キヤノンは1月19日、家庭用AVCHDカメラ「iVIS」シリーズの新製品を発表した。業務用小型カメラXA10の兄弟モデルで家庭用フラッグシップモデルと位置づけられるHF G10(別記事参照)、ミドルレンジを担うHF M43とM41、そしてエントリークラスのHF R21の4モデルだ。
M43とM41の違いは内蔵メモリーで、前者は64GB、後者は32GBとなる。オープンプライスで市場想定価格はそれぞれ10万円前後と8万5千円前後となる。R21の市場想定価格は6万円前後。発売時期はM43/41、R21とも2月上旬を予定している。
iVIS HF M43 カラーはブラック。64GBの内蔵メモリーを搭載するほか、SDHC/SDXCダブルスロットを備える。
iVIS HF M41 カラーはレッドとシルバー。こちらの内蔵メモリーは32GBとなる。
HF M43/41は1/3型「HD CMOS PRO」を搭載。ミドルクラスの従来機種であるM31の1/4型に対し、センサーサイズを拡大。総画素数約237万というスペックはM31の約320万を下回るが、1画素あたりの面積を広げてオンチップレンズの曲率を増やすなど、フォトダイオードに集まる光量を増加させるとともに、フォトダイオードの面積と深さも拡大した。これにより、飽和電子数とセンサーダイナミックレンジが大幅に拡大している。このあたりに、画素数と画質の関係に対するキヤノンの方向転換が伺える。これまでは画素数を増やすことで画質を上げようとしてきたが、多画素化するとロスが発生する。そうではなく、少ない画素を有効に使って集光効率を高め、トータルで画質を高めるという業務機に近い考えになっているのだ。有効画素数はフルハイビジョン規格ぴったりの207万画素となる。
新開発のHDレンズは光学10倍(43.6-436mm/35mm換算)で、中級機ながら虹彩絞りを採用して自然なボケ味を表現する。従来どおり、パワードIS & ダイナミックモード付きの光学式手ブレ補正機能と、素早くピントを合わせるハイスピードAFを備える。タッチパネル液晶が2.7型から3.0型に拡大したのに加え、ビューファインダー(VF)を装備したこともニュースだ。コンパクト化とのトレードオフで、近年は上位機種以外ではVFは省略されることが多かったが、晴天時や斜光など液晶が見づらい条件化でVFは強い味方となる。こうしたところにクラスの底上げを図る意思が感じられ、作品づくりのための「撮り機」として充分な実力を持ったカメラに仕上がっている。
新機能の「シネマルックフィルター」は従来の「シネマモード」に新たに8種類のフィルターを追加したもの。強・中・弱の3段階で効果をかけることができる。このほかにクリエイティブ新機能として、「シナリオモード」と「タッチデコレーション」機能を搭載。前者は「ストーリー性」や「リズム感」ある作品を撮るために、おすすめの撮影シナリオを提示するもの。10個のテーマと、それぞれに合わせた20~30のシーンをプリセットする。後者は付属のスタイラスペンを使って画面内に文字や絵を書き込める機能。プリセットされたフレームやアニメーションも利用できる。
キヤノンの中級機のウリの一つであるウォータープルーフケースも引き続きラインナップされる。カメラのボディ形状の変更に伴い、こちらもWP-V3という新型に移行した。40m防水に対応し、ボタンで電源のオン/オフや録画スタート/ストップ、レバーによるズーム操作が可能。67mm径フィルターやワイコンの装着もできる。
HF M41をWP-V3に組み込んだところ
iVIS HF R21
エントリークラスのHF R21は1/4.85型フルHDのCMOSセンサーを搭載。総画素数約328万、有効画素数約207万と、従来機であるR10の総画素数約239万、有効画素数約156万をしのぎ、フルHD画質を実現している。最大記録レートも上位機種と同じ24Mbpsとなった。基本性能の向上を図った高画質スタンダードモデルだ。レンズは光学20倍(41.2-824mm/35mm換算)で従来と変わらないが、アドバンスド・ズームにより28倍まで対応する。
SDHC/SDXCのダブルスロットを備える点も上位機種並みで、同時記録にこそ対応しないが、内蔵メモリーからカードB、カードAからカードBへのコピーが可能。内蔵メモリーは32GBと、R10の8GBから大きく進化。液晶はタッチパネル式になり、サイズも2.7型から3.0型と拡大して見やすくなった。
HF M43/41の製品情報
http://cweb.canon.jp/ivis/lineup/hfm41m43/
HF R21の製品情報
http://cweb.canon.jp/ivis/lineup/hfr21/