キヤノンは、業務用小型AVCHDカメラXA10と、その兄弟機にあたる家庭用AVCHDカメラiVIS HF G10を発表した。XA10とG10はXF105/100にも搭載されている1/3型CMOS「HD CMOS PRO」を搭載、セルサイズ面積をHF S21の2.6倍とすることで感度をアップ、フォトダイオードの面積と深さも拡大し、両者の距離を短縮して集光効率を改善している。
XA10には、多機能な着脱ハンドルが付属し、これが外観上の大きな特徴となる。キヤノンの業務用カメラとしては最小で、機動力を活かしたサブカカメラとしての用途や、ハイアマチュアの作品制作用途などを見込んでいる。一方、G10 は家庭用のフラッグシップと位置づけられ、ハンドルが付かない代わりにアドバンスシューを装備する。いずれもオープンプライスで、市場想定価格はXA10が20万円前後、G10が15万円前後。発売は3月中旬を予定している。
XA10 着脱式のハンドルにはトリガーキー&ズームボタン、IR LED、タリーランプ、XLR端子、マイクホルダーを備える。
ハンドルを外すとコンパクトに。レンズフードも外せる。
iVIS HF G10 ボディはXA10と共通で、ハンドルは付属しない。ミニアドバンスシューを装備する点がアドバンテージ。
従来の家庭用ビデオカメラは、有効画素数を高くすることによって高画質を追求してきた。一方、業務用カメラではやみくもに画素数を上げるのではなく、1画素あたりの光データの量を高くすることによって、飽和電子数を高め、ダイナミックレンジを広くしている。これまで家庭用ビデオカメラでダイナミックレンジに言及することはほとんどなかったが、ダイナミックレンジが広ければ表現できる色域が広くなり、暗部のつぶれや白トビにも強くなる。今春のキヤノンの家庭用モデルは、業務用のXA10と基本を一にするG10はもちろんのこと、エントリーモデルにいたるまで、画素数に対する考え方を業務機寄りにシフトしたといえる。さらにXA10/G10は明暗差の大きいシーンで威力を発揮する「ダイナミックレンジコントロール」機能も備えている。
業務ニーズに応える機能として、絞りやシャッター速度、ゲインをそれぞれ独立設定することができ、フルマニュアルでの撮影も可能だ。3.5型のタッチパネルには波形モニターの表示ができる。これはXA10だけでなくG10も共通だ。XA10のみの機能として、近赤外領域を使った赤外線撮影に対応している。内蔵メモリーはXA10が64GB、G10は32GBで、いずれもSDHC/SDXCのダブルスロットを備える。
レンズも注目ポイントで、XA10/G10に搭載される10倍ズームレンズはワイド側が35mm換算で30.4mmとなり、従来機であるS21の43.5mmに対しグッと広角側に強くなった。さらに、虹彩絞りは8枚羽根へと進化し、より美しいボケが味わえる。また、手ブレ補正用のシフトレンズブロックを従来の水平・垂直方向に加えて前後方向にも動くようにした3次元リアルタイムレンズコントロール機構を採用。これは手ブレ補正機能の強化だけでなく、ズーム機能の向上にも貢献し、広角を強化しながらレンズの小型化も実現している。
家庭用のフラッグシップモデルG10は、単にXA10からハンドルを省略しただけではない。アドバンスシューに5.1chマイクSM-V1を装着してサラウンド収録が行える(XA10は2chのみ)のが特徴で、家庭機ならではの便利機能も備えている。その一つが映画のような雰囲気の画面を作り出す「シネマルックフィルター」で、従来の「シネマモード」に8つのフィルターを加えた9種類の画質を選択できる。ほかに、見やすく楽しい作品づくりをアシストする「シナリオモード」や、画面に絵や文字を書き込める「タッチデコレーション機能」も新たに追加された。
XA10の製品情報
http://cweb.canon.jp/prodv/lineup/xa10/index.html
iVIS HF G10の製品情報
http://cweb.canon.jp/ivis/lineup/hfg10/index.html
問:キヤノンお客様相談室 Tel.050-555-90004