30万円台のオールインワン・スイッチャーとして発表時に注目を集めたローランド「VR-6HD」。トーク番組の生配信現場で、実際に導入した際のポイントを解説!配信現場の舞台裏を技術者の目線でレポートします。
レポート●赤澤 正洋
なぜ「VR-6HD」を投入したのか
「6人組ダンス&ボーカルグループ」のアーティストのファンに向けた生配信(全4回)の最終回で、トークベースの番組構成だったこと。そして撮影現場も小スペースだったので、機材構成や人員もシンプルな、小規模な構成にしたく、ローランドさんの「VR-6HD」を使用しました。(ローランドさんのスイッチャーは、「V-1HD」発売時から使用しております。)
<配信番組概要>
日時:9月2日(土)開演15:00
場所:都内某所
内容:メンバー6名出演のトーク番組
配信時の使用機材
アーティストのイメージに合わせ、今回はシネマカメラ&レンズを使用しました。
- 画像左
- カメラ:ソニーFX6
- レンズ:ソニー FE 16-35mm F2.8 GM
- 三脚:ザハトラー
- 画像右
- カメラ:ソニーFX6
- レンズ:SONY FE 70-200mm GM、
- 返しモニター
- 三脚:ザハトラー
普段は撮影内容によりソニーFX6、PXW-Z190、ブラックマジックデザインBlackmagic Cinema Camera 6Kなどから選んで使用しています。今回の演者構成は、着席6名(内1名MC)だったので、寄り(右)と引き(左)の2カメラ構成としました。
「VR-6HD」の特徴
僕が感じた他機種にはない、特徴を2点ご紹介します。
1.本体内蔵の静止画と動画コンテンツの再生機能
今回、出し物(テロップや映像など)が少なかったため、本体内のビデオ・プレーヤーを使うことで、別途外部再生機器を用意する必要がありませんでした。SDXCカードから直接動画コンテンツを再生できたことで、機材数を抑えられたのが非常に助かりました。
2.自由に割り当て可能な出力系統
(今回は使用しませんでしたが)出力先に応じた画面設定が可能ですべての出力を一台で管理できるので、制作補助となりえるツールだと感じました。
弊社では、バラエティ番組などの制作も含めての配信業務も多いため、例えば、下記のようにクイズやジェスチャーなどのゲーム時に使用したいと思いました。
・MC用モニター:答え付きの質問テロップを表示
・回答(演者)用モニター: テロップ非表示
・視聴者用配信:質問テロップのみ表示(答えは結果発表時に表示)
7月28日にファームウェアアップデートを実施
アップデートにより、メニュー表記が英語に加え日本語/中国語も選べるようになり、より便利に。
メリットとデメリット
メリットとしては、やはり音の細かなチューニングが可能な点が挙げられる。事前に番組のBGMや効果音を読み込ませておく事で、ボタン押下のみで簡単に出力可能です。通常は、その業務専用で1名スタッフを配置しなければなりませんが、人員を抑えられる点でも優位性がある。
一方、デメリットは何でもできる機材ゆえに、ひとりに業務集中しすぎるため、何か問題が発生した際にはリスクがある点です。案件内容に応じた機材構成プランが重要であることもあえて挙げておきたいと思います。
赤澤 正洋
合同会社 addingdesign代表
MVから地上波の制作、ネット番組や映画制作まで、垣根を持たずに映像制作に携わる。
2011年8月、さまざまな角度から映像制作を見られる知見を強みとした現会社を設立し、年間600番組以上の配信番組やライブ配信に携わる。
現在は若手演出家、エンジニアを育てることにも尽力。
ウィスキーを好み、900本以上のウィスキーを所有。
クリエイター仲間と日々飲みながら精進を重ねている。
会社HP
http://adding-design.jp/index.html
◉「VR-6HD」製品情報
https://proav.roland.com/jp/products/vr-6hd/
ローランド株式会社
https://proav.roland.com/jp/