「ビデオサロン」で連載中の読者投稿コーナー「魁!! ビデオ道場」では、毎月1作品を「大賞」、次点の数作品を「入賞」としてセレクト。大賞受賞者にはその栄誉をたたえて金2万円を贈らせていただきます。大賞・入賞および掲載作品にはそれぞれポイントがつき、累計ポイントによって当ビデオ道場における段位が認定されます(最高位:師範代)。
今回は2017年2月号掲載の作品を紹介します。解説とともに動画をご覧ください。<解説:岡野 肇>
<大賞>
地域ドキュメント『田んぼアート』 5分49秒
小林節子さん(東京都八王子市)
●作品紹介●「最近よく聞くけど詳しく知らない」そんな田んぼアートをその歴史と細かい制作過程をじっくりと取材した力作。世界一の面積の田んぼアートを目指す埼玉県行田市の活動を中心に、デザインの段階から追う。
◆解説◆立体的に見えるデザインも登場している流行の田んぼアートを知った作者が、その魅力を細かい部分から徹底的に描くことで自分も理解していくという作品作り。それが見る側に伝わっていき、作者と視聴者が気持ちを共有できる一作。撮影だけでなく田んぼアートの発祥やデザイン画等も盛り込むことで疑問を抱かずに見ていけることも作品の特長。じっくり撮れ、何度でも撮り足せるのはアマチュアビデオ作者の特権でもあります。思い立ったネタをどのように作者の中で膨らませていくか、そういうものを覗けたような気がします。
<入賞>
祭りビデオ『村木神社 おまんと祭り』 5分35秒
加賀通義さん(愛知県豊明市)
●作品紹介●家康の母の出身地であり巨峰の収穫でも有名な知多半島の付け根の町東浦町。その村木神社で開催される毎年恒例の行事、飾り馬が駆け回るおまんと祭りを丁寧に作品に。最前列に構えたカメラの前を通り抜ける駈け馬は圧巻。
◆解説◆オーソドックスな構成なのですが、きっちりした祭りや神社の説明と作者のやさしいナレーションで分かりやすい作品に仕上がっています。全体の行事を網羅しながらも、この祭りの華である駈け馬に時間を割いているのも良いですね。尺だけでなくこの作品のポイントは駈け馬であることを全体を通して感じさせてくれます。それにしてもカメラを間近に構えてのショットは迫力満点。落ち着いたカメラワークで、逆に画面内の興奮が際立ちます。
イメージビデオ『Table Videography』 3分
林 幸司さん(岐阜県揖斐郡)
●カメラを新調した作者が贈るテーブルの上のプラモデルショー。◆カメラテストも兼ねてということですが、作者のセンスで洒落たPV風作品に。浅い被写界深度と光を上手く使った見せ方は秀逸。CGもいいアクセントになっています。
映像詩『晩秋のころ』 5分30秒
今井さん(兵庫県三田市)
●京都北部の茅葺きの里で晩秋を味わう。◆晩秋と日本の原風景、そしてレトロな感覚を一度に味わえる作品。季節を活かした太陽光の浅い角度を利用したシルエットカットも良いですね。作者の感じた風景が上手く表現できています。
海外ビデオ『アラスカ ジュノー・アイスフィールド ヘリ・ハイキング』 7分32秒
遠藤洋一郎さん(長野県長野市)
●見る者の冒険心をくすぐるアラスカのヘリによる氷河フライト。◆シンプルな構成ながら、臨場感最優先で音を作者のレポートと現場音に絞った所が良いですね。氷河の静けさや水を飲む音等がその場の空気を伝えてくれます。
ネイチャービデオ『葉隠れ』 2分52秒
吉見秀雄さん(神奈川県南足柄市)
●近所で見つけた擬態した蛾を詳細にレポート。◆1発ネタなんですが作者のコミカルなナレーションで微笑ましく見させていただきました。せっかくですから画の種類や擬態の蘊蓄が少しあっても良いのではと思います。
海外ビデオ『ロンドン・アイ(大観覧車)』 5分39秒
飯山一伸さん(東京都東村山市)
●ロンドン観光をロンドン・アイを中心に描く。◆この大観覧者をキーにした構成は総花にならず良いです。ナレーションとテロップを併用されていますが、場所名を除いた感想などはどちらかに集約したほうがすっきりします。
地域ドキュメント『おくのほそ道 芭蕉の旅立ち』 6分48秒
渡部数馬さん(埼玉県川口市)
●おくのほそ道の出発地を探る。◆芭蕉が訪れた地を題材とした作品はよく見るのですが、出発地にスポットを当てたところが面白いですね。丹念な撮影と実際の取材から導き出されたラストの作者の結論も素晴らしい。
スポット紹介『専修寺の朝』 6分7秒
柴山和宏さん(三重県津市)
●三重県津市の専修寺訪問記。◆作者の詩的な情感溢れるナレーションが作品全体のトーンとなって、効果を出しています。寺と蓮の2つの組み合わせが奥行きを感じさせます。朝咲く蓮がタイトルの朝にもかかっているのですね。
登山ビデオ『御坂山地 三湖台』 5分56秒
吉野和彦さん(長野県松本市)
●富士山の北側、間近に三坂山地を見上げる三湖台へ。◆作者の登山の目的である眺望ですが、やはり富士山には目を見張ります。真冬の晴天がさらに花を添えて、磨きをかけた作者納得の自分撮り構図、今回も素晴らしかったです。