Adobeは13日、Premiere ProおよびAfter Effectsに新機能を搭載することを発表。Premiere Proには「文字起こしベースの編集」「自動トーンマッピング」が搭載され、After Effectsには「プロパティパネル」が実装される。このアップデートは5月に予定されている。

・Premiere Pro「文字起こしベースの編集」

以前、文字起こしからのテロップ作成機能が搭載されたが、そこからさらに進化。起こした文字から動画編集が可能になった。この「文字起こしベースの編集」は、まず映像を自動的に分析しテキストを生成。その文章をコピーし、任意の順番で張り付けるだけで、クリップを並べ替えることができる。またテキストを削除すれば、そのシーンも削除される。つまり、ワープロ編集の要領で、動画の編集が可能になるということだ。さらにテキスト検索で、特定のフレーズに言及したクリップを抜き出すこともできる。作業的になりがちな動画制作におけるラフカット編集を、効率化してくれる機能だ。

・Premiere Pro「自動トーンマッピング」

自動トーンマッピングは、異なるカメラの映像をミックスしても、カラーやコントラストの整合性を維持してくれる機能。異なるタイプのHDR映像を、同じSDRプロジェクトにいれても、一貫した色彩の映像を作ることができる。これらの機能によりLUTを使用したり、手動で映像バランスを調整する手間が不要になる。

・Premiere Proはさらに進化

同製品史上最速のバージョンで提供。その他にも、パフォーマンスの向上に加え、バックグラウンドでの自動保存や起動時のリセットオプション、プラグインエフェクトのマネージャーなど、新たな機能が追加。

AVCイントラやARRIRAW、RED RAW、Sony Venice 2カメラなどのプロフェッショナルフォーマットに対するGPUアクセラレーションによるビデオスコープ、トランジション、タイトルテンプレートの組み合わせにおいて、高速かつレスポンシブにし、タイムライン上で8K映像も扱えるようになる。

他にもRED V-Raptor X、ARRI Alexa 35、Sony Venice 2カメラのフォーマットサポートの強化、オランダ語、ノルウェー語、スウェーデン語、デンマーク語などが加わり合計16言語対応となった「音声のテキスト化」、デベイヤリングとトランジション効果のGPUアクセラレーション、よりシンプルなトラックターゲット、Adobe Media Encoderへの直接書き出しとレンダリングも追加。

 

・After Effects「プロパティパネル」追加

PhotoshopやIllustratorのようなプロパティパネルを搭載。アニメーション設定に簡単にアクセスできる便利なパネル。プロパティパネルは選択した内容に応じて、最も重要なコントロールが自動的に表示されるため、タイムラインを移動しながら設定を探す時間が省かれ、新規ユーザーにとっても使いやすくなった。

例えばシェイプのカラーを変える場合、タイムラインの深い階層に潜って変更しないといけなかったが、プロパティパネルで一発で変更できるなど、まさに痒い所に手に届く機能だ。

 

その他のアップデート点として、新しいACESとOpenColorIOのカラーマネジメントでは、他のポストプロダクションアプリケーションとアセットを共有する際にも一貫したカラーを維持し、より少ない時間と労力で予測可能かつフォトリアルな画像を作成できる。

さらにタイムラインのレイヤー選択の高速化やシェイプのマルチフレームレンダリングなど、パフォーマンスの最適化を実現。加えて、選択可能なトラックマット用の新しいキーボードショートカットも。

また、ワークフローの問題に対するアプリ内でのトラブルシューティング、システムパフォーマンスの最適化、プラグインの有効化と無効化のためのシンプルなインターフェイス、キャッシュや環境設定のボトルネックを修正する診断ツールなど、ソフト自体で問題の解決をサポートできるようになった。

 

・「Frame.io」を動画以外にも拡大

Frame.ioによるクラウドベースで一元化されたワークスペースで、写真画像やPDFのレビューをシームレスに共同作業可能に。富士フイルムX-H2、X-H2SにCamera to Cloud機能が新しくネイティブ対応。コンテンツのキャプチャ、編集、レビュー、承認ワークフローのエンドツーエンドの一元化により、写真の即時共有とクラウドコラボレーションを実現。

公開前の機密コンテンツのデジタル保護を強化する企業向けクラウドセキュリティ「フォレンジック ウォーターマーク(電子透かしID)」をプレビュー公開。人には見えない透かしを動画に入れられるようになる。