近年では、デジタル映像に「懐かしさ」や「ノスタルジー」を取り入れる表現が注目を集めている。本記事では、映像作家のサイトウユウマさんを招き、After Effectsを用いて世界観を統一するための実践的ワークフローを解説。自主制作作品『刻刻』を例に、質感描写テクニックからノスタルジーな雰囲気を生み出す思考法まで、その制作プロセスを紐解いていく。
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講師 サイトウユウマ Yuma Saito
映像作家。福岡出身。大学卒業後、映像制作を開始。グラフィックス、3DCG、実写など幅広い表現で、大型フェスでの映像演出やアーティストのMV制作など、さまざまなプロジェクトで活動中。
❖『刻刻』
Director / Photography : サイトウユウマ
Music : Phasma
Cast : ゆゆ
ノスタルジーな雰囲気を感じさせるルック作りとは
サイトウユウマと申します。フリーランスで映像制作をしています。制作内容としてはMVを中心に、ライブの演出映像やイベントでのVJ、最近ではアニメのグラフィックや撮影、コンポジットなどもたまに手がけています。
また、3DCGや2Dのモーショングラフィックスや実写など、ひとつの分野のプロフェッショナルというよりは、広く浅くいろんなことをやりながら映像を作っています。
経歴としては、過去に制作会社に所属しており、その際に現場撮影などにも行なっていました。規模は大きくない会社でしたが、そこで映像制作の流れやノウハウを学びました。その後、去年の春に独立して、現在はフリーランスとして活動しています。
今回の記事では、自主制作の映像作品『刻刻』を例に、制作におけるワークフローやノスタルジーな雰囲気を感じさせるルック作りなどについて詳しく解説していきます。
自主制作映像『刻刻』ワークフロー解説

自主制作のきっかけ
映像上映イベントに出展するという目標を立ててから制作
まず、『刻刻』という作品をどういった経緯で作ったかを説明しておきます。普段からクライアントワークをメインにしていると自主制作で映像を作る機会が少なくなっているなと感じていました。そんな中、『FRENZ(フレンズ)』という映像上映イベントに出展するという目標を立てて制作したのが本作でした。
FRENZとは、ほぼ毎年開催されている歴史あるイベントで、プロ・アマチュアを問わず出展されたさまざまな映像を皆で鑑賞するという大変刺激的なイベントです。自分としてもこういったきっかけがなければ、なかなか自主制作を実行に移すことができないため、可能な限り毎年参加するようにしています。
また、自主制作のいいところはチェックする人間が自分だけである点で、クライアントワークのように事前にコンテなどの資料を作って承認を得る必要がないため、制作しながら進められます。
本作のテーマ
時間の経過や速さの違いをひとつにまとめた作品にできたら
基本的に仕事で作る映像はイラストを使ったものが多かったため、今回の自主制作では実写を使った映像をやりたいと考えていました。その上で作品のテーマを考えたときに、時間の経過と流れる時間の速さの違いや、刻まれる瞬間をひとつの映像の中にまとめこんだ作品にできたらと思ったんです。
例えば、1日中回しっぱなしの映像を数秒にするタイムラプスや、スローモーションで1秒を数十秒にするハイスピード撮影のような、動きの違いをひとつの作品の中に入れることをテーマとして制作していきました。
時間の流れをさまざまな方法で撮影し、同じ画面内にコラージュする
タイムラプス

ハイスピード

長時間露光

実写素材の撮影方法
タイムラプス部分はベランダからカメラをひたすら回して撮影した
撮影素材については、ふとした瞬間や出かけた際に撮影したものなど、これまでに撮りためていた素材のストックも所々使用しています。なので、撮影機材もその都度バラバラだったりしています。
本作用に新たに撮影したタイムラプス部分は、自宅のベランダからカメラをひたすらに回す形で撮影しました。天候に左右されるため、「今日はいい感じの雲だ」という日を狙って撮影をしています。
本作の撮影を通じてタイムラプスにも初めて挑戦できましたし、空の画はどこにでも使えるため、ストックとしての価値もあります。自主制作をする意味のひとつは、このように自身の引き出しやストック素材を増やせるという点にもあります。
また、ハイスピード撮影部分には、Freefly Systems社のWaveというカメラをレンタルして使用しました。2Kかつ最大1461フレームで撮れるカメラなのですが、ハイスピード過ぎると動きがほとんど見えなくなり、静止画のようになってしまうため、その塩梅が難しかったですね。
主な撮影機材
撮影に使用したメインカメラはパナソニックGH5、ハイスピード撮影用にはFreefly Systems社のWaveを使用。作品冒頭の一部では、iPhoneで撮影したシーンもある。
パナソニック LUMIX GH5

Freefly Wave

