2005年から2006年にかけてビデオサロンに掲載された岡野肇さんの連載の再掲載です。今回は「アナログ素材は目的をもってデジタイズしよう」というお話。第1回目から読む
◆アナログ素材は目的を持ってデジタイズ化すべし
▲多種類にわたるアナログテープ。一番左奥がUマチック(3/4インチ)。
今回はちょっと趣向を変えて、私の保有しているアナログ素材のデジタル化のお話をします。で、この手の作業をデジタイズと言いますがこの言葉、どういう意味なのでしょう。端的に言えばアナログなものをデジタル化することで、静止画や映像・音楽に限って言えば、キャプチャーという言い方もありますね。この作業に精を出している方も多いと思いますが、私はこの言葉にはもう一つの意味があると考えます。つまり、ただデジタル化するだけではなく「○○のためにデジタル化する」と捉えています。なぜかというと目的によって方法や手段が違うからです。
私の場合、大きく二つに分かれます。ひとつはいつもお話ししている「歌番組データベース」のように、いったんコンピュータに取り込みハードディスクに保存し、好みに合わせて検索しDVD-R等に書き出す方法。ひとつの素材から何種類ものアウトプットが出ます。二つめは、フォーマット変換。つまり、ビデオテープや時にはフィルムに記録していたものを、DVDレコーダー等でデジタルフォーマットに替えていく方法。こちらの方は単調でちょっとつらい作業になりますね。
そこで私は、焦らず、前者の方法を多くとるようにしています。ハードディスクがいくらあっても足りないという事実に直面していますが、後者の方法だと、また新しいフォーマットが出ると作業を繰り返さねばならないという欠点もあるからです。
もっとも私のもう一つの趣味である、古いビデオ機材のコレクションがあるのでアナログ素材も再生でき、まだしばらくはいいだろうと考えているせいかも知れません。
私のアナログ素材は「歌番組データベース」だけを例にとっても古くは3/4(ユーマチック)、そして一番多いベータマックス、そしてVHS、8mmビデオと多岐にわたっています。当時の仕事の関係で、局の払い下げテープが手に入ったため個人的に最初に買ったVTRは3/4(ユーマチック)でした。1982年頃で家庭用としては1/2にその座を譲っていましたが、放送用としてメインに使われている時期でした。60分テープもありましたが、手に入るのは20分のものが多く、最初にスターウォーズをエアチェックした際などは、たしか7本組だった記憶があります。かさばってしょうがないのですが、3/4インチというテープ幅の「余裕」からくる実に素直な画質で、耐久性もあり、大好きなフォーマットでした。
そして次に購入したのがHi-Fiになったばかりのベータマックス。経済性のVHSという選択もありましたが、やはりあのちょっと固めの画質が好きで、今でも使い続けています。
さて、こんなに様々なフォーマットをキャプチャーするのにカノープスのADVC-100を愛用しています。音楽ものが多いので「デジタルは音の過大入力に弱い」ことを考慮してレベルはLevel Masterでしっかり監視しています。そして、キャプチャーソフトですが、Macな私はもっぱらiMovieです。素材の前後をカットしたり程度の編集ですので、これで充分です。その使いこなしについてはまた別の機会に。
▲アナログビデオをDVフォーマットに変換するボックス、カノープスADVC-100。その右は音量レベルを調整できるLevel Master。
岡野 肇PROFILE
1960年生まれのかに座のB型。
18歳と10カ月で高卒後広島から上京。
伝説の番組「ザ・ベストテン」のドライアイス担当を皮切りに、
美術・録音・照明・VE・撮影・制作・演出と各分野をめまぐるしく駆けめぐり
29歳と11カ月で株式会社まじかるふぇいす(現有限会社)を設立。
現在は特に「音楽とビデオの融合」を目指し、日夜企画書と格闘中の
映像・音楽プロデューサー。趣味はナレーションとデータベース作り。
*12月24日と31日は更新をお休みいたします。ご了承ください。