデオが圧倒的に優勢になっており、また、ドローンなど新たなデバイスも普及し、YouTubeをベースにした新世代のクリエイターが育ってきている。ヴァイテックイメージング株式会社では、そういったトレンドを見据えた商品展開、マーケティングにシフトしていく。

 

マンフロット株式会社https://www.manfrotto.jp