FDR-AX100やPXW-X70の後継シリーズが登場。3ラインナップに拡充され、XDCAMのPXW-Z90、NXCAMのHXR-NX80、ハンディカムのFDR-AX700として、2017年9月20日に発表された。
XDCAMメモリーカムコーダー PXW-Z90（写真左）
12月上旬発売／オープン価格（市場想定価格29万円前後）
NXCAMカムコーダー HXR-NX80（写真中央）
12月上旬発売／オープン価格（市場想定価格24万円前後）
デジタル4Kビデオカメラレコーダー ハンディカム FDR-AX700（写真右）
10月13日発売（予約販売は9月26日10時より開始）
オープン価格（市場想定価格20万円前後）
3モデルとも、センサー内に273点像面位相差検出AFセンサーを高密度に配置し、HLG（Hybrid Log-Gamma）方式の4K HDR（ハイダイナミックレンジ）記録にも対応する1.0型の積層型CMOSイメージセンサーExmor RS（エクスモアアールエス）を搭載する点は共通で、これが今回の進化を支えるポイントとなっている。
AX100等で問題だったAF速度の遅さや、高輝度部分での早すぎる白トビ現象の改善が期待できる内容となっているが、最大の問題点「4K記録時はフレームレートは30p止まり」の改善は残念ながら見送られ、4K/60p記録は実現しなかった。全体的に登場時の価格は下がってはいるものの、パナソニックGH5やキヤノンXF405/XF400/iVIS GX10が相次いで4K/60p記録に対応している中で、4K記録で先陣を切っていたソニーとしては、後塵を拝したと言わざるを得ないだろう。
デモ映像によれば、コントラストAFと位相差AFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」機能に関しては、かなり期待できそうだ。応答速度や粘りなども任意に設定でき、撮影する被写体に応じた撮影が可能になる。
AX100では採用されていなかった「ピクチャープロファイル」が搭載されたのもメリット。Log撮影も可能になり、S-Log2だけでなくS-Log3も選択できるのは、CMOSの素性の良さの現れかもしれない。
評価が分かれそうなのが「HLG」方式によるHDR撮影が可能になること。業務用ではすでに「インスタントHDR」としてFS5やZ150の2モデルを無償アップグレードすることで対応していたが、この3シリーズでは出荷時から対応。AX700に関しては、家庭用ビデオカメラとしては初採用となる（GH5はアップデートで対応済み）。
HLG方式は、HLGに対応するテレビを使用すれば、カラーグレーディングをしなくてもそのままHDR映像を再現できるため、気軽にハイダイナミックレンジの映像の撮影や編集を楽しめるメリットがあるのだが、いかんせん、HLG方式のHDRに対応するテレビがないと真価を発揮できないのがネック。色域もBT.2020に対応するため再現できる色の範囲は広がるが、これもBT.2020に対応するテレビが必要だ。
4K映像の場合は、たとえ4Kテレビがなくても高画質HD映像を作成できたり、画質劣化のない手ブレ補正や傾き補正が可能になるど、4Kで撮る意味はあった。しかしHLGに関しては、単純にHDRから現状のSDR（スタンダードダイナミックレンジ）に変換しても、あまりメリットがない。
FS5でHLG記録をテストしたことがあるが、風景を撮るようなハイアマチュアこそ使ってほしい機能だと感じたが、対応テレビとの接続も含めてまだ発展途上。おそらくビデオカメラにしても、テレビにしても、早々にHLG対応機能は搭載され、4K撮影機能と同じようにいずれ特別なものではなくなると思うが、まだまだ一般の人は必要と感じてくれないだろう。
画質テストはこれからなので相対的な評価は控えるが、つくづく「4K/60pとHLG対応のビデオカメラであったなら、どんなに良かっただろう…」というのが正直な感想である（型番が700番であることがせめてもの救い。AX900を待てるから…）
フォーマットはPXW-Z90がXAVC Lで、HXR-NX80とFDR-AX700がXAVC S。
ちなみにHDMI端子は全モデル、Type Aになっている。
詳細は以下のページを参照。
ニュースリリース
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201709/17-087/
PXW-Z90商品ページ
http://www.sony.jp/xdcam/products/PXW-Z90/
HXR-NX80商品ページ
http://www.sony.jp/nxcam/products/HXR-NX80/
FDR-AX700商品ページ
http://www.sony.jp/handycam/products/FDR-AX700/