CINEMA 5Dというサイトをご存知のかたも多いだろう。その名のとおり5D Mark IIをきっかけに始まった一眼による映像制作の情報サイトだが、今年になってその日本語サイトも誕生している。実はその日本語サイトの翻訳や日本のニュースを発信しているのは井上清さんで、井上さんは元ソニーで私とは旧知の間柄。一番最初にお会いしたのは、たしか1990年代後半、DVCAMがスタートしてソニーがエディットステーション(ES)を開発した頃で、そのエディットステーションの商品企画だったと思う。
その後、XDCAM EXのEX1の商品企画も担当され、EX1はビデオサロンでの大プッシュしたから、その後もなんども取材した。今からするとEX1は斬新なデザインで、時代を先取りしていたと思う。蜂のお尻のようなカメラ後部が懐かしい。一眼ムービーとか現在のFS5のようなカメラが存在する前のことで、今、あのデザインコンセプトでレンズ交換式カメラが復活してもいいくらいだと思う。
その井上さんはソニーを早期退職して、退職金でRED SCARLETを買って、映像素材提供をする仕事を始められた。そんなこともあって、その後もビデオサロンのムックでREDによる撮影から編集までのワークフローについて原稿を書いていただいたこともある。
(そのあたりのことは、20日発売のビデオサロン12月号の「ビデオと人生」というコーナーで取材しているので、ぜひお読みください。InterBEE会場では8207ブースで先行発売しています)
そして、CINEMA 5Dの日本担当になられた、という経緯なのだが、今回のInterBEEにあたって、CINEMA5Dの本国(オーストリア)からオーナーの一人が来日していて、ぜひ会いたいということだったので、玄光社ブースまで来ていただいた。
ジョニーさん(右)と井上さん(左)。ビデオサロンの話を聞きたいということだったのだが、英語は話せないし、取材されるよりは取材したいので、先に取材した(通訳は井上さん)。
CINEMA 5Dはオーストリアに本拠があり、スタッフとしては井上さんも含めて14名。オーナーは3人で、10人はフリーランスで米、独、英、南アフリカでそれぞれカラリスト、ドキュメンタリーカメラマン、ネイチャーフォト関係の仕事をしながら、寄稿している。
最初はセバスチャンさんがウェブで情報交換をするためのフォーラムを始めたのがきっかけでその後、ジョニーさんともう一人が加わり、そこからビジネスモデルにすべく、フォーラムからウェブサイトに変更したのだそうだ。アフィリエイトやバナーなどで運営している。
ジョニーさんの取材システムはソニーα7SIIにE PZ 28-135。今は90%はこのシステムだという。FS5などを使うときもあるが、α7SIIのほうが最小構成を小さくできるし、必要であればここからプラスしていけばいい。すでに大きいカメラはそぎ落とせない。自然とαのほうを多く使うようになったそうだ。あと、フルフレームの画が好きなのだそうだ。Eマウントの電動ズームといえば、今度E PZ18-110が出てきて、ズームのレスポンスもよくなっている。そっちのほうがいいんじゃないの?と言ったら、あちらはAPS-Cだし、ズーム倍率については28-135で困っていないという。というのもクリアズーム(日本語でいうと全画素超解像ズームですね)が実用的だから。InterBEEの取材はHDでやっていて、2倍までのクリアズームを実際にやってみせてくれた。
音声は純正のマイクアダプターをつけているが、このシューの部分がしっかり固定できなくてよろしくない、と言っていた。ワイヤレスはゼンハイザーで、ふとみると、ジョニーさんの右ポケットにはハンドマイクがささっていた。
何と言っても三脚に注目。
というのはこの三脚、日本では見ないからだ。
Really Right Stuff(RRS)という小さいメーカーのFH-350というヘッドだそうだ。
ここは外れる。
少し触らせてもらったが、質感も高く、デザインが美しい。
カメラと合わせて、工芸品的な美しさがある。
絶賛していたら、ジョニーさんは、日本ではこれだけ褒められたら、プレゼントしなければいけないそうだけど、さし上げるのは難しいと言われた。
あと、細かいところではアイピースもビデオ用のタイプでサイドから光が入りにくいもの。
純正ではないが、Amazonで手に入るよ、と言っていた。
全体的にジョニーさんの美意識が貫かれていて、センスがいい。
道具選びはほんとうに面白い。
Cinema 5D
https://www.cinema5d.jp/