革新的なシネマカメラブランドとして名高いREDとの共同開発によってついに発売された待望のNikon ZR。ここではREDを長らく愛用し、DaVinci Resolve歴15年のシネマトグラファー大畑一樹さんに、Nikon ZRでの撮影のポイントからDaVinci Resolveでフィルムルックを再現するためのさまざまなツールを紹介してもらう。また3D LUTの基礎知識からプロの現場で使われているフィルムプリントエミュレーションも比較解説する。
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講師 大畑一樹 Kazuki Ohata
VASC、pict(現・電通クリエイティブピクチャーズ)を経て、2015 年に独立。CM を中心とするシネマ作品の撮影を手がける傍らで、撮影技術、ライティング、DaVinci Resolve に関する解説記事を執筆する。DaVinci Resolve 歴は 15 年。2010年『富士急ハイランド・まともじゃない連休篇』、2015年『RIZAP 一般篇・外国人篇・赤井英和篇』で ACC Gold を受賞。
❖『Tales of Dragon』

Starring:Aria ありあ
Direction/Edit/Color:Kaz Ohata
Cinematographer:北原 優
Hair & Makeup:今井雄太郎
撮影協力:江島神社、湘南藤沢フィルム・コミッション
本物のフィルムルックを知っているという立場から解説
大畑氏は、ドラマの現場を経て、ここ20年ほどCM撮影を中心に活動している。もともとVE部に所属していたこともあり、テクニカルな部分にも詳しい。DaVinci Resolveについては15年ほど使い続けているという。
2000年代までは、映画・CM・MVなどハイエンドな映像作品の多くは、映画用フィルムで撮影されていて、大畑氏もフィルム撮影の現場を経験してきた。そういった経歴を含め、本物のフィルムルックを知る立場から、フィルムルックをデジタルで再現するためのアプローチについて、実例を交えつつ解説していただいた。
また今回紹介する作例は、ニコンとREDにより共同開発されたNikon ZRで撮影されているため、Nikon ZRやREDについての知識も併せて深掘りしていく。大畑氏自身、REDのカメラを長らく愛用しており、CMやドキュメンタリー撮影など、ここ数年はほとんどの現場でREDを使用しているという。
REDのカメラの利点は、ボディが小さく、優れた露出管理ツールが搭載されているため、カメラマンひとりであらゆる面をコントロールできるという部分にあり、RAW収録ができる高性能なカメラであるにも関わらず費用対効果が高いこと。結果的にREDを選択するというケースが多いということだ。
ニコン×REDシネマカメラ『Nikon ZR』とは?

REDの歴史とNikon ZR誕生の経緯
REDのルックが撮影できる 小型シネマカメラ『Nikon ZR』
まずは、米国を代表するシネマカメラブランドRED Digital Cinemaの歴史と、小型シネマカメラ Nikon ZRが誕生した経緯について、大畑氏に説明してもらった。
かつて、映画・CM・MVなどハイエンドな映像作品ではフィルム撮影が主で、コダックもしくは富士フイルムの映画用フィルムを使い、ARRIなどのフィルムカメラで撮影をするのが一般的だったという。シネライクな映像を撮れるビデオカメラは存在していたが、本格的なフィルムルックを再現できるようなカメラはなかなか出てこなかった。
そんな折に突如現れたのが、RED Digital Cinemaというスタートアップ企業だった。2007年、ソニーのシネマカメラが2,700万円と高価だった時代に発売された、REDの初号機となるシネマカメラRED ONEは200万円という安価で、4K RAW収録など革新的なスペックを搭載していた。それによりシネマ撮影が民主化され、昨今のデジタルシネマカメラの流れが生まれたと大畑氏は振り返る。
その後、2024年にニコンがRED を買収し、Nikon×RED による共同開発プロダクトの第1弾として、RED監修による「RED LUTs for N-Log」というLUTが登場する。そして2025年にはREDのルックが撮影できるニコンの小型シネマカメラとして、待望のNikon ZRが登場した。
RED ONE
2007年に発売されたRED Digital Cinemaによるデジタルシネマカメラの初号機。

RED V-RAPTOR [X]
2021年に発売されたREDのDSMC3世代のデジタルシネマカメラ。

RED KOMODO-X
2020年に発売されたRED史上最も小型かつ軽量なデジタルシネマカメラ。

RAWフォーマット「R3D NE」形式の実力
ZRはKOMODO-X並みの画質が撮れると言い切れるレベル
Nikon ZRでは「R3D NE」というREDのシネマカメラと同じ、R3D RA Wの記録フォーマットでの撮影が可能だ。REDのR3D RAWが16bitなのに対して、Nikon ZRのR3D NEは12bitでの収録となるが、実際に撮影素材を見てみると、bit数の違いによる階調のなめらかさに顕著な差は感じられないという。
一方、ダイナミックレンジの公称値に関して、RED KOMODO-Xが16.5+ストップ 、RED V-RAPTOR 8K VVが17+ストップなのに対して、Nikon ZRは15+ストップとなるが、極端にコントラストの高い場面を除いては問題なく使えるレベルだといい、画質としてはKOMODO-Xと同程度と大畑氏は評価する。


ベースISO感度を800に設定したときのNikon ZRのダイナミックレンジが左の図だ。たとえばISO 200にすると、ISO 800よりもハイライト側の階調は失われるものの、シャドウ側の階調が豊かになる。ISO感度の数値を変えても、15+ストップのダイナミックレンジの幅は一定となっている。
ウェーブフォームモニターで適切な露出を確認する
ISO200に設定した場合


ISO800に設定した場合


撮影画面で輝度レベルを波形で確認できるウェーブフォームモニターを表示して露出を確認する。気をつけたいのは、デュアルベースISOのベース感度とISO感度の設定によって、白飛びする位置が変わるということ。特に前述の通りISO 200にするとハイライト側の階調は失われるので、白飛びに注意しながら露出を決める。ウェーブフォームモニターの表示方法はニコン公式サイトを参照しよう。
