昨年12月号の付録で取材したテクニカルファームさんにまたお邪魔しました。
今度は、ソニーPMW-F3用のリグを見せてもらいに。
本当は、カメラマンの早坂伸さんがお買いになったF3を持ち込んで、実際にそのリグに載せてみようということだったのですが、手違いで今日の取材に間に合わず、リグだけを見ることになりました。前回、MovieTUBEを取材した谷川創平さんもお呼びして、リグを前にして侃々諤々。まだ製品化されていないオプション?の話もいろいろ出ました。
▲F3 RIGを囲んで写真右から、谷川創平さん、テクニカルファームの片岡さん、早坂伸さん。
このリグはすでに小輝日文には入っているそうです。
http://www.koki123.jp/
F3は手持ちでは撮影できない重さですから、こういったリグは必須だと思っていましたが、あまりに素早い製品化にびっくり。ただこのスタイルだと本体の液晶モニターが近すぎて使えないというのが問題で、EOS MOVIEのように別モニターを出すことになりそうです。ところが、F3は現状ではHD-SDIとHDMIの同時出力ができないので、もしバックアップやディレクター用モニターとカメラマンモニターを同時に使用する場合はどこかで分配する必要があり、となるとまたゴテゴテとつけなければならなくなります。そのあたりを解消するアイデアはテクニカルファームの片岡さんも考えているようで、これからの展開が楽しみです。
もう一つ見せていただいたのが、前回の取材の時には開発中だった、
EFレンズのムービー仕様改造バージョン。
これはInterBEEでも参考出品されていたので、ご覧になった人も多いと思います。
完成版はこんなふうにケースに入っていました。
EF16-35mm F2.8、EF24-70mm F2.8、EF70-200mmF2.8の3本。
改造のポイントは3つ。
まずは絞りリングがつけられていること。EFレンズはボディから絞りを制御する仕組みですから、そもそも絞りリングはありません。しかしもちろん「絞り」機構はあるわけですから、それを外から機械的に動かすリングを作りました。しかもこれはムービー仕様ですから、クリックを外し、滑らかに動きます。つまり撮影しながら微妙に絞りを制御したり、中間の微妙な絞りを使えるというわけです。
次にズームリングは大きめのギア付きのリングが外周につけられ、ズームピンがつけられる穴がもうけられています。マットボックスをつけた場合、レンズに手を入れにくいので、ズームピンで動かしますが、それ用です。
そしてフォーカスは端付きに。
EFレンズはAF制御を重視しているので、一応指標はあるのですが、どこまでもリングが回転すする方式で、しかもそのリングの位置はずれてしまったりします
そこを端付きにして、絶対位置を表示できるようにしました。
フォーカスの送り幅は小さいのですが、これでもかなり操作性は向上します。
この3本セットを見せられたときにはかなりグッときましたね。
ちなみに改造代は1本30万円台だそうです。3本やってもらうと100万円?
もちろん元のレンズ代は別です。
かなり開発に苦労されたそうですから、開発費を含んだものと考えるべきでしょう。
一本一本手作りですし。
それにしても私個人は映画は撮りませんけど、
これはめちゃくちゃ、欲しいですね(笑)。
レンタル会社にも入るそうですから、
仕事で使う人は、
現実的にはレンタルということになるでしょうか?
でも、マニアは欲しくなる類いの希少レンズです。
この3本セットが好評であれば、
単焦点の85mm F1.2と50mm F1.2も改造版を出したいとのこと。
取材が終わったあとは、近くの中華料理屋さんで、谷川さん、早坂さんと軽く飲食。
映画業界のかたは、
どこかでつながっていることが多いのですが、
お二人も当然お知り合いで、
2006年版の市川崑監督の遺作「犬神家の一族」で
ふたりで撮影助手をやる予定があったのだそうです。
実際には谷川さんはその遺作に参加したのですが、
早坂さんは別件があって、入れなかったというエピソードも。
そのほか、映画撮影の奥深い話もいろいろ出て、
やっぱり当事者が語る映画とか映像話は面白いなあと思った夜でした。
テクニカルファームはホームページはこちらから
http://www.technicalfarm.com/