椿 英明(つばき・ひであき)
映像制作会社GRID代表。福島県・会津若松を拠点に全国各地を飛び回る。ウェディング映像を基盤に、ミュージックビデオ、企業PR映像、YouTuberの番組制作、スケボーをはじめとするエクストリームスポーツの撮影など幅広く活動する。福島県と県内民放4局が制作したインバウンド映像「Diamond Route Japan」にも参加し、累計視聴回数3300万回を記録。
取材・文●笠井里香/写真提供●椿 英明
映像と名のつくものなら
なんでもやりたい!
「僕は映像制作者としては異端とも言えるかもしれません。9歳の時、父が買ってくれたVHSカメラで弟ふたりと遊びながら映像を撮っていました。でも映像を教わったことは一度もなくて、すべて独学なんです」
椿さんは企業や自治体のPR映像やミュージックビデオ、ウェディングなど幅広いジャンルの映像を手がけるクリエイターだ。自分が映像を見て楽しんでくれる人がいる喜びを覚えて以来、ずっと映像一筋でここまできたという。
「中学生になると、スケートボードを始めました。ビデオカメラを持っているのが僕だけだったということもあって、VHSで撮影し、アフレコしてテープをダビング、友人に見せるととても喜んでくれて。それがすごく嬉しかったんです。映像制作について習ったことがないので、とにかく何でもやってみようという姿勢で臨んだことが今の仕事の幅につながっているのだと思います」
ディレクターはもちろん、プロデューサー、カメラマン、ドローン空撮、そしてグラフィックと何でもできるのが椿さんの強みだ。
地元会津若松を拠点に
全国各地を飛び回る
椿さんが代表を務める会社「Grid」は福島県会津若松市にある。東京をはじめ全国各地での仕事は増えているが、あくまで地元に拠点を置き続けたいという。
「地元が好きなんです。地元から発信したいという気持ちがあるのはもちろんですが、地元でクリエイターを育てたいという思いもあります。福島県、茨城県、栃木県の3県と福島テレビ、福島中央テレビ、テレビユー福島、福島放送の民放4局で制作の『DIAMOND ROUTE JAPAN 2018』というインバウンド映像は、福島の人とやりたいという依頼があってスタートしました。実際に福島県の観光客が2.5倍も増えたと聞き、とても嬉しかったです」
チームワークが大切
「最近では東京での仕事も多く、その現場で出会うクリエイターと情報交換したり、機材の話などもします。そこで知り合ったクリエイターと自分のプロジェクトを一緒に進めたりもしています。会社で共に映像を作る仲間たちとは、役割分担をしっかりとした上で横のつながりを強化し、並行してチームワークでの作業ができるので、社内ワンストップで撮影から編集、仕上げまで全て行います。機材も大事ですが、僕はチームを大切にしたいと思っていて、みんなでレベルを上げていきたいし、面白いことをやりたい」
地元・会津を愛し、東京からの刺激を受け、SNSをフル活用する椿さんは、誰よりも時代を読む力が強いのだと思う。その笑顔と力強い言葉の端々から、映像制作を心から楽しんでいることが伝わってくる。
●椿さんの作品
【G-SHOCK / CUT IN PARK】
東京五輪正式種目となったスケートボードをはじめ、ストリートバスケット、ダンス、ストリートアートなどのスポーツや文化を取り上げるイベント「CUT IN PARK」の模様を記録。
【会津本郷焼 / 継承されていく伝統と歴史】
東北最古の歴史を持ち、約400年前から作られている伝統工芸品『会津本郷焼』。現在は13の窯元が軒を連ねる。動画ではその歴史や特徴、作品を紹介していく。
●最近のお気に入り機材
●よく使う機材リスト
※この記事はビデオSALON2018年5月号 より転載