サンディスク エクストリーム900 ポータブルSSDが活躍する映像制作現場 ─ 伊納達也さんの使い方
協力●サンディスク株式会社
サンディスクのエクストリーム900 を2台用意し、
現場で素材コピー、ひとつは現場での編集作業用、
もう一つはバックアップにする
伊納達也 いのうたつや
ノンフィクション・ビデオグラファー。CM制作会社で制作進行として勤務後、2012年からビデオグラファーとしての活動を始める。映像制作会社「inaho」を立ち上げ、少人数のラン・アンド・ガンスタイルで各地域の文化にフォーカスした映像制作を展開。複数のプロジェクトに寄り添い「映像を使ったコミュニケーションの構築」にも力を入れて取り組む。
「どこでも編集ができる時代」ならではの悩み
映像制作の機材の進化スピードには目を見張るものがあり、撮影機材・編集機材は小型高性能化が一気に進んでいる。撮影はもちろんのこと、編集作業もどこでどんな風に行うかという制限がほとんどなくなったと言えるだろう。一昔前までのように編集スタジオやデスクトップマシンの前に座らないと編集できないということはなくなった。
筆者も編集作業を東京にあるオフィスだけでなく、ノートPCを持ち込んでロケ先や、プロダクションの会議室などで行う場合が多くある。カラーグレーディングや音のミックスなど専用のモニター機材が必要な仕上げ作業以前の、映像の構成を作る仮編集的な部分に関しては、そんな風に場所に囚われずに作業を行う人も増えているのではないだろうか。
そういった流れの中で、一番のネックとなってくるのは、やはりデータマネジメントの部分だろう。どこでバックアップを取り、どうやってストレスとエラーなくデータを移動させるのか。その最適なワークフローの構築は、映像制作者にとって永遠の課題でもある。
待ち時間のないワークフローへの挑戦
どこででも編集を行えるようにするというスタイルをとると、データマネジメントの点で、問題となってくるポイントは2点ある。
ひとつはもちろんデータが消えるリスクをどう回避するかという「安全性確保」の問題だ。保存されたデータは常に消えてしまうリスクがある。原因はHDDなどのストレージの故障や破損、そして人間が誤ってデータを消去してしまうヒューマンエラーなど様々だ。ポータブルHDDだけにデータを入れて持ち運んでいると、もしも何かあったとき取り返しがつかない。経験されたことがある方も多いのではないかと思うが、HDDがクラッシュしたときの絶望感は二度と味わいたくないものだ。データが消えてしまってからでは、いくらお金をかけても時間は巻き戻らない(そしてHDDの復旧が成功したとしても、復旧業者に頼むと数十万かかることが多い)。いかに安全にデータを保存できるかは最も重要なポイントになる。
この問題の解決のためには「常に2つ以上のストレージにデータを保存しておく」という策が有効だ。ポータブルストレージにデータを入れて持ち歩き編集を行い、定期的に別のHDDにバックアップをとるという方法だ。テレビゲームの「セーブ」のようなもので、最悪ポータブルストレージがクラッシュしても、バックアップしたところから再開が可能になる。
ここで問題になってくるのが2つ目のポイント、「いかに待ち時間を減らせるか」という点だ。2つ以上の場所にデータを置いておくためには、定期的なコピー作業が必要になってくる。その時のコピーの待ち時間はカメラが高画質化しデータがリッチになればなるほど増え続ける。そして待ち時間が長くかかることは「今そんな時間がないから今度にしよう…」という思いを芽生えさせ、バックアップ作業を疎かにしてしまうという心理的デメリットもあると感じている。
高速、大容量、小型のマルチプレーヤーの登場
上記のような問題を解決するために、常に使うポータブルストレージを高速なものにしたい! という願いは前々からあったが、速さを求めてSSDを選びたくても容量が1TB程度までしかなく、筆者のようなノンフィクション映像を作る人間にとっては、1作品に使うデータが入り切らず、選ぶことができなかった。RAID0を組んだHDDを使用するという手もあったが、どうしてもサイズが大きめになってしまい、ロケ先に持っていくには重過ぎるという問題があった。高速、大容量、小型の三拍子が揃ったストレージは夢のまた夢の存在だったのだ。
そこに登場したのがサンディスクのエクストリーム900。最大1.92TBという大容量でありながら、850MB/sという超高速で読み出し/書き出しが可能、バスパワーなので電源をひかずに使えて小型サイズという夢のようなストレージだ。このエクストリーム900の登場で、一気に上記のようなデータワークフローがストレスなく回せるようになった。
▲小型軽量なのでロケにも持っていきやすく、HDDと違って可動部がないので衝撃にも強いのが頼もしい。
▲データコピーには「ベリファイ(確認)」機能付きのコピーソフトを使うのがオススメ。破損なくコピーができたのかチェックをしてくれる。筆者はRapidCopyを使用している。
備えあれば、憂いなし。データマネジメントにおける憂いは致命傷!
特に今後、4K以上のRAW撮影といったよりリッチな動画素材を扱うことが増えていく映像業界の流れの中、要求されるストレージのスピードは上がり続けている。それらの素材をストレスなく扱え、素早くバックアップがとれるという点は、エラーやミスなどが起こったときの保険に直結する。決して安い値段ではないエクストリーム900だが、これでバックアップを怠りデータが消失したときの絶望を回避できるのであれば安いものだ! と個人的には感じている。
▲まず収録したデータをポータブルストレージにコピー。この時、もし収録メディアをフォーマットする必要がある場合は、別のポータブルストレージにも同じデータをコピーして、かならず最低2箇所にデータが存在する状態にする。撮影後はオフィスに戻り、RAID5の大容量HDDにデータをコピーしてバックアップをとる。編集には撮影後に収録データをコピーしたポータブルストレージをそのまま使い、編集作業をどこででも進められるようにする。編集の区切りの良いところで、その都度プロジェクトファイルや文字データなどの更新されたデータをRAID5のHDDにコピーして定期的にバックアップをとる。
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