カメラが小型軽量化、高解像度化したことで、スライダーという表現方法はかなり一般的になってきた。今やデジタル一眼などの大判カメラや4Kの高解像度カメラでは必須のカメラワークと言ってもいいだろう。ただ、具体的な商品となるとピンキリであり、かつ海外製品がほとんど。日本メーカーとしてはこのたびリーベック(平和精機工業)が初めてこの分野に本格参入した。しかもスライダーとセットにして使える三脚も用意。三脚、ヘッド、スライダーを一社で提供するのは世界唯一。
新シリーズはALLEXと名付けられる。製品としては、75㎜ボールヘッド単体のALLEX H、75㎜径用三脚のALLEX T、長さ800㎜のスライダーのALLEX Sが用意され、ヘッドと三脚の組み合わせがALLEX KIT、さらにスライダーを加えたものが、ALLEX S KITとなる。
ALLEXシリーズは、4月7日から10日まで開催されるNAB2014において、発表され、国内では8月初旬に発売される予定。
スライダーは撮影場所において三脚と組み合わされて使用されることが多く、カメラを装着するには、スライダー上に必ずヘッドを取り付ける必要がある。ALLEXでは、これをセットで提供することで、利便性を向上。かつ撮影シーンに応じて、自在に組み合わせることで、多様な撮影に対応することができる。
長さ800ミリのスライダーALLEX S
ALLEX S
60,000円
ALLEX Sは単体としても使用できるスライダーで、長さは800㎜。移動距離は708ミリ、最大搭載重量は15kgとなっている。スライダーにしたに75㎜ボールヘッドがつくことで、そのまま三脚に固定することができる。ヘッド取り付けネジは3/8インチ。レール背面のネジ穴は1/4ネジと3/8ネジ。ベアリングは4カ所あり、下から抑えるベアリングを斜めに配置することで、より滑らかな動きを実現している。今後は、ユーザーの要望次第で、さらに短いもの、長いものも検討したいという。
待望の新三脚システムも登場
ALLEX H(フラット&75ミリボール両対応ヘッド)
28,000円
ALLEX KIT (三脚システム)
50,000円
リーベックの小型カメラ用三脚といえば、長らく、TH-950はLS-22などが定番としてロングセラーとして存在していたが、最近はザハトラーが10万円以下でACEを出すなど新製品を投入。マンフロットもブリッジテクノロジーによる新シリーズを投入し、リーベック製品はやや古い印象が否めなかった。リーベックでも新しい三脚が欲しいという声は大きかったが、まさにALLEXシリーズがそれに当たる。
ALLEXでは、ヘッドを単体で購入でき、かつスライダー上やフラットベース上に設置できるようにボールでありながら底面が平らになっている。これでヘッド単体で購入しても多彩な用途で使えるようになった。カウンターバランスは固定で、3kgに合わせてある。カメラとしては、デジタル一眼やパナソニックAC90などの小型軽量のハンドへルド向きのセッティング。2kg以上のNXCAMでも使えなくはないが、NX3以上のモデルでは、メーカーとしてはRSシリーズのほうを薦めるという。ヘッドは樹脂製になり、重さはパンハンドルを含めても1.3kgという軽さ。自照式のLEDレベラーも装備している。プレートは前後にそれぞれ40㎜スライドでき、ワンタッチでリリースできる構造に変更された。
脚部も新設計。スライダーでの使用も考慮して、釜部分もわりと大きめで、脚を挟む構造も見直している。フット部分はスパイクとゴムパッド兼用スタイル。スプレッダーはミッドスプレッダーのみで、開脚幅も変更できる。
オールインワンパッケージにさらにヘッドを足すことも可能
ALLEX S KIT(オールインワンパッケージ)
105,000円
オールインワンパッケージはまさにこれからのカメラワークを提案するもの。つまり三脚はパン、チルトだけでなくスライドするためのツールになる。もちろん、スライドとパン、チルトを組み合わせるようなカメラワークも簡単できる。
さらにこのセットにヘッド(ALLEX H)を加えることで、斜め方向のスライドや上下の移動も可能になる。
●平和精機の海外サイトに「ALLEX」の特設サイトが開設されている。
http://www.libec-global.com/products/allex/overview.html
●「ALLEX」のプロモーションビデオは以下のサイトで公開中。
http://vimeo.com/90000865
日本語版の「ALLEX」のサイトは5 月初旬に公開予定。
【編集部のコメント】
正直、スライダーには驚いた。もちろん、今やスライダーは映像表現にかかせないが、三脚とセットで提案してくるとは…。その三脚だが、上位のRSシリーズが出たときから、「そろそろその下のシリーズをリニューアルしてくださいよ」とメーカーさんにはお願いしてきた。さすがにLS-22DVやTH-950には古さを感じていたからだ。そして今回のALLEX。RS同様、グレーからブラックにカラーを変更してイメージチェンジしてきた。カウンターバランスも固定、ドラッグも可変ではないが、この三脚ヘッド部分をシンプルにするというのは、今時の方向のような気がする。そのあたりの微妙なカメラワークを追求するのはRSシリーズということだろう。
実は4月中旬くらいにスライダーを集めてテストしようと思っていたが、このALLEXの登場で夏まで延期である…。