1か月以上の前の出来事になるが、Canon EXPO。キヤノンが5年に1回開催している技術展である。
つい先日、1月号(12月19日発売です)を責了したのだが、最後にまとめたのが麻倉怜士さんの連載「4K&8K最前線」で、そのネタがCanon EXPOで見た8K+HDRの衝撃、というものだった。わたしもこの8K+HDRに衝撃を受けた、というか、あまりに真剣に観すぎて、目と頭が痛くなってしばらく苦しんだくらいだ。
麻倉さんの原稿は本誌を読んでいただくとして、その8K+HDRを30型弱8Kディスプレイで表示した映像を形容するのに、「素材感」という言葉を使っていたのが印象的だった。わたしも本当にそう思った。
素材感という言葉に、校正をした編集部員は「?」をつけていたが、それもそうだろう。これまで動画の画質を表す言葉に素材感、なんて使われたことはほとんどなかったからだ。
でも、8K+HDRを30型弱の8Kディスプレイに表示すると、まさに素材感が再現されるのである。
8K、HDRまでいくと、動画と静止画の境界はなくなる、というか動画のほうが素材感というか空気感が伝わるような気がする。空気が動いているのまでなんとなく表現されるのだろうか?
静止画も動画も手がけ、そして出力デバイス=ディスプレイもやりたいと思っているキヤノンが究極的に目指す世界はこういうところなのだろうか?
5年後と言うと、2020年である。だからこれでもかというくらい8K推しだった。
逆にInterBEEは今年から来年にかけての商売なので、8Kは封印し、レンズのモックアップをさりげなく置いてあるだけだったが、Canon EXPOでは、8K+HDR撮影システムを作っていた。
カメラはもちろん新規開発のセンサーで、現行のシネマイオスシステムをベースに、記録は4K RAWレコーダー×4で収録。キヤノンの方向性としては、ライブとかテレビ放送ではなく、あくまで「シネマ」。
よりコンパクトなEOS用レンズを使ったシステムも。こちらはレコーダーは積んでおらず、スルーで8Kを出力するもの。
セットはHDRの効果を見せるために、ダイナミックレンジが広い状況をライティングで作り、窓の外まで再現できるかどうか、バイクのクローム部分のてかりがどう表現できるかを見せていた。
8Kスタジオとは別に、プロジェクターで8K映像を体感デモ、両サイドにも動画を流し(これは精細なものではなく、ボケているが)、人間の横目にも映像を入れることで、いかに没入感が得られるかを体験させていた。ちなみに以下は本当の風景ではなく、プロジェクターで投射したものをデジカメで撮影したもの。左右の端がぶれているので、動画の一コマだとは分かると思うが。
ディスプレイだけでなく、プリンター技術も凄い!というのを最初に入ったコーナーで見せていた。
ちなみにこれは、実際の空港ではなくて、プリンターで貼り付けたもの。それをデジカメで撮ったものを見てみると、空港にしか見えない(笑)。
Canon EXPOの麻倉さんのレポートは12月19日発売の1月号をお読みください。